日本人の寿命と生活

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野生動物には老化がない  

著者は20年ほど前、海外医療専門家チームの団長として家族と共に東アフリカのケニヤ国に居住し、多くの野生動物を身近に見て来た。 

自然界の動物の寿命は遺伝的背景を持っており、その種族、系統によって運命づけられている。概して言えば、からだの大きい動物ほど長命で、からだの大きさと寿命には正の相関が認められる。そして動物には老化がなく、草食動物にしろ肉食動物にしろ、老化は死を意味している。この相関から大きく外れて老化があって長命なのが人間である。人間には生活環境を整えることができ、その良否が要因として強く作用する。

「人生50年」は昔の話?  

日本は戦後50年足らずの間に世界の最長寿国となった。現在、男性78歳、女性83歳の平均寿命となっているが、あの有名な『人生50年……』と舞った織田信長の時代を含めて、戦前まで日本人の寿命は50歳に達していなかった。しかも、明治に至るまで人口は3,000万人を超えることはなかった。これは飢饉や疫病など、衣食住の生活環境の劣悪に基づくものであった。また、日本人の体格ついても戦後の若者の身長の伸びは著しく、かくも短年数でこれほど身長を伸ばした国民はなく、しかもそれは脚が長くなったことによるもので、他の民族の歴史上にも例を見ないものである。寿命の延びや体格の増大に見られる事実は、戦前までの日本人の生活が如何に貧しく、生活環境が劣悪であったかを物語るものである。そして戦後の経済発展が素晴しく、これに基づいて食料の供給、質の改善、衛生状態などあらゆる生活環境の整備が豊かな生活を作り、日本人の寿命に反映されたかを如実に示すものである。 

既に過去の歴史の中に埋没されようとしているが、戦前の海外移民は国策による棄民とも言えるものであることから、戦前の日本は現在の豊かさからは想像もできないほどの貧しい国であった。日本民族の歴史の中で現在ほど飽食の時代はない。もともと日本人は飢餓民族であった。飢餓には強いが、飽食には耐えられない素質をもった民族である。今日本人の成人10人に1人は糖尿病に罹っていると言われる。そして同じ飽食の米国において、日系人は欧米系のアメリカ人に較べて、10倍ほど糖尿病罹患率が高いことが知られている。これは飽食に対し弱い日本人の体質に基づくものである。

今後寿命は低下する?  

『動物の寿命を延ばすことができるのか』という研究がある。それによれば、自由摂取でネズミを飼育した場合とカロリー制限をした場合とでは、後者の方が確実に寿命が延びている。そして、更に寿命の後半でバランスのとれた質の高い食餌摂取をすれば、その効果は大きいことが証明されている。今の高齢の方々は戦前・戦後の経過の中で、この研究テーマに準じた偉大な人体実験(?)の成果を証明したことになる。しかし一方で、熟年者の成人病としての高脂血症の増加が社会的問題となっているが、コレステロールは老化を早める因子である。 

日本の現状は、外食を含めて飽食によって児童の血中コレステロールが欧米の児童に較べて高値となっており、成人病が増えているという重大な危険を示す現象が見られている。彼らが高年齢になった時、現在の長寿命を更新するであろうか? 筆者は今後低下していくのではないかと思っている。 

我が国の経済発展が、そして生活環境の改善が如何に素晴しいものであったかを示す事実と共に、今後別の課題を秘めていることになる。

若者こそ老化問題を考えよう  

このように、日本人の寿命が戦後50年の短期間に人類史上例をみないほどの驚異的な延びを達成したが、今や一方でこの高齢化の進展が家庭的にも社会的にも重大な関心事になりつつある。そこで改めて老化の問題に触れてみたい。 

先に述べた如く、老化は人間だけに見られる現象で、野生の動物では老化は即、死と同義語になる。最近は家庭で飼われているペットに成人病や老化の現象が見られるようになってきたが、これはペットが野生の動物ではなくなり、人間と同じ生活環境にあることを示している。 

なぜ老化が起こるかの機序は解っていないが、それが生理的なものか、または病的なものかで意味合いが大きく違ってくる。後者で問題になるのが老人性痴呆、いわゆる「ぼけ」と言われるものである。この「ぼけ」には二種類あって、その一つは米国の前大統領レーガン氏が自己告白し、国民に別れを告げた〔アルツハイマー病〕である。この病気は脳細胞が死滅していくもので、病因は解らず欧米人に多く、最も恐れられている病気である。今のところ、日本人には少ないとされている。これに対してもう一つのものは、日本人に多いとされる〔脳血管性痴呆〕で、脳動脈の動脈硬化に基づく脳実質の梗塞による機能消失である。いずれにしても「ぼけ」られた当人には病識がなく恍惚の人となるが、周囲の人達には大変な負担が掛かり、肉親の愛情だけでは対応ができない事態にまで追い込まれることが往々にしてある。このような老人を介護するのに、最近2人の健常者が必要と言われているが、そうなれば少子高齢社会においては、大袈裟な言い方をすれば、老人を世話するだけで生産性のある仕事に従事する人間がいなくなる恐れがないとは言いきれない。 

老人性痴呆について学術的に詳述する誌面はないが、「人間は血管と共に老いる」という有名な言葉がある。要は若い時分からの高脂血症、動脈硬化、高血圧などの循環器病の予防にある。 

老化は老人における問題ではなく、その素因は若い時分に作られるもので、むしろ若い人が関心を持つべきものである。今後とも自分の人生の中で自分の生活態度によって、言い換えれば、自分の責任下で人生の後半での病気が如何に作られていくかを知っててもらいたいと願っている。「成人病」は「生活習慣病」と名を変えた。




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中国酒
2008/12/01(月) 07:05 | URL | #-[ 編集]
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