老年期の生活を明るく実りのあるものにするためには、まず、毎日の食生活が基礎となります。
老年期の食生活を考えるにあたっては、いろいろな点で成長期や成年期の場合と違った特性があります。そのことを考慮した上で、老年期の食生活について、留意点をまとめてみましょう。
老年期に入ってから若さをとり戻すことはとても困難ですが、20代〜30代といった若いときから、食生活をはじめ生活全般に注意を払うことによって、老化を遅らせることは十分可能なことです。
また、老年期に入ってからも、毎日の食生活とともに適度な運動を行えば、体の機能の低下を少しでも遅らせることができて、いつまでも元気で暮らすことができます。
年をとっても食欲はさほど衰えず、食べる楽しみの中に生きる喜びを持つ人も増えています。食事を直接作る主婦を初め、家族がこうした立場をよく理解したうえで、栄養的にも味付けにも、思いやりのある食生活を考えてあげましょう。
老年になると、次第に歯が抜け、総入れ歯になるということなどもあって、そしゃく力が低下しがちです。
また、高血圧、心臓病などいわゆる成人病(生活習慣病)や慢性便秘といった悩みを持つ人も少なくありません。老年期の食生活は、こうした体の機能の低下や健康状態に併せて十分配慮することが大切です。
老年期に限らず、すべての年代に共通することですが、まず食生活における栄養土のポイントについてご説明いたしましょう。
健康状態や老化の程度については、同じ年齢でも個人差が表われるため、一律に論じるわけにはいきません。しかし、栄養素の摂取や食品の摂取については、少なくとも次のことに配慮したいものです。
老年期はその人の日常生活の内容によってかなり個人差はありますがエネルギーの所要量は壮年期より少なくて足りるようになります。
エネルギーのとり過ぎや運動不足は、肥満の原因になるため、エネルギーについては、特に過不足にならないよう気を付けましょう。
しかし、老人になっても減らしてはいけない栄養素がいくつかあります。まず、たん白質です。老年期に入ると細胞成分や細胞数が減少していくのでたん白質はとても大切です。
白身の魚、卵、豆腐など大豆製品、脂身のない肉なとは、若い時と同じ位とりたいものです。
また、カルシウムもそうです。年をとると、女性に多いといわれる骨粗鬆症という、骨折しやすい病気が増えてきます。
牛乳、乳製品、海草、小魚などもできるだけとりましょう。
それから、ビタミン類やミネラルなどもやぱり減らさずにとらなければなりません。
野菜や果物は、このほかに便秘を予防する働きもあります。
食物繊維を進んでとるように努めましょう。
「いも」類にも繊維が多く、さつまいもにはビタミンCも比較的多く含まれています。
次に調理士のポイントについて考えてみましょう。老年期に入ると入れ歯の人が多くなります。入れ歯のそしゃく力は、健全な歯をもっていた時よりもかなり低下します。ですから、食べやすくするため、次のような配慮が必要です。
固めの食品は、かくし包丁を入れたり、小さく切って柔らかく煮たりします。
肉は、うす切りにしたものや、ひき肉などを使い、食べやすくします。また、煮過ぎると固くなるので注意しましょう。
野菜類は時間をかけて、ゆっくり煮込みます。
妙め物のときは、野菜は茹でてから妙めるようにし、植物油を使いましょう。
うす塩でもおいしく食べられるように、胡麻、くるみ、ピーナツ、レモン汁などの和え衣をたっぷり用いましょう。
てんぷらには、必らず天つゆに大根おろしを添えましょう。そのほかフライなど表面の衣が固くて食べにくいときには、だし汁でさっと煮たものを食膳に出しましょう。
飲み込みがうまくできず、むせるようなときは、汁物にかたくり粉を入れて、とろ味を付けることも効果があります。とろ味を付けた汁物は熱過ぎないよう気を付けましょう。
老年期になると、生理的な味覚の低下と入れ歯を使うことによる、”味覚の鈍化”がみられるようになり、味付けが濃くなりがちです。そこで、食塩をとり過ぎないように、次のような配慮をしましょう。
鮮度のよいもの、旬のものを利用して、その持ち味でおいしく食べられるように心がけましょう。
和えものには胡麻、焼きものには適量のしょう油に、みりんなどを上手に使って、香ばしさを出すようにしましょう。
酸味のある食品、たとえばレモンやゆず、かぼす、すだち、ヨーグルトなどを和えもの、焼きものに利用しましょう。
香りの強い食品、例えばねぎ、みつ葉、生姜、のり、しそ、きのこなどを上手に生かし、おいしく食べられる工夫をいたしましょう。
さらに、心理的な面で満足してもらえるような演出を心がけましょう。
食事の不満は、生活全体の不満となり、感情的な不安定を招いたりします。
食事が単調になることも気分的な満足感を損ないます。主食に主菜や副菜をうまくとり合わせて、食事に変化をもたせましょう。
食器についても、食べものの色との組み合わせなどを考えるとよいでしょう。
老年者の食事というと、すぐにコレステロールの少ないものや塩分の制限といったことにこだわりがちですが、これも行き過ぎるとかえってマイナスとなる場合があります。なお、高齢になっても糖尿病や痛風などがない場合は、あまり細かい栄養学的な注意よりもむしろ、食欲不振をきたさないような配慮が大切でしょう。いつまでも健康で長生きできるよう、家族みんなでたのしい食生活を心がけましょう。
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老年期の食生活を考えるにあたっては、いろいろな点で成長期や成年期の場合と違った特性があります。そのことを考慮した上で、老年期の食生活について、留意点をまとめてみましょう。
老年期に入ってから若さをとり戻すことはとても困難ですが、20代〜30代といった若いときから、食生活をはじめ生活全般に注意を払うことによって、老化を遅らせることは十分可能なことです。
また、老年期に入ってからも、毎日の食生活とともに適度な運動を行えば、体の機能の低下を少しでも遅らせることができて、いつまでも元気で暮らすことができます。
年をとっても食欲はさほど衰えず、食べる楽しみの中に生きる喜びを持つ人も増えています。食事を直接作る主婦を初め、家族がこうした立場をよく理解したうえで、栄養的にも味付けにも、思いやりのある食生活を考えてあげましょう。
老年になると、次第に歯が抜け、総入れ歯になるということなどもあって、そしゃく力が低下しがちです。
また、高血圧、心臓病などいわゆる成人病(生活習慣病)や慢性便秘といった悩みを持つ人も少なくありません。老年期の食生活は、こうした体の機能の低下や健康状態に併せて十分配慮することが大切です。
老年期に限らず、すべての年代に共通することですが、まず食生活における栄養土のポイントについてご説明いたしましょう。
健康状態や老化の程度については、同じ年齢でも個人差が表われるため、一律に論じるわけにはいきません。しかし、栄養素の摂取や食品の摂取については、少なくとも次のことに配慮したいものです。
老年期はその人の日常生活の内容によってかなり個人差はありますがエネルギーの所要量は壮年期より少なくて足りるようになります。
エネルギーのとり過ぎや運動不足は、肥満の原因になるため、エネルギーについては、特に過不足にならないよう気を付けましょう。
しかし、老人になっても減らしてはいけない栄養素がいくつかあります。まず、たん白質です。老年期に入ると細胞成分や細胞数が減少していくのでたん白質はとても大切です。
白身の魚、卵、豆腐など大豆製品、脂身のない肉なとは、若い時と同じ位とりたいものです。
また、カルシウムもそうです。年をとると、女性に多いといわれる骨粗鬆症という、骨折しやすい病気が増えてきます。
牛乳、乳製品、海草、小魚などもできるだけとりましょう。
それから、ビタミン類やミネラルなどもやぱり減らさずにとらなければなりません。
野菜や果物は、このほかに便秘を予防する働きもあります。
食物繊維を進んでとるように努めましょう。
「いも」類にも繊維が多く、さつまいもにはビタミンCも比較的多く含まれています。
次に調理士のポイントについて考えてみましょう。老年期に入ると入れ歯の人が多くなります。入れ歯のそしゃく力は、健全な歯をもっていた時よりもかなり低下します。ですから、食べやすくするため、次のような配慮が必要です。
固めの食品は、かくし包丁を入れたり、小さく切って柔らかく煮たりします。
肉は、うす切りにしたものや、ひき肉などを使い、食べやすくします。また、煮過ぎると固くなるので注意しましょう。
野菜類は時間をかけて、ゆっくり煮込みます。
妙め物のときは、野菜は茹でてから妙めるようにし、植物油を使いましょう。
うす塩でもおいしく食べられるように、胡麻、くるみ、ピーナツ、レモン汁などの和え衣をたっぷり用いましょう。
てんぷらには、必らず天つゆに大根おろしを添えましょう。そのほかフライなど表面の衣が固くて食べにくいときには、だし汁でさっと煮たものを食膳に出しましょう。
飲み込みがうまくできず、むせるようなときは、汁物にかたくり粉を入れて、とろ味を付けることも効果があります。とろ味を付けた汁物は熱過ぎないよう気を付けましょう。
老年期になると、生理的な味覚の低下と入れ歯を使うことによる、”味覚の鈍化”がみられるようになり、味付けが濃くなりがちです。そこで、食塩をとり過ぎないように、次のような配慮をしましょう。
鮮度のよいもの、旬のものを利用して、その持ち味でおいしく食べられるように心がけましょう。
和えものには胡麻、焼きものには適量のしょう油に、みりんなどを上手に使って、香ばしさを出すようにしましょう。
酸味のある食品、たとえばレモンやゆず、かぼす、すだち、ヨーグルトなどを和えもの、焼きものに利用しましょう。
香りの強い食品、例えばねぎ、みつ葉、生姜、のり、しそ、きのこなどを上手に生かし、おいしく食べられる工夫をいたしましょう。
さらに、心理的な面で満足してもらえるような演出を心がけましょう。
食事の不満は、生活全体の不満となり、感情的な不安定を招いたりします。
食事が単調になることも気分的な満足感を損ないます。主食に主菜や副菜をうまくとり合わせて、食事に変化をもたせましょう。
食器についても、食べものの色との組み合わせなどを考えるとよいでしょう。
老年者の食事というと、すぐにコレステロールの少ないものや塩分の制限といったことにこだわりがちですが、これも行き過ぎるとかえってマイナスとなる場合があります。なお、高齢になっても糖尿病や痛風などがない場合は、あまり細かい栄養学的な注意よりもむしろ、食欲不振をきたさないような配慮が大切でしょう。いつまでも健康で長生きできるよう、家族みんなでたのしい食生活を心がけましょう。
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