2008年01月

ここでは、2008年01月 に関する情報を紹介しています。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
老年期の生活を明るく実りのあるものにするためには、まず、毎日の食生活が基礎となります。

 老年期の食生活を考えるにあたっては、いろいろな点で成長期や成年期の場合と違った特性があります。そのことを考慮した上で、老年期の食生活について、留意点をまとめてみましょう。

 老年期に入ってから若さをとり戻すことはとても困難ですが、20代~30代といった若いときから、食生活をはじめ生活全般に注意を払うことによって、老化を遅らせることは十分可能なことです。


また、老年期に入ってからも、毎日の食生活とともに適度な運動を行えば、体の機能の低下を少しでも遅らせることができて、いつまでも元気で暮らすことができます。

 年をとっても食欲はさほど衰えず、食べる楽しみの中に生きる喜びを持つ人も増えています。食事を直接作る主婦を初め、家族がこうした立場をよく理解したうえで、栄養的にも味付けにも、思いやりのある食生活を考えてあげましょう。

 老年になると、次第に歯が抜け、総入れ歯になるということなどもあって、そしゃく力が低下しがちです。

 また、高血圧、心臓病などいわゆる成人病(生活習慣病)や慢性便秘といった悩みを持つ人も少なくありません。老年期の食生活は、こうした体の機能の低下や健康状態に併せて十分配慮することが大切です。

 老年期に限らず、すべての年代に共通することですが、まず食生活における栄養土のポイントについてご説明いたしましょう。

 健康状態や老化の程度については、同じ年齢でも個人差が表われるため、一律に論じるわけにはいきません。しかし、栄養素の摂取や食品の摂取については、少なくとも次のことに配慮したいものです。

 老年期はその人の日常生活の内容によってかなり個人差はありますがエネルギーの所要量は壮年期より少なくて足りるようになります。


 エネルギーのとり過ぎや運動不足は、肥満の原因になるため、エネルギーについては、特に過不足にならないよう気を付けましょう。

 しかし、老人になっても減らしてはいけない栄養素がいくつかあります。まず、たん白質です。老年期に入ると細胞成分や細胞数が減少していくのでたん白質はとても大切です。

 白身の魚、卵、豆腐など大豆製品、脂身のない肉なとは、若い時と同じ位とりたいものです。

 また、カルシウムもそうです。年をとると、女性に多いといわれる骨粗鬆症という、骨折しやすい病気が増えてきます。

 牛乳、乳製品、海草、小魚などもできるだけとりましょう。


 それから、ビタミン類やミネラルなどもやぱり減らさずにとらなければなりません。

 野菜や果物は、このほかに便秘を予防する働きもあります。

 食物繊維を進んでとるように努めましょう。

「いも」類にも繊維が多く、さつまいもにはビタミンCも比較的多く含まれています。

 次に調理士のポイントについて考えてみましょう。老年期に入ると入れ歯の人が多くなります。入れ歯のそしゃく力は、健全な歯をもっていた時よりもかなり低下します。ですから、食べやすくするため、次のような配慮が必要です。

 固めの食品は、かくし包丁を入れたり、小さく切って柔らかく煮たりします。

 肉は、うす切りにしたものや、ひき肉などを使い、食べやすくします。また、煮過ぎると固くなるので注意しましょう。

 野菜類は時間をかけて、ゆっくり煮込みます。

 妙め物のときは、野菜は茹でてから妙めるようにし、植物油を使いましょう。

 うす塩でもおいしく食べられるように、胡麻、くるみ、ピーナツ、レモン汁などの和え衣をたっぷり用いましょう。

 てんぷらには、必らず天つゆに大根おろしを添えましょう。そのほかフライなど表面の衣が固くて食べにくいときには、だし汁でさっと煮たものを食膳に出しましょう。

 飲み込みがうまくできず、むせるようなときは、汁物にかたくり粉を入れて、とろ味を付けることも効果があります。とろ味を付けた汁物は熱過ぎないよう気を付けましょう。

 老年期になると、生理的な味覚の低下と入れ歯を使うことによる、”味覚の鈍化”がみられるようになり、味付けが濃くなりがちです。そこで、食塩をとり過ぎないように、次のような配慮をしましょう。


 鮮度のよいもの、旬のものを利用して、その持ち味でおいしく食べられるように心がけましょう。

 和えものには胡麻、焼きものには適量のしょう油に、みりんなどを上手に使って、香ばしさを出すようにしましょう。

 酸味のある食品、たとえばレモンやゆず、かぼす、すだち、ヨーグルトなどを和えもの、焼きものに利用しましょう。

 香りの強い食品、例えばねぎ、みつ葉、生姜、のり、しそ、きのこなどを上手に生かし、おいしく食べられる工夫をいたしましょう。

 さらに、心理的な面で満足してもらえるような演出を心がけましょう。

 食事の不満は、生活全体の不満となり、感情的な不安定を招いたりします。

 食事が単調になることも気分的な満足感を損ないます。主食に主菜や副菜をうまくとり合わせて、食事に変化をもたせましょう。

 食器についても、食べものの色との組み合わせなどを考えるとよいでしょう。

 老年者の食事というと、すぐにコレステロールの少ないものや塩分の制限といったことにこだわりがちですが、これも行き過ぎるとかえってマイナスとなる場合があります。なお、高齢になっても糖尿病や痛風などがない場合は、あまり細かい栄養学的な注意よりもむしろ、食欲不振をきたさないような配慮が大切でしょう。いつまでも健康で長生きできるよう、家族みんなでたのしい食生活を心がけましょう。


健康のブログ
良心的スポーツ店
スポンサーサイト
まず第一の、からだの健康について、考えてみましょう。

 国や地方自治体は、国民の健康を守るために、いろいろな事業を行っております。

 しかしやはり、一人一人が自分で自分を管理することが肝心です。
日頃の自分の健康状態をよく知っておき、それにふさわしい生活を送ることが必要です。

 ただし、そうはいっても自己流の健康法で臨むことは危険が少なくありません。
 定期的に健康診断をして、医師や保健婦さんから、正しい指導を受けましょう。

 一般に老人は若者よりも病気を持っている割合が多いことはやむを得ません。
 しかし、65歳以上でも1年間、まったく床に就かなかった人は半数以上ですし、せいぜい10日以内の短期間しか床に就くことがなかった人を合わせますと、80%を越える程で、元気な老人は多いのです。

 それに、もし病気を持っているとしても決して心配することはありません。
 高血圧や心臓病、糖尿病、肝炎などにかかっていたとしても、それなりに気を付ければ立派に暮すことができます。
 一病息災という言葉がありますが、何か一つの病気を持っているとよくからだに気を付けるため、病気がなく気を許している人よりかえって長生きするということです。


 第二は心の健康です。

 人間は、年をとるとともに体が衰え、それに伴って精神機能も低下するという、いわゆる老化現象が現れますが、これは、誰にでも起こることです。
 しかし、老年期には高齢化に伴う人生課題や生活課題がありますから、精神的に不健康な状態になることも考えておかなければならず、実際に精神障害の起こることも少なくありません。

 たとえば、60歳代では定年になって社会から引退することによって生ずる挫折感や将来の生活への不安がみられたり、70歳代では死への不安などがみられることがあります。

 心の不安については、専門の医師などにより的確に状態を把握してもらい、その結果に基づく適正な指導を受ければ回復して安らぎを得られるものです。

 絵を描くとか、音楽を愛好するとかの趣味や、旅行、スポーツなどレジャーによって、不安を解消することが広く行われており、これもなかなか有効です。

 しかし、誰でも、いつでも共通してできることは信頼できる人を身近に持つことです。
 配偶者や家族、友人などはもちろんのこと、医師や保健婦と親しくして、いろいろ相談することもよい方法です。

 このように、いろいろな人たちと心措きなく会話を交わすことは、精神的な緊張をほぐし、心の安らぎが得られるものです。

 このことは、ひいては社会人としての健康という第三の健康につながるものです。

 社会人としての健康の基本は、家に閉じこもっていないということです。
 家族以外の人とも進んで付き合うことが大切です。
 積極的に外へ出て、地域の人たちとの結び付きを図るよう心がけましょう。

 そして、街では必ず誰かがあなたを必要としているはずです。
 すぐにでもできることは、お互いの助け合いです。毎日の生活で、身近な者同志が、暖かい手を差し伸べ合うことを、沢山の人が望んでいる のです。
 例えば、年上の人の話し相手になったり、年下の人の相談相手になったりするなどです。

 ボランティア活動はそのためのよい方法の一つで、日本の高齢者の約15%がいま参加しています。

 また、そのための団体や組織に加わるのが早道でもあり、町内会、自治会、老人クラブなどはボランティア活動のチャンスを多く持っていま す。保健婦や、社会教育関係の人と相談すれば、もっと多くの団体などがあると思います。

 とにかく、積極的に人との交流を持つことが大切です。外国でも高齢者は多くのグループ活動をしています。

 特に欧米では宗教活動や、社交的集いが盛んに行われ、これらを通じてボランティア活動も盛んです。

 活動の内容はいろいろありますが、わが国では、一般の人たちに対する地域活動、児童や青少年に対する地域活動、老人に対する地域活動な どが多く、

 そのほか、養護施設や障害者に対するボランティア活動などがあり、最近はリサイクル運動まであります。

 いま、65歳以上の人を調べますと、寝たきり老人が25万人、一人暮らしの老人が98万人にも上ります。
 これらの人たちは、何らかの形で援助を必要としているのです。

 また、ボランティア活動をしようとする動機は、社会的に何か役に立ちたいから、というのが約4割と圧倒的に多いのです。


 しかし、その結果は、人の役に立つと同時に、自分自身のためにもなるのです。
 どのようなことが自分のためによかったかといいますと、約3割の人が、思いやりの気持が深まった、友達を得ることができた、共通の話題 ができたと、答えていますし、

 ほかに、人間性が豊かになった、生活に充実感ができた、知識や技能が身について、健康になったという人も多いのです。

人間は、年をとっても創造力は決して衰えるものではありません。

 先頃開講された放送大学に、多くの高年齢の人が参加しましたが、新しさを求める若い心は常に養いたいものです。新たなものを発見する喜 びという、広い意味での創造性を大切にしましょう。知識や技能が身に付いたという喜びは端的にこれを物語っているわけです。

 人世において、常に新鮮な関わりを持つことは創造性を高めることになります。

 高齢者の安らかな生活が保障されることはもちろん必要ですが、さらに積極的に創造活動に関わることによって、充実した人生を発見するこ とができるというものです。

 国や地方自治体は、こうした方向に沿っていろいろな施策を講じております。
 芸能、芸術などの趣味や技能、知識などの能力の教室から、進んで国際性の啓蒙まで巾広く行われているところもあります。
 また、ボランティア養成講座を開いたり、相談員を公民館に派遣している所もあります。


 更に、経験や技能を生かす工夫もなされています。
 このように見てきますと、高齢化社会を明るいものにするという将来像が感じられるでしょう。

 高齢者の割合が多くなるこれからの我が国では、このように充実感を持って活動する老人が増えれば増えるほど、今までにない住みよく明る い社会ができ上るでしょう。

 これから、ますます高齢化が進む日本の社会を、生き生きとしたものにするよう、みんなで力を合わせたいものです。

健康のブログ
良心的スポーツ店
生きがいとは、人を生きることに向かわせる動機づけのことと考えられます。高齢者の実際の生きがいは非常に多様です。生活価値類型による分析では、仕事や遊び、学習など生活全般に生きがいを有する積極志向型、何らかのスポーツや運動に大きな生きがいをもつスポーツ志向型、人と異なった才能や能力をみがき育てることに生きがいをもつ個性化型、自分らしく生きることを重視する自己充足型、気ままにのんびり暮らすことに生きがいを有する人生享受型、さらに出世志向の強い出世志向型などに分けられます。人間だれしも自分の存在意義を認め、生きていることを実感させる何ものかを有しており、生きがいはどの世代においても重要なものですが、特に高齢期で生きがいが問題となる場合が多いようです。この背景には、高齢期においては定年退職などによる経済的基盤の喪失、身心の健康状態の悪化、子どもの独立、配偶者や友人・知人の死、あるいは社会的つながりの喪失などさまざまな局面における喪失があり、生きがいが失われたり変容する場合が多いことがあげられます。しかし、一方では、家事を含む労働から開放され自由時間は多くなったり、健康を害してはじめて障害者のつらさ、人の心の暖かさがわかる場合もあります。逆に社会的つながりの喪失にしても、他人に拘束されにくい生活、複雑な対人関係からの解放など、新しい生きがいづくりに有利な側面もあります。
 生きがい喪失の予防には、喪失体験の人生にとって否定的な側面だけでなく、肯定的な側面にも目を向けること、また、喪失を補完するために生きがいの源泉を複数もち、それを支援する体制を作り上げることが必要と考えられます。現在わが国では、主な生きがい対策として、生きがいを生み出す主な源泉として就労と余暇に重点をおき、政策的にはシルバー人材センターや高齢者無料職業紹介所が設立運用されています。また、老人クラブ助成事業や、老人憩いの家などが開設されたり、老人大学や公開講座など多面的な対策が講じられています。余暇活動の実態についてみると、東京都福祉局の高齢期の余暇活動の参加状況の調査結果では、65歳以上の男性の53.2%、女性の57.6%が特に何も活動していないとの回答でした。年齢が高くなるに伴い、余暇に特に活動しない者の割合は高くなり、85歳以上では70.4%にもなります。また、余暇活動の参加状況は経済状態にも大きく影響され、本人の年収が少ないほど、余暇に特に何もしない者の割合が多くなっています。労働に生きがいをもつ高齢者も多いのですが、近年高齢者の就労は困難な状況が続いていて、定年制により、強制的に失業者、あるいは低賃金労働者としての生活を余儀なくされている者が多くなっています。高齢者の労働力率も減少傾向にあります。老後の就労や余暇活動が生きがいとして成り立つためには、老後の所得や医療、住宅など生活全般にわたる十分な保障と、継続雇用の推進、社会活動参加の機会の確保が重要な課題と考えられます。

健康のブログ
良心的スポーツ店
いま、我国の65歳以上の高齢者は年毎に増える傾向にあります。そのことは、人生80年といわれるように、かなりの人々が長生きできるようになったことでもあります。従って、私たちは健康で、しかも、充足感のある高齢社会を形成していきたいという願いを持つようにもなってきています。

 しかし、現実には高齢になると、人間誰れもが避けて通れぬ「老い」の問題が沢山あったり、病気やケガがから寝たきり状態になってしまい、介護を受けなけれぱならなくなる等といったことが日常的になってきます。

 ・ 人生いろいろ″と演歌でうたわれているように、人はまさに、さまざまな生き方をして生涯を終えています。私たちが、いつまでも健康で長生きするには、どういう生活が好ましいのでしょうか。

 ここでは、健康に暮らす人々の日常生活の一端を紹介しながら、・いきいき元気で80歳″のあり様を探ってみたいと思います。

 武田政江さん、78歳、ご主人と共に、とてもお元気です。

 その秘訣の一つは、食生活に注意していることです。ハチミツ、レモン、食酢で好みの味付けにした、特製わかめの酢のものを毎朝、食べています。

 そして、好物は小あじの空揚げや、骨までやわらかく煮た、小あじのつくだ煮です。特に、小あじの空揚げは、野菜あんをかけるとおいしく、栄養バランスのとれた良いおかずになっています。

 だし類は、必らず天然のものを使うようにして、添加物の多い加工食品などは控えるようにしています。ごはんは、長い間にわたって胚芽米を食べています。

 食事は常に、腹八分目を心がけています。

 政江さんがはつらつとしているもう一つの秘訣は、若い人たちと交流していることです。

 政江さんは、長年にわたって華道の先生をしてきました。生徒さんの数は減らしたものの、今も週1回若い人々にお花を教えています。

 政江さんにとって、このお花のおけいこ日は楽しい一日でもあります。若い人々との交わりは、この華道を通じての他、親交を通しての交流もあります。それは、自宅を開放して行っているバーベキューパーティーなど、積極的に楽しい集いをと、心を配っています。

 この他に、本は若い頃からよく読みます。今でも暇さえあれば、本を読んでいます。好奇心が旺盛なことも、読書につながっているようです。

 また、短歌もつくっています。十数人の仲間といっしょに先生に習っていて、8年前、自費で短歌集「匂ひすみれ」をだしています。

 食事に気を配り、若い人と交わり、趣味をたしなむ、といった日常生活を過している政江さんは、ますますお元気です。

 池谷 匡さん90歳。若い頃から農業に従事してきた池谷さんは、今もよく体を動かして暮しています。

 毎朝、門の前に出て、軍隊時代に覚えたという簡単な体操を10分問くらいですが、欠かしません。雨の日は、家の中て体操をしています。

 そして、週3日、仲間とゲートボールを楽しんでいます。

 はつらつとしていて、とても、90歳とは思えぬ若さです。この池谷さんは、今も自分の歯がそろっていて、食べものは何でもおいしく食べられます。

 盆栽は、若い頃からの趣味です。何十年もの長い間、手入れを続け、今では200鉢以上にもなっています。

 池谷さんは歩くことも欠かしません。家が小高い所に建っているので、外出の折りなど、ゆるい坂の上り下りもよい運動になりますし、

 晴れた日には、少し遠くまで散歩もします。しかし、ただ散歩するというのではなく、風景をながめながら、四季折り々々の移り変りを楽しむといったこともあります。

 そして、毎朝新聞をよく読み、毎日、日誌をつけています。ただ記録的につけるだけてはなく、反省や、明日への励みになるように書きとめているとのことです。

 「物は続けなきゃ、何にもなりません」とおっしゃる池谷さん。若い頃から毎日体操をする、歩く、などといった日常の小さな積み重ねを大切にして生きている池谷さんは、とてもお元気です。

 次に、高齢者のための水慣れ教室から、クラブに入って水泳を続けている健康な皆さんを紹介しましょう。

 泳げない人はこのように水の中で歩いたり、このように足をバタバタさせたりして、水に慣れてきます。

 6回の・水慣れ教室″が終っても、水に入る楽しさと、仲間との交流が持てる楽しさから、水泳を続けたいという希望者も多く、水泳クラブに入会して、泳ぎの練習をしています。
 
 クラブに入ってしばらくすると、はじめ泳げなかった人たちも、みんな上手に泳げるようになります。

 水泳クラブは、50歳~80歳くらいまでの年齢の人たちが寄り集まって泳いでいるので、
高齢の人たちにとっては、自分より若い人たちとも交流が持てるという利点もあります。

 この水泳を通じて、クラブの仲間と、一年に1~2回は、和気あいあいと旅行を楽しみ、趣味を同じくする人をみつけることができ、健康になると同時に、地域の友達の輪も広がり、以前に比べて楽しく充実した生活を送っています。

 ちょっと食生活に気を付ける、よく体を動かす、といったことから、さらに何か趣味を持って、充実した日々を送っています。いいかえれば、ごくあたりまえの健康法の基本を実行してこられて、いま、はつらつとしてお元気です。みなさんも、これらの人々に負けないよう、健康で充実した日々が送れるようにいたしましょう。

健康のブログ
良心的スポーツ店
秦の始皇帝が不老長寿の霊薬を探し求めたという伝説を持ち出すまでもなく、不老長寿は人類の歴史が始まって以来の夢だ。そして最近、老化のなぞに迫る新しい研究成果が次々と上がっている。不老長寿が果たして可能なのか、そしてそれがほんとうに人類にとって福音なのかどうかの議論は別にしても、だれもが少しでも長く健康な老後を送りたいと願っている。健康で豊かな老後を送るための生活習慣、食生活、心のあり方を探るとともに、最近の老化研究の動向などを紹介しよう。

世界一の日本人の平均寿命

 生物の寿命といっても、その定義は意外と難しい。屋久島には樹齢何千年もの杉の大木が茂るなど、環境がよければいくらでも長生きできる樹木に寿命はないとされる。また、細菌などのように分裂して増殖する生物は、分裂した時点で生まれ変わるともいえ、これも寿命はない。一方、われわれ哺乳動物は、どんなに生活環境を整えても、ある一定の年月以上は生きられない。ネズミは2、3年、犬は15年くらいで、人間はだいたい120年といわれる。
 紀元前の人間の平均寿命は15歳くらいだったといわれる。明治33年の日本人の男の平均寿命が38歳で、女が39歳だったと聞いて、その短さに驚く人も多いだろう。それが戦後瞬く間に長寿国の仲間入りを果たし、そして世界一となった。平成10年の日本人の平均寿命(ゼロ歳の平均余命)は、男で77.16歳で、女が84.01歳。日本人の平均寿命がこれだけ延びた理由は、国民の栄養状態がよくなったことと、伝染病対策や地域の健康診断など社会の保健・衛生状態がよくなったこと、そして医療が進歩したことだ。しかし豊かになったことで逆に現在、過食や運動不足などで多くの人が生活習慣病を抱え、この世界一の長寿命国の地位を危うくしているというのは、なんとも皮肉である。

複雑な老化のメカニズム

 寿命が近づくにつれて人間は、血管が硬くなり(動脈硬化)、骨がもろくなり(骨粗しょう症)、眼の水晶体が濁り(白内障)、頭の働きがにぶくなる(老人性痴ほう)。これが老化である。どうして生体に老化が起きるのかという問題は、今でも生物学の最大のなぞの1つである。それでも最近、少しずつその手がかりがつかめてきている。
 老化をコントロールしている物質として、最近注目を集めているのがテロメアだ。人の細胞には48種類の染色体があるが、その染色体それぞれの末端にある組織がテロメアで、これが生命の設計図であるDNA分子の安定化をはかっている。細胞が分裂するごとにこのテロメアが短くなり、ある程度短くなると細胞は分裂しなくなり、そして死ぬ。あたかもテロメアという死のタイマーが、寿命をきざむように短くなっていくのだ。しかし、短くなる一方で、短くなったテロメアを修復する酵素もある。これがテロメラーゼだ。しかし生殖細胞とがん細胞ではテロメラーゼが働いているが、普通の体細胞ではテロメラーゼは働いていない。からだは老化するが、生殖細胞とがん細胞は老化しないということだ。そこで最近、この酵素を活性化させて長寿を実現できないかと世界中で研究が進められている。平成10年1月には、米国の研究者が通常70回しか分裂しないヒトの皮膚の細胞にテロメラーゼを与えたところ、寿命が延びて90回以上分裂したと発表し、話題になった。
 強い酸化作用があるフリーラジカルや活性酸素が組織や遺伝子に障害を与え、その障害が積み重なって老化が進むという考えも注目を集めている。人間が生きていくために欠かせない酸素が、実は老化の原因だというのだ。事実、ネズミよりイヌ、イヌよりヒトといった具合に、体重あたりの酸素消費量が多い生物ほど寿命が短い。活性酸素は脂質を過酸化脂質に変えて動脈硬化を引き起こすし、紫外線は皮膚がんを引き起こす。もちろん人間の体内には、フリーラジカルや活性酸素を無毒化する抗酸化物質があるし、食品の中のビタミンCやEなどにも抗酸化作用がある。このため、これらのビタミンを含む緑黄色野菜を多くとることが長生きの秘訣とされる。
 そのほかにも老化のメカニズムを説明する理論は山ほどある。いずれにせよ哺乳動物の老化のメカニズムはたいへん複雑で、現実にはそれらの多くのメカニズムが複雑にからまって老化が起きているようだ。


進む長寿研究

 11年7月、米国カリフォルニア大学のマイケル・ローズ博士らが、ショウジョウバエを使って、寿命に関係する遺伝子を活性化させることで、通常のハエの寿命の3倍に相当する130日間生かすことに成功したと発表した。この遺伝子は細胞の損傷を修復する能力があり、老化防止の治療薬の開発につながるのではないかと注目されている。そしてその二か月後の9月、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが、神経成長因子を作る遺伝子を組み込んだ皮膚の細胞をアカゲザルの脳に移植したところ、老化で萎縮していた脳細胞が若返ったという研究成果を発表した。記憶力など脳の機能の回復についてはまだ明らかにされていないが、アルツハイマー病などの治療に応用できるのではないか、ということで同研究チームはさらに臨床試験を計画しているという。
 このように老化研究に熱心な米国は、若さに大きな価値を置く文化の国でもある。そのため、米国では若さを取り戻そうとホルモン療法が注目を集めている。そこで使われているのが、エストロゲン(卵胞ホルモン)やHGH(ヒト成長ホルモン)、メラトニン、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)などだ。HGHは成長期には欠かせないホルモンで、骨粗しょう症の時には骨の密度を増し、心肺機能を回復させたり、免疫機能を回復させたりする。メラトニンは睡眠の調節や精神的な安定、免疫系の強化などに関与している。DHEAは性的能力や記憶力を改善、若さを保つといわれている。

長生きはウオーキングから

  平成11年10月、東京の東条会館で日本人類学会大会のサテライトシンポジウム「豊かな老後:歩くこと動くことから」が開かれた。450万年も昔、人類の祖先の猿人が直立2本歩行を始め、手を自由にあやつれるようになり、脳が急速な進化を遂げた。会場では、毎日歩くことが人間にとっていかに大切であるか、さまざまな立場から繰り返し強調された。東京都立大学からは、からだを動かさないと骨がもろくなるというラットの実験結果が紹介され、東京都老人総合研究所からは、ウオーキングが長寿につながるという研究発表があった。ウオーキングは心肺機能を高め、肥満を防止し、高脂血症などの生活習慣病を予防するだけでなく、運動機能を高めて転倒で骨折して寝たきりになるのを防止するのだ。

バランスのよい食事と禁煙

 平成10年10月、(財)長寿科学振興財団があいち健康の森で「国際長寿科学シンポジウム」を開催した。そのなかで、東京都老人医療センターから、長寿のための食事ということで動脈硬化予防などの観点から、次のような7つのポイントが提案された。1、脂肪を取り過ぎない。動物性脂肪より植物性の油を多めに。2、塩分を控える。3、緑黄色野菜を十分に取る。4、豆類や魚介類などのたんぱく質も十分に取る。5、多様な食品でバランスのとれた食事にする。主食、主菜、副菜をそろえて。6、お茶を飲む。7、心の触れあう楽しい食生活をこころがける。どれもこれもどこかで聞いたような指摘ばかりかもしれないが、7番目の「楽しい食事」はけっこう忘れがちだが、大切なポイントだろう。
 さらに同シンポジウムでは、鹿児島大学医学部の秋葉澄伯教授が喫煙と寿命の関係について講演。たばこが肺がん、喉頭がんなど各種がんや心筋梗塞などの循環器疾患を引き起こすとしたうえで、「男女の平均寿命の差は6・5年あるが、もし喫煙の影響を取り除くことができれば、2年くらい長くなり、男女差は4年くらいに縮まる」と指摘した。

沖縄に学ぶ

 日本は世界一の長寿国である。その日本でも沖縄県が長寿県であることは世界的に有名だ。多くの研究者が長寿の理由として指摘する特徴がいくつかある。食生活では、塩分が少なく、ニガウリやヘチマなどの緑黄色野菜をよく食べる、沖縄豆腐、豚肉、海藻など豊かなたんぱく質とミネラルを摂取しているなどだ。これは、先の東京都老人医療センターの7つのポイントと相通じる。
 もちろん、沖縄の温暖な気候とあまりものにこだわらない気質も、大きな要因である。ものにこだわらないということは、別の言い方をすれば精神的なストレスを感じないということである。ストレスは体内に活性酸素を増やすので、老化を促進する原因となる。また、東京のお年寄りに比べてよく散歩をしている、睡眠障害を訴える人が少ないという研究データもある。さらに、沖縄にはお年寄りを大切にすると同時に、お年寄りが生き甲斐を持って活躍できる風土、文化があるということも、長寿の理由として忘れてはならない大切なことである。
 琉球大学が100歳以上のお年寄りに長生きの秘訣を聞いた調査結果がある。そこでは確かに、「何でも食べる」「気楽に生きる」「よく働く」がトップを占めていた。しかし、回答の8割が「不明」だったことは何とも示唆的である。長寿者は日ごろ、「健康のためにあれを食べよう」「運動をしよう」などと考えてはいないのである。いくら健康にいいと言われても、嫌いな食物を無理やり食べたり、いやいや運動していては逆効果なのだ。

最後に、中高年のために

 われわれが健康で楽しい長寿を送るために、中高年は今から何に注意すればよいのか。食生活に関しては、カロリーを取り過ぎないこと、抗酸化物質を多く含む緑黄色野菜やお茶を取ることなどに加えて、東京都老人総合研究所の柴田博副所長は「日本人は1日平均、肉を80グラム、魚を97グラムと、ほぼ1対1の割合で食べている。しかし、歳を取ると肉を食べなくなる傾向があるが、肉をしっかり食べることが大切」と指摘する。その理由として、肉は食品としてアミノ酸のバランスがよいこと、吸収しやすい形で鉄分が多いこと、酸化されにくい一価の不飽和脂肪酸が多いこと、さらに肉を食べないとぼけやすい、がんになりやすいことなどを挙げている。
 言うまでもなく、毎日の運動も大切だ。柴田副所長は「布団の上げ下ろしや雑巾掛けなど、日常の生活の中でからだを動かすことが大切です。永続性があるし、あらゆる筋肉を使うことになるからです。さらに、肥満などすでに生活習慣病が気になる人は、ウオーキングなどうっすら汗をかく運動を1日20分くらいした方がいい」という。「でも月に1回のゴルフがまるで無駄というのではありません。ゴルフをするとなれば、日ごろ練習をしたり、夜遊びを控えたりとその人の日常生活が変わる。生活のリズムを変えるという意味では有効です」という。
 そして「人のために何か社会的な活動をすることも大切です。自分のためだけの趣味に打ち込むより、ボランティアや相互扶助など人のために活動している人の方が、免疫力もQOL(生活の質)も高く、そして長寿になるのです」と、中高年にアドバイスをしている。

「健やかに老いる」ために
~百歳長寿者との面接調査で分かったこと~

 毎年9月に厚生省が国内の満100歳以上の長寿者の名簿を発表している。(財)健康・体力づくり事業財団はこの名簿をもとに長寿者と面接調査を行い、「健やかに老いる」ための生活習慣、食生活、福祉や介護のあり方などを探っている。この調査研究を担当している同財団の上村美智留研究員と岩渕久美研究員の2人に、これまでの調査で分かったことや感じたことなどを聞いた。
 長寿者の調査に関しては、昭和56年度に「長寿者保健栄養調査」という名前で全国の対象者1,018人中1,009人について面接を実施、平成5年の「長寿者保健福祉調査」では、3,070人中2,851人の面接を行った。現在進めている11年度の調査では、対象者が11,346人もおり、うち半分の面接調査を計画している。
 2人に、これまでの調査を簡単に紹介してもらった。平成5年度の調査結果では、長寿者の父親は70歳代で亡くなっているケースが一番多く、母親は80歳代が一番多かった。彼らが江戸時代末期から明治初期にかけての生まれで、当時の平均寿命が20歳くらいだったことを考えると、長寿者の両親もまた長寿なのだ。職業別では男女とも農業・林業が多く、全体で42%。もともとたばこを吸わない人は80%で、もともと酒を飲まない人も73%。運動に関しては、70~80歳のころ散歩や畑仕事、体操など毎日していた人が43%で、中でも散歩が一番多かった。中年以降の食事で心がけていることは、毎日3回規則正しく食事をする、腹八分、緑黄色野菜や魚・肉・卵などを食べる、という回答が目立った。「長寿の秘訣は何か」との質問には、男女とも物事にこだわらないがトップで15%、腹八分や規則正しい生活、マイペースなどが続いた。
 多くの長寿者に面接をすると、アンケート結果からは分からないことが見えてくる。岩渕さんは「自分のことは自分でやる自立心の旺盛な人、好奇心の強い人が多い。また、異性に関心を持っている人も多かったですね」と印象を語る。上村さんも「加齢とともに運動能力は衰えますが、衰えたら衰えたなりにできることに挑戦する力がある人が多いですね」という。
健康のブログ
良心的スポーツ店
高齢期で重要なこと

「高齢期において重要なことは何だと思うか」についてみると、「健康であること」が71.9%と最も高く、次いで「子どもなどとの家族関係をよくすること」46.9%、「良好な夫婦関係を保つこと」38.7%、「趣味をもつこと」34.5%、「隣人との関係をよくすること」22.3%、「経済的に安定していること」20.1%と続いている。

都市規模別にみると、都市規模が小さくなるほど「子どもなどとの家族関係をよくすること」の割合が高くなっている(大都市:39.1%、中都市:46.3%、小都市:47.8%、町村:51.7%)。

性別にみると、「健康であること」(女性:75.8%、男性:66.9%)、「子どもなどとの家族関係をよくすること」(女性:50.9%、男性:41.7%)、「隣人との関係をよくすること」(女性:26.0%、男性:17.7%)などでは女性の割合が男性の割合を上回っている。一方、男性の割合が女性の割合を上回っている項目は「良好な夫婦関係を保つこと」(男性:53.0%、女性:27.5%)、「仕事をもつこと」(男性:17.5%、女性:10.3%)などとなっており、特に「良好な夫婦関係を保つこと」の男女差が大きく現れている。

年齢階級別にみると、「健康であること」は全ての年齢階級において他の項目に比べ高い割合となっており、「80歳以上」が80.4%と最も高い割合となっている。また、「良好な夫婦関係を保つこと」は、年齢が高くなるに従い下降している。

今後持ちたい、又は今後とも持ち続けたい

次に「今後持ちたい、又は今後とも持ち続けたいと思っている趣味は何か」についてみると、何らかの持ちたい趣味を答えた人は82.0%となっている。趣味の内訳をみると、現在の趣味でも最も高い割合である「園芸、庭いじり」がは30.5%と最も高くなっている。以下は「旅行、ドライブ」(26.6%)、「テレビをみる」(21.0%)、「散歩」(18.3%)、「絵画、音楽、俳句、書道、写真、陶芸などの創作活動」(16.6%)、「手芸、茶道、華道、踊り」(16.0%)。「スポーツをする(登山、ハイキングなどを含む)」(12.9%)、「読書」(12.5%)、「カラオケ」(9.9%)などが続いている。

なお、これらの趣味を上述の「現在の趣味」と比較すると、多くの項目において割合が低くなっている。特に「テレビをみる」(現在:31.4%、今後:21.0%)が低くなっているのが著しい。

しかし、「絵画、音楽、俳句、書道、写真、陶芸などの創作活動」(現在:15.9%、今後:16.6%)、「学習活動」(現在:3.0%、今後:4.6%)、「ワープロ」(現在:2.4%、今後:3.3%)、パソコン(現在:1.1%、今後:2.2%)については、「現在の趣味」に比べ割合が高くなっている。

生きがいを感じる時

生きがいについて、「十分感じている」か「多少感じている」と答えた人に、「生きがいを感じるのは、どのような時か」についてみると、「孫など家族との団らんの時」が44.1%で最も高く、「趣味やスポーツに熱中している時」(33.5%)、「仕事に打ち込んでいる時」(31.8%)、「旅行に行っている時」(30.7%)が3割台で続き、以下は「テレビを見たり、ラジオを聞いている時」(29.4%)、「友人や知人と食事、雑談している時」(28.5%)、「夫婦団らんの時」(26.0%)と続いている。

性別にみると、「仕事に打ち込んでいる時」(男性:41.5%、女牲:24.3%)、「夫婦団らんの時」(男性:30.7%、女性:22.3%)などは男性の割合がそれぞれ17.2ポイント、8.4ポイント高くなっている。一方「孫など家族との団らんの時」(男性:37.5%、女性:49.0%)、「友人や知人と食事、雑談している時」(男性:20.3%、女性:34.8%)、「テレビを見たり、ラジオを聞いている時」(男性:25.9%、女性:32.0%)などは女性の割合がそれぞれ11.5ポイント、14.5ポイント、6.1ポイント高くなっている。

年齢階級別にみると、「仕事に打ち込んでいる時」は「60~64歳」で40.4%と最も高く、年齢の増加とともに下降している。「テレビを見たり、ラジオを聞いている時」は「60~64歳」が24.7%と最も低く、年齢の増加とともに上昇する傾向がみられる。

現在の心配ごとや悩みごと

「現在、心配ごとや悩みごとがあるか」についてみると、何らかの心配ごとや悩みごとを答えた人は43.3%となっている。心配ごとや悩みごとの内訳をみると、「自分や配偶者の健康のこと」(24.4%)がほぼ4人に1人と最も高い割合となっている。以下は大きく離れて「配偶者に先立たれた後の生活のこと」(8.3%)、「生活費など経済的なこと」(7.7%)、「一人暮らしになること」(6.6%)、「病気などのとき、面倒をみてくれる人がいないこと」(6.l%)、「孤独になること」(5.5%)と続いている。

性別にみると、「配偶者に先立たれた後の生活のこと」は男性(11.5%)が女性(5.8%)に比べ5.7ポイント高く、「病気などのとき、面倒をみてくれる人がいないこと」では女性(8.1%)が男性(3.6%)を4.5ポイント上回っている。

現在の健康状態別にみると、「心配ごとはない」は、健康状態が良いほど高い割合となっている。

高齢者の恋愛や結婚について

「高齢者の恋愛や結婚についてどう思うか」についてみると、「良いことだと思う」は45.3%で、「あまり良いことだとは思わない」(10.5%)を大きく上回っている。また、「どちらともいえない」は33.8%と3人に1人の割合となっており、「わからない」は10.3%となっている。

性別にみると、「良いことだと思う」(男性:50.2%、女性41.5%)は男性8.7ポイント高く、「どちらともいえない」(男性:30.8%、女性36.1%)は女性が5.3ポイント高い割合となっている。

年齢階級別にみると、「良いことだと思う」は年齢が高いほど低くなっており、「60~64歳」では52.l%と5割を超えているが、「80歳以上」では28.0%となっている。一方、「あまり良いことだとは思わない」は年齢の増加とともに上昇する傾向がみられる。

配偶者の有無別にみると、「良いことだと思う」は配偶者が「いる」(48.2%)が「いない」〈37.3%)を10.9ポイント上回っている。

職業の有無別にみると、「良いことだと思う」は「有職」(52.5%)が「無職」(41.3%)を11.2ポイント上回っている。

子どもの有無別にみると、「良いことだと思う」は子どもが「いない」(52.8%)が「いる」(44.8%)を8.0ポイント上回っている。

生きがいを感している人と感じていない人別にみると、「良いことだと思う」は『感じている』(49.6%)が『感じていない』(31.5%)を18.1ポイント上回っている。

健康のブログ
良心的スポーツ店
高齢化社会の出現を目の前にした今日、改めて高齢者の健康・体力問題がクローズアップされている。その時、先づ必要なことは高齢者の体力特性をしっかり把握することであろう。

1.はじめに

 近年、我々の日常生活に於ける生活環境の改善は高齢化社会を生み出しつつある。全国の65歳以上の高齢者は今年中に1800万人に達し、人口に占める割合も14.5%を越す。昨年厚生省が介護を要する高齢者数を集計したところ100万人に達した。他に生活上の援助が必要な高齢者が100万人あり、合わせて200万人。この数は2000年には280万人、2025年には520万人に達すると見ている。家族の数も減り、家族による介護は限界に来ている。大都市周辺では高齢者が施設に入るのに2~3年待ちの状態が続いている。
 年齢を重ねること(加齢)は、筋肉や神経など身体を構成する諸器官の発揮機能の低下を引き起こす。また、適切な身体運動がなければ筋・骨格系、呼吸循環系、神経系などの器官・組織は退化する。一般に加齢にともない身体運動は減少する傾向にあるので、身体の各器官や組織は加齢とともに運動不足の影響が加わり加速度的にその機能を低下させることになる。このことは、高齢者にとって健康的な日常生活を実施するためには身体運動の実施が必要不可欠であることを意味する。

2.体力のある人は健康か

 高齢者の体力を考える場合には、健康との関係が特に重要になる。体力とは身体の活動水準の高低を指す場合が多い。健康とは単に病弱ではないというだけではなく肉体的、精神的、社会的に良好な状態である(WHOの定義)。体力は計測が可能である一方健康は定量化するための適当な指標がない。図1は健康と体力との関係を示したものである。個々では体力的に優れていても病気がちな人も見かけられるが、全体的には体力のある人は健康的であると言える。
 加齢とともに日常生活に於ける身体を動かす機会が少なくなり運動量が減少し、いわゆる運動不足症になりやすい。運動不足は筋・骨格系、呼吸循環系、神経系の機能低下を引き起こす。筋・骨格系能力とは腰や膝を曲げたり伸ばしたりする力やパワー及びその持続能力を指す。呼吸循環器系能力とは、歩いたり走ったりしてもあまり疲れない能力のことであり、心臓及び肺臓あるいは血管などの組織の機能を指す。神経系は、筋・骨格系や呼吸循環系の働きをコントロールする役割を果たす。これらの各系の機能がバランス良く働くことなくては健康的な日常生活は保証されない。

3.体力とは何か

 一般に言われている「体力」とはパワーやスタミナ等、身体が発揮することが出来るエネルギー出力量およびそれをコントロールする神経機能を指す場合が多い。
 身体運動によるエネルギー出力量は、一気に階段を駆け上がったり、ジャンプしたり、重いものを持ち上げたりするために必要な能力(これを無酸素的能力という)及び、長時間の歩行やジョギングを遂行する能力に代表されるように、スタミナを表す能力(有酸素的能力)である。
 これらのエネルギー出力量は神経系の機能(巧みさ、スキルとも呼ばれる)によりコントロールされる。たとえば、パワーがあり、スタミナのある人でも筋を効果的に働かすための神経系の機能が十分でなければ「歩く」、「階段を上がる」等の身体運動を効果的に実施することは出来ない。
 つまり、身体運動で発揮される各能力は、呼吸循環系、筋骨格系、及び神経系が中心となり発揮される機能により構成されている。

1)呼吸循環系能力(スタミナ)
 ジョギングやウォーキング等の身体全体を使う運動が長時間持続するためには、活動している筋肉まで酸素が十分に供給されなければらない。この為には肺を中心とする呼吸器官の働きにより体力に充分に酸素を取り込み、心臓を中心とする循環器の働きにより筋まで酸素が供給され続けなければならない。この能力は最大酸素摂取量(体内に取り込むことが出来る最大の酸素量、通常1分間当たりの値を用いる)を測定すれば正確に把握することが出来る。最大酸素摂取量は加齢とともに減少するが、一方で、運動を定期的に実施することにより増加し、不活動で減少する。最大酸素摂取量はいろいろな方法で測定されるが、最も一般的な方法としては、軽い負荷での運動時の心拍数から推定する方法である。他に、フィールドテストとしては一定時間あるいは一定距離を走ったり/歩行したりすることにより推定する方法も良く利用されている。
 最大酸素摂取量が大きな人は長時間の運動に優れた能力を発揮でき、疲れにくいスタミナがあることを表す。このことは、単に長距離走のタイムが良いとか、スポーツの成績が優れている等にとどまらず、大切なことは、日常生活での様々な身体活動においても疲れにくい等の優れた能力を発揮することが出来ることを意味する。このことからも、呼吸循環系能力は体力の各要素の中でも健康と最も関係が深い能力と言える。一定以上の最大酸素摂取量は健康的な生活を維持するために必要条件であろう。

2)筋・骨格系能力
(1)筋、パワー
 この能力は、関節を介して筋が発揮することが出来る力、速度、パワー等で表すことが出来る。つまり、重いものを持ち上げる、素早く動く、高くジャンプする、速く走る等、日常生活に於ける比較的短時間に筋肉を使うような動作で発揮される能力である。この能力は、握力や背筋力などのように関節を介して発揮される力の大小を測定する方法とか、腕立て伏せや上体起こし等のように一定の力を発揮できなくなるまでの回数や時間を測定する方法などにより測定される。前者は筋の太さにより決定され、後者は筋肉を流れる血液量により決定される。つまり、筋が太く血流量が多い筋は力と持久力があると言うことになる。
 これらの能力は、健康と関係が深い。多くの腰痛患者を調べると、姿勢保持に関係の深い筋力が極端に低下していることが分かる。さらに、その人たちに筋力を高める運動を処方した結果、腰痛が減少したことが報告されている。
(2)関節の可動範囲(柔軟性)
 身体は、肘、膝、脊髄など数多くの関節により出来上がっている。これら関節の可動範囲が広い人はケガや障害も少なく、優れた運動能力を発揮することが出来る場合が多い。この機能は柔軟性とも言われる。柔軟性は関節をとりまく腱や靱帯あるいは拮抗筋(曲げるときには伸展筋、伸ばすときには屈曲筋)が如何に弾力性に富んでいるかにより決まる。柔軟性に欠けると、姿勢が悪くなる、その結果としての内臓疾患や腰痛などの弊害を引き起こす。

3)神経系能力(巧みさ)
 人の動作は筋の収縮が神経の支配を受けて成り立つ。優れた機能を有する筋肉もその収縮が巧くコントロールされなければ目的とする動作は成立しない。神経系の機能は全身反応時間の測定など反応時間や、反射時間を計測することにより推定できる。

4.身体組成(身体のなかみ)は運動と栄養のバランスを表す

 身体を構成する組織の比率(身体組成)も体力を考える上で欠かすことが出来ない要因である。人の健康の度合いをとらえる場合、食事と運動とのバランス、すなわち、身体内部に出入りするエネルギー需給バランスが非常に重要な意味をもつ。エネルギーの入力過剰は身体内部の脂肪の蓄積を意味する。現代社会では十分な食事がエネルギー入力量を増加させ、一方で、機械化社会が運動の機会を減少させエネルギー出力量の減少を引き起こし、結果的に、運動不足-脂肪蓄積-肥満-成人病の非健康的パターンを招来する。肥満の程度が増すにつれ、虚血性心疾患や高血圧性心疾患などの心臓病の罹患率が増大することが報告されている。

 一般に肥満とは体重の中で脂肪の占める比率(体脂肪率)が一定以上を越えた場合を言う。普通、肥満とは体脂肪率が20%(男)及び30%(女)以上を指す場合が多い。肥満を判定する方法には、水中体重秤量法、インピーダンス法、カリウム法、近赤外線法、超音波法、キャリパー法などがある。これらの方法はいずれも専門的な装置と知識を備えていなければ正確な測定が出来ない。そこで、誰でもどこでも簡単に測定が出来る方法として、一般的には身長と体重とから肥満度を算出する場合が多い。その場合、体重が普通より(標準体重)重い場合でも(多くのスポーツ選手のように)脂肪以外の組織(筋、骨など)が発達している場合も含まれるので注意を要する。その他の簡単な肥満判定法として腹囲/腰囲比/(W/H比)が用いられる場合も多い。体脂肪率とW/H比あるいは腹囲との間には高い有意な相関関係が認められているので、家庭で簡単に肥満度を見るには腹部の周径囲を計測することが効果的であろう。
 運動しない代わりに食事量も少なくしてエネルギー入出力バランスを保つ工夫も考えられ、多くの減量ダイエットもこの方式がとられる場合が多い。その時、運動を実施しない(すなわち筋を収縮させない)ことが筋の萎縮を引き起こし、肥満にならないけれども、結果的に活動水準を下げることになり、病気に対する抵抗力をも失うことにつながる。筋・骨格系、呼吸循環系は運動を実施することによりのみ発達することを忘れてはならない。本来、人間の身体は普通の食事と充分な運動量が確保されていれば肥満にはならないように出来ているわけである。

5.加齢により体力は低下する

1)呼吸循環系能力
呼吸循環系能力を最も客観的に見る指標として最大酸素摂取量がある。この加齢変化を男性について見ると(図4)、30歳代では40ミリリットル/体重/分であったのが加齢とともにほぼ直線的に減少し、60歳代では20ミリリットル/体重/分となる。女性は男性の約70%を示し、加齢変化は男性とほぼ同じである。最大酸素摂取量は生体内に最大限どの程度の酸素を供給できるかの能力を見るものであり、この値が高い人はスタミナがあることを意味する。従って、一般的には全身のスタミナは60歳代には既に30歳代の約半分になると考えられる。


2)筋・骨格系能力
(1)関節トルク(筋力)
 この能力を一般的に表すものとして文部省が定期的に実施している体力テストの結果が参考になる。握力、背筋力、垂直跳びはいずれの値も加齢に伴いほぼ直線的に減少する傾向を示し、60歳代では20~30歳代の70%(握力)、60%(背筋力)及び50%(垂直跳び)となる。このことは、腕の筋力は体幹あるいは下肢の筋力に比較して老化が激しいことを示しているのかもしれない。そこで、これらの現象をより明確にするために、上下肢の筋力及び筋厚を測定し、加齢変化を見た。その結果、腕の筋力(腕屈曲力)に比較して、脚の筋力(膝伸展力)は加齢にともなう減少が大きい傾向が見られた。そこで、腕及び脚を構成する筋量を超音波を用いて測定した。腕に比較して脚筋の加齢減少が著しいことが明らかとなった。
 ところで、筋は筋線維の集合体である。筋線維には力が強くスピードの速い速筋線維とスタミナのある遅筋線維とがある。ゆっくりした動作や弱い力を発揮するときには主として遅筋線維により行われ、強い力や速い動作は速筋線維により行われる。身体の各筋は両筋線維が混在しているが、加齢に伴い、速筋線維がより萎縮(細くなる)しやすい。このことは、高齢者は速い動きや強い力を発揮することが不得意であることにつながる。この老化を防ぐには、速筋線維の加齢による萎縮を少なくするような運動を実施することが必要である。つまり、ジョギングやウォーキング等ゆっくりした運動を長時間行うことにより遅筋線維と呼吸循環系を鍛えるとともに、その運動の中に少し強めの運動を加味して(数分以内の僅かな時間でよい)、速筋線維を鍛えるような工夫が必要であろう。


(2)関節可動範囲(柔軟性)
 柔軟性を見る代表的なテストとして体前屈がある。文部省による体力テストでの立位体前屈及び上体そらしの加齢変化を見ると、加齢とともにいずれも急激に減少する傾向を示し、柔軟性が少なくなる傾向が見られる。これを予防するには筋や腱を伸張させるストレッチングが非常に効果的である。
3)神経系能力
 加齢とともに神経系の機能も低下する。反応時間は神経系の働きを見る良い指標である。単純反応時間は20歳代を頂点として次第に延長していく。すなわち、外界の変化に対する反応が次第に悪くなることを示している。

4)身体組成
(1)歳をとると太るか?
 歳をとると体脂肪率はどのように変化するのであろうか?これまでの研究によると、体脂肪率は加齢とともに増加するようである。
 皮下脂肪厚を見ると部位により傾向が異なる。男女ともに他の部位に比較して腹部の皮下脂肪が最も厚い傾向を示し、その値は50歳あたりで最大を示し、その後、加齢とともに減少傾向が見られる。他の部位については顕著な加齢変化は見られない。

(2)筋肉は年とともに細くなる
 ところで、筋について見るといずれの部位においても、男女ともに、加齢とともに急激な筋厚の減少が見られる。更に、その加齢変化は筋により異なるようである。男女ともに最も加齢減少が著しいのは脚の筋、特に大腿前面の筋(大腿直筋と中間広筋)であり、70歳代は若者の約56%となる。つまり、加齢とともに脚の筋は急激に減少し、70歳を過ぎると30歳時の約半分の筋量になると考えられる。男女で比較すると、いずれの部位においても男性の方が加齢に伴う筋の減少が著しい。
 興味あることに、身体の前面と後面とに付着する各筋群の厚さの加齢減少を比較すると、上腕では後面が、体幹及び脚では前面の筋の減少が著しい。これを、それぞれの筋の役割との関係で考えると面白いことが考えられる。上腕の前面の筋は肘屈曲に働き、後面の筋は肘伸展に働く。立位姿勢の場合、肘屈曲は重力に逆らい行われ、伸展に比較して強い筋力発揮を強いられる。日常生活での動作を見ると、物を持ち上げたり、移動したりする動作は数多く行われ、その為には肘屈曲動作が多く使われる。一方、肘伸展動作は重力に抗しないので特に力を必要としないでも実施される場合が多い。このように考えると、肘屈曲動の主動筋である上腕前面の筋(上腕二頭筋)が力を発揮する機会が多く、一方、後面の筋(上腕三頭筋)は力を発揮する機会の少ないことが、加齢に伴う筋萎縮を著しくしたものと考えられる。同様なことは、体幹及び脚の筋についても考えられる。体幹前面(腹筋)及び脚前面(大腿四頭筋)の筋は何れも体幹前屈あるいは股関節屈曲の主動筋であり、立ち上がる、起きあがる、歩く等日常生活に欠かすことの出来ない基本的な動作を構成する主要筋群である。加齢に伴いこれらの筋群の量が減少したことは、これらの動作が加齢とともに少なくなってきたことを意味しているのかもしれない。このことは運動量が加齢とともに少なくなることを意味すると考えられる。


6.身体不活動(ベッド安静)状態は筋機能は著しく低下させる。

 運動実践とは対局的な意味をもつ、実験的に身体不活動を規定したベッド安静による筋の機能面の変化を紹介する。健康な成人男女10名について20日間のベッド安静を遂行した。図10に示すようにベッド安静によりパワーが減少する傾向が見られたが、その減少傾向には部位による差が見られた。肘の屈曲および伸展に比較して、膝の伸展及び屈曲の減少が著しい傾向が見られた。3週間のベッド安静で最もパワーの減少が見られたのは膝伸展であり30~40%も低下した。かつ、ベッド安静終了後普通の日常生活に戻した後の1ヵ月後には上肢のパワーはほぼ正常値に戻っているが、下肢のパワーは依然として低い値を示したままであることは注目しなければならない。
 この研究は20歳代の若者(大学生)を対象としたものであるが、高齢者の場合にはさらにより大きな筋機能低下が引き起こされるものと考えられる。


7.おわりに-中高齢者でも体力レベルは運動により高まる

1)運動を定期的に実施している人の筋・骨格系機能は高い
 適切な身体運動の実施により筋・骨格系の機能は発達する。しかし、その運動による効果は年齢により異なる。青年期に比較して高齢期には効果が充分に見られるものであろうか?これらの疑問に答えるために、40歳以降70歳代までの男性を対象にスポーツクラブ等で日頃定期的な運動を実施している人達(運動群75名)と、特別な身体運動を実施していない人達(コントロール群47名)について筋・骨格系機能を調査した(図11)。その結果、肘屈曲パワーでは運動群とコントロール群との間には各年齢とともに殆んど差がみられなかった。しかし、脚伸展パワーでは高年齢になるほど運動群が高い値を示した。前述の下肢の筋群の老化が著しいことを考えると、この資料は定期的な身体運動が特に下段の筋機能低下を防ぐのに効果的であることを示すものとして興味深い。
 更に、日常に生活においては、起きあがる、立ち上がる、歩く等の動作は健康的で活動的な生活をエンジョイする上でも欠かすことの出来ない代表的動作である。椅子から立ち上がる動作を如何に敏捷に出来るかは日常生活を営む上で基本的に重要な人間の動きの能力と考えられる。そこで、椅子から立ち上がり-座る、一連の動作を繰り返すことが出来る時間(10回繰り返すに要した時間)を測定してみた。その結果を見ると(図11)、40歳代では両群ともに同じ時間(10秒)であり、コントロール群では明らかに加齢とともに時間が長くなる傾向を示した(50歳代では13秒、60歳代では16秒)。一方、運動群では50歳代、60歳代ともに11秒で加齢変化は殆ど見られなかった。立ち上がり動作は主として大腿伸展筋により行われることから、前述の脚伸展パワーの運動群の優位性と同じく、下肢筋を主動筋とする動作の老化防止に定期的な身体運動の重要性が示されているものと考えられる。
 以上、脚筋パワー及び立ち上がり能力に見られた運動群の優位性は、日常生活に於ける身体運動が筋骨格系機能の改善に効果的であることを如実に示すものである。特に、立ち上がり動作等の日常生活に直結する動作の能力に非常に効果的であることは、活動的な生活を保証するものとして注目されよう。
2)高齢者でも定期的な身体運動により筋機能の向上が見られる
 中高年齢者が定期的に一年間の運動実践を行った時に筋・骨格系機能はどのように変化するだろうか?茨城県の東南部に位置する人口約1万1,000人の村で、殆どが兼業農家を営み、習慣的なスポーツ等の身体運動の経験のない人たち(118名)が定期的にプログラムされた身体運動を実施した。運動の内容は水泳、筋力トレーニング、エアロビック体操などであった。その結果、膝関節伸展動作においては3種類の負荷条件ともパワー発揮に統計的に有意な増加が認められた。力と速度からパワー向上のトレーニング効果について考察してみると、軽い負荷でのパワー発揮においては速度の有意な増加が、一方、重い負荷での同条件においては力発揮の有意な増加がパワーの向上に影響を及ぼしていることが示された。つまり、中高年齢者といえども定期的に運動を実践することにより、動作スピードと動作筋力の両面が改善されたと解釈することができる。

おわりに

 高年齢になるに伴い筋骨格系機能が低下することは生物学的特性として致し方のないことであるが、その能力は日常生活習慣や環境条件などにより強く影響されると考えられる。前述のように加齢と運動不足の相乗効果が急激な筋骨格系機能の低下を導く。加齢変化は人為的に変えられようもないが、その変化に身体運動は見事に影響を与える主要条件である。身体を構成する器官や組織の形態と機能に対する加齢変化を的確に把握し、自分の生活習慣にフィードバックすることが出来るかどうかは、まさしく各自の知性と教養によるものであろう。


健康のブログ
良心的スポーツ店
痴ほうは、60歳代後半から年齢を重ねるとともに増加し、85歳を超えると5人に一人がなるといわれています。社会の高齢化が進むにしたがって、日本の痴ほう患者の数もどんどん増えています。人間いつかは死にますが、痴ほうで最期を迎えることは、できれば避けたいものです。壊れてしまった脳神経細胞を復活させることは難しいでしょうが、老年神経病学の研究と臨床に詳しい、小川紀雄岡山大学医学部教授は「最近の痴ほうに関する研究や新薬の開発などで、症状を改善したり、発症を予防したり、病気の進行を抑えたりすることに期待が持てるようになりつつあります」と指摘しています。痴ほう研究の新しい成果などを紹介して、痴ほう予防のヒントを考えてみました。

1. 良性健忘と悪性健忘は違う

 中年を過ぎると、「ええと、あの背の高い、少し髪の薄い、あいつ何て言ったっけなあ」と知人の名前を「ど忘れ」してしまうことがよく起きます。「夕食時のビールがないなあ」と、近くのコンビニに行って、面白そうな週刊誌が目に留まって週刊誌を購入、肝心のビールは買わずに帰宅してしまう、なんてことも時々あります。でも、「ああ、おれもぼけたかなあ」なんて心配しているうちは問題ありません。これらは良性健忘と呼ばれ、病的な悪性健忘とは区別されています。
 悪性健忘の場合は、自分が忘れたという事実そのものを覚えていないし、もちろん反省することもしません。痴ほうの中核症状は悪性健忘を主体とした知的機能の低下で、周辺症状としては、異常行動、はいかい、幻想、妄想、情緒障害、うつ、意欲減退などがありますが、そのなかに「ど忘れ」はありません。

2. 老人性痴ほうは神経細胞が死ぬ病気

 老人性痴ほうを引き起こす病気としては、脳血管性痴ほうとアルツハイマー病の2つが大部分を占めます。欧米ではアルツハイマー病の方が脳血管性痴ほうより多いとされていますが、日本では逆に、脳血管性痴ほうの方が多いようです。これらの病気では脳の神経細胞が死に、脳内に隙間ができます。神経細胞は皮膚や血管、肝臓などの細胞と違って再生しない細胞ですので、死んだらもう元には戻りません。そういう意味では、痴ほうを治す薬はまだありません。それでも、周辺症状を改善する薬は次々と開発されており、介護をしている人たちにとっても大きな助けとなっています。なお、老人性痴ほうではありませんが、慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症、脳腫瘍、AIDS脳症など、手術や薬で治療可能な痴ほうもあるので気を付けてください。また、薬の副作用で痴ほうに似た症状が出ることもあります。
 脳神経細胞が脱落するに従って脳の重量そのものも減少します。小川教授は「90歳の人の肝臓の重さが30歳の時の半分であることと比べると、脳の重量減は10数%と少なく、脳は老化による委縮が少ない臓器です。でも、記憶や判断など知的機能をつかさどる、大脳皮質の神経細胞の数そのものは重量以上に減少しています」と言っています。脳は、その重量が体重の2.5%しかないにもかかわらず、脳の代謝はからだ全体の代謝の20~24%も占めています。つまり、脳は非常に大量のエネルギーを消費する器官なのです。でも、年をとれば脳機能が低下して、代謝も低下、血流も減少します。小川教授は「脳血管性痴ほう患者で脳血流量が少ない人は予後が悪いです。一方、アルツハイマー病ではこのような関連はあまりありません」と話しています。


3. 神経の間隙がポイント

 痴ほうのメカニズムを説明する前に、神経のことを説明しておく必要があります。例えば、熱い物をさわったとします。すると、その熱による刺激は、最終的には脳に伝えられるのですが、その間、その信号はたくさんの神経細胞をバケツリレーのようにして伝わります。1つの細胞内で刺激は電気信号という形で伝わりますが、神経と神経の間には隙間があるので、そこで電気信号は一時、化学物質による化学信号に置き換えられて、次の神経細胞に伝えられるのです。この間隙をシナプスといい、寸法はだいたい10万分の2~3mmです。この化学物質を神経伝達物質といい、神経伝達物質を受け取る次の細胞の受付にあたる部分を受容体といいます。
 痴ほうの問題の多くは、このシナプス周辺の異常で起こっています。火事現場で必死に脱出している時に指先に火傷するほど熱い物が触れても何も感じませんが、暗闇の中をおそるおそる手探りで進んでいる時、指先にちょっとでも熱いものが触れれば、びっくりします。つまり、同じ刺激でもからだの反応は学習で変化したり、その時の状況で変化したりします。これが、同じ刺激に対しては同じ反応しかしないパソコンや家電製品の電気信号伝達システムとまったく違うところです。電気製品だったら一カ所断線してしまうと機能は完全に停止してしまいますが、脳は細胞同士はお互いに完全に結合しないで、大きなネットワークを作って信号を伝達しているので、ひとつの細胞が死んでも、他の残っている細胞でうまくカバーできるということです。たとえ脳梗塞などで脳のネットワークの一部が壊れてからだの一部がまひしても、残ったネットワークを使って壊れた部分を回避する新しい回路を作ればいいのです。リハビリは、その新しいネットワークを形成するための学習ということです。

4. 脳血管性痴ほうは血管が原因

 脳血管性痴ほうは、高血圧や動脈硬化などが原因で脳内の血管が破れたり(脳出血)、血栓や塞栓で血管が詰まったり(脳梗塞)して、脳の神経細胞に酸素や栄養が供給されなくなって細胞が死んでしまうことから起きます。脳のどこの部分が傷害されるかで症状が変わるため、症状に決まったパターンがありません。小川教授は「脳血管性痴ほうは、小さな脳出血や脳梗塞が何回も起き、症状は階段状に徐々に進行します。記憶障害があっても、判断力などは残っていることが多く、これを『まだら痴ほう』といいます。初期症状としては、頭痛、めまい、言語障害、感覚障害、震えなどが多い」と説明しています。
 治療薬としては、脳代謝改善薬と脳循環改善薬とがあります。脳代謝改善薬は、脳内のエネルギー代謝を高めたり、神経伝達物質の量を増やしたり、逆にその分解を抑えたりします。脳循環改善薬には、血管を広げたり、血小板に働いて血液が凝固しにくくしたり、赤血球が変形する能力を高めて血液中を流れやすいようにしたりするものがあります。

5. 女性に多いアルツハイマー病

 アルツハイマー病では、脳の神経細胞が委縮したり、脱落したりします。亡くなった人の脳を解剖すると、多数の老人斑と呼ばれるしみがあり、中心にはβアミロイドタンパクが沈着しています。老人斑は、年をとればだれにでも現れますが、正常老人では脳の海馬という部分に限られているのに対して、アルツハイマー病では脳全体に多数出てきます。老人斑のほかにも、異常なリン酸化を受けたタウタンパク質が細胞の中に蓄積して神経線維がねじれる神経原線維変化により、神経細胞やシナプスが消失します。これがアルツハイマー病の典型的な特徴です。
 小川教授は「脳血管性痴ほうと比べてアルツハイマー病では、人格障害が早期から現れ、病識が早期からない。脳血管性痴ほうが男性に多いのに対して、アルツハイマー病は女性に多い」と指摘しています。脳血管性痴ほうと違って、アルツハイマー病の症状にはパターンがあり、3段階に分類されます。
 まず、第1期では、昔の記憶は比較的保持されているが、最近のできごとに対しては異常に忘れっぽくなる。何回も同じことを聞いたり、重要な用事を忘れたりしても、本人に物忘れの自覚が乏しい。行動意欲に乏しかったり、時にはいらいらしたりもするが、どうにか自立生活ができるレベルです。
 第2期では、自分がいまどこに居るのか、いま何時ごろなのか分からなくなったり(見当識障害)、失語、はいかいなどが出てきて介護が必要になります。
 第3期では、寝たきりとなり、人格も崩壊してしまいます。


6. アルツハイマー病のメカニズムと治療

 発症のメカニズムとしては、アミロイド前駆体タンパク質(APP)が正常に分解されずにβアミロイドタンパクが多量に切り出され、これらが凝縮して老人斑となり、それがタウタンパク質のリン酸化を引き起こして神経原線維変化を引き起こし、その結果として神経細胞が機能障害に陥る、という仮説が現在有力です。アルツハイマー病のごく一部には、親から子どもへと遺伝する家族性のアルツハイマー病があります。
 家族性のアルツハイマー病の原因究明はかなり進んでいて、原因遺伝子として、第21染色体にあるβアミロイドタンパク前駆体タンパク遺伝子、第1染色体にあるプレセニリン1遺伝子や第14染色体にあるプレセニリン2遺伝子の異常などが見つかっています。また、第19染色体にあるアポリポタンパクE遺伝子の産物には、ε2,ε3、ε4の3種類ありますが、このうちε4を持つ人が発症しやすいことが分かっています。
 アルツハイマー病で傷害される神経は主に、記憶や学習に関係しているコリン作動性神経系です。これはアセチルコリンを神経伝達物質として合成している神経系で、大脳皮質でアセチルコリンの減少が特徴的です。アセチルコリンは、ブドウ糖から作られるアセチルCoAとコリンから、アセチルコリン合成酵素によって合成され、シナプスで放出されて、ムスカリン性受容体かニコチン性受容体に結合します。役目を終えたアセチルコリンは、アセチルコリンエステラーゼという分解酵素により酢酸とコリンに分解され、コリンは再び神経に取り込まれて再利用されます。
 現在、治療薬としては、アセチルコリン分解酵素阻害薬が使われています。アセチルコリンの分解を抑えることで脳内のアセチルコリンの量を増やそうというわけです。この他にも、アセチルコリン合成酵素の活性が著しく低下していることからその活性を促進する薬、アセチルコリンの前駆物質なども試みられています。
 また、脳内でも免疫炎症反応が起こっていることが最近分かり、非ステロイド系消炎鎮痛薬も試みられています。ほかに、女性ホルモンのエストロゲン補充療法や、アルツハイマー病のそもそもの発端であるβアミロイドタンパクを分解したり、その産生や凝集を抑制したりすることも研究されています。さらには、神経原線維変化を防ぐためにリン酸化酵素を抑制する薬や、神経の成長を促す神経成長因子(NGF)と同じ働きをする薬の開発なども試みられています。米国では、βアミロイドタンパクをワクチンとして使って、それを攻撃する抗体を作らせることでβアミロイドタンパクを取り去ってしまおうという研究が進められているそうです。
 さまざまな方面からのアプローチがなされているわけですが、小川教授は「消炎鎮痛剤や免疫抑制剤を使う治療法が、神経ネットワークの破壊が進行するのを抑える薬として有望かもしれない」と期待を寄せています。

7. 解明進むパーキンソン病

 老人性痴ほうとはやや異なりますが、運動機能障害が起きるパーキンソン病は痴ほうとともに重要な病気です。パーキンソン病は、中脳の黒質という部位が傷害されることで大脳の中の線条体で神経伝達物質のドーパミンが欠乏して起きる病気です。中年以降に発症、ゆっくりと進行する神経変性疾患で、当初は手の震えや動作がゆっくりするなどで始まり、その後、姿勢保持ができなくなり、ついには言語障害、そして寝たきりとなります。神経伝達物質が欠乏して発症することなど、アルツハイマー病と似ているところが多い病気ですが、アルツハイマー病よりもメカニズムの解明が進み、さまざまな治療法が開発されています。
 治療法としては、ドーパミンが減少して起きる病気なので、ドーパミンの前駆体であるLドーパを投与する療法が主です。もちろんLドーパ療法も根治療法ではなく、何年間も使っていると薬効が落ちてくるという問題があります。Lドーパのほかに、ドーパミンの放出を促進する薬やドーパミン受容体刺激剤、ドーパミン代謝酵素阻害薬などが使われています。
 『レナードの朝』(1990年)という映画があります。流行性脳炎の後遺症によるパーキンソン症候群で、30年間も石像のように固まってしまい、他人と何のコミュニケーションもとれなかった患者たちが、ある日、Lドーパの投与で奇跡のように30年の眠りから覚めたという、1969年夏に米国で実際にあった実話の映画化です。精神科医を演じるロビン・ウィリアムズと30年ぶりに目覚める患者役のロバート・デ・ニーロの名作です。映画では、せっかく長い眠りから覚めた患者たちも、夏が過ぎるころにはまたもとの眠りについてしまいます。薬効が長続きしないのがLドーパの課題だったからです。
 アルツハイマー病でも、このような薬が登場することがあるのでしょうか。小川教授は「パーキンソン病と違って、アルツハイマー病では神経伝達物質が少なくなっているうえに、神経細胞のネットワークも壊れている。工場に例えれば、工場はガタガタで原材料もない状態。工場があって原料だけがないパーキンソン病より、治療はずっと難しい。将来的なアルツハイマー病の治療目標は、『早期に発見する技術を確立して、その進行を遅らせる』になるのではないか」と話しています。

8. 身近な痴ほう予防

 どうも、痴ほう治療は一筋縄ではいきそうにありません。でも、予防に関しては日常生活の中でできることがいくつかありそうです。脳血管性痴ほうでは、動脈硬化がその病気の背景にあるので、糖尿病や高血圧、高脂血症などにならないようにして、食生活や運動、たばこなどにも気を付けることが大切です。それから脳循環を高めるため、いつも活動的であることが必要でしょう。
 では、アルツハイマー病についてはどうでしょうか。アルツハイマー病の人は、若いころ頑固、短気、消極的だったという人が多いという調査結果があります。また、中年のころに趣味が少なく、社会活動に消極的な人が多いともいわれています。小川教授は「しかし、見方を変えると、中年のころからすでにゆっくりと潜行的に発病していると考えられますね」と話しています。若い時の頭部外傷がアルツハイマーの危険因子とされており、頭部に衝撃を受けたり、外傷を負ったりしないよう気を付けることも大切です。

健康のブログ
良心的スポーツ店
人間だれしも年をとれば老います。耳が遠くなったり、目が悪くなったり、臭いに鈍感になったり、皮膚がかさかさになったり、感覚の衰えは隠しようもありません。
 老化を止めたり、若返ったりさせることは、人類始まって以来の願いです。でも、少なくともこれは現在の科学技術では不可能なことです。しかし、いろいろ工夫することで、老化の速度を少し遅らせることはできそうです。
 では、どうすれば感覚器の老化を遅らせることができるのか。世界の老化研究の成果などを踏まえて、感覚器の老化防止について考えてみましょう。

老化について

 ちまたでは、「○○でお肌の若返り」とか「老化防止に毎日××を」など、科学的根拠に乏しい、怪しげな情報があふれています。でも、老化とは何か、老化はどうやって起きるのかをよく理解していれば、何か特殊な食品を食べたり、特殊な化学物質を塗ることで画期的に老化が防止できる、などということがあり得ないことはすぐに分かります。しかし残念なことに、老化の仕組みはなぞばかりで、はっきりしたことはまだ分かっていない、というのが現実です。とはいえ、昨今のバイオ技術などの力でその秘密のベールが少しずつ明らかになっています。そうした成果を概観したうえで、老化に対してより正確な知識を持って、感覚器の老化を遅らせる方法を考えてみましょう。
 老化はからだ全体で徐々に進行していく現象で、単一の器官や物質が原因で起こる病気ではありません。従って、感覚器の老化予防といっても、基本的にはいわゆる老人病とされる痴ほうや動脈硬化、骨粗しょう症などの予防と同じ考え方になります。つまり、規則正しくストレスのない生活、緑黄色野菜や牛乳などを十分にとるなどバランスのよい食事、毎日の適度な運動などで、これは生活習慣病の予防とも共通しています。あえて言えば、皮膚や眼の老化予防として、戸外で紫外線をあまり浴びないように注意することがそれに付け加わります。
 「そもそも老化とは何か」「どうして老化が起きるのか」ということを考え、老化という現象全体を把握したうえで、個々の感覚器について考えてみましょう。

老化と平均寿命

 まず老化とは何かという問題ですが、これが一筋縄ではいかない難問です。それは、生物界では老化しない生物の方が多いからです。DNA(RNAの場合もありますが)をたんぱく質の膜に包んだだけのウイルスは、動くことも、食べることもなにもしない、生きているのか死んでいるのかすらよく分からない不思議な存在で、永遠の命を持っているという言い方もできます。また、バクテリアのような単細胞生物は、環境さえ整えれば、1つが2つに、2つが4つに、4つが8つにと、無限に分裂して、いくらでも増えていきます。そこには、老化して死んでいく個体などありません。つまり単細胞生物もまた不老不死なのです。杉の木だって銀杏の木だって、環境さえよければ老化などという言葉とは無縁に何百、何千年と生き延びて天を突くような大木となります。
 ところが人間の場合は、どんなによい環境で生活しても、長寿の限界は120歳前後とされています。もし、まったくばい菌のいない場所で、十分な栄養下で生活したとしても、人間などほ乳動物の寿命には必ず限界があるのです。
 明治後期から大正時代の日本人の平均寿命は、男女とも44歳前後でした。それが昭和に入ってどんどん延び始め、昭和30年では、男64歳、女68歳。同50年では男72歳、女77歳、平成10年には男77歳、女84歳となりました。このように平均寿命が延びたのは、抗生物質が発見され、公衆衛生が充実し、乳幼児の死亡も減り、国民の栄養状態がよくなり、各種医療技術が進歩してたいていの病気が治療できるようになったためです。つまり、平均寿命が延びたのは、日本人の老化そのものが遅くなっているというよりは、医療、公衆衛生などの進歩の成果なのです。
 しかしその一方で、昭和初期の70歳と現在の70歳とを比べると、かつてのように腰が曲がっている人は少ないし、顔のしわもそんなに目立たないことも事実です。つまり、過酷な野外の長時間労働が減って快適で清潔な環境での労働が増えたことや、炭水化物中心の質素な食事から栄養豊富でバランスのよい食事ができるようになったことで、皮膚や骨などに現れる一部の老化現象については、確かにその老化速度が遅くなっているという言い方もできるかもしれません。
 つまり、老化を遅らせるということと長生きをするということは、似た考えではあるけれど、まったく同じではないということです。ここでは、長生きをするためというよりも、より快適で楽しい老後を送るため、つまりQOL(生活の質)を上げるために、老化の問題を考えてみましょう。いずれは、120歳という人間の寿命の壁を突き破る画期的な老化防止技術が開発されるかもしれませんが、それはまだ先の話でしょう。


単純でない老化現象

 老化とは、加齢に伴って起こる非可逆的な生理機能の低下のことです。寿命が近づくにつれて人間は、耳が遠くなったり(難聴)、血管が硬くなったり(動脈硬化)、骨が折れやすくなったり(骨粗しょう症)、眼の水晶体が濁ったり(白内障)、頭の働きが衰えてきたり(老人性痴ほう)します。これが老化現象です。 機能の衰えの多くは、臓器の縮小という形で現れてきます。手足の筋肉はやせ細り、各種臓器も小さくなり、骨の密度も低下してきます。もちろん脳細胞も減り続け、CTスキャンなどで調べると脳そのものが委縮しているのが観察されます。細胞レベルで考えると、人のからだから細胞を1個取り出して培養してみると、最初のころはバクテリアのように活発に分裂を始めますが、いずれ増殖をやめて、ついには死んでしまいます。この分裂できる回数が多いほど若い細胞ということになります。
 一方、お年寄りのからだから取った細胞は、若い人の細胞ほど元気に分裂する力がありません。肝臓や皮膚などは一部を切除しても、いずれもとの形に戻りますが、若い人の細胞ほど、この再生力が強いのです。この細胞の分裂能力だけで老化現象の説明ができれば、ことは簡単なのですが、そういかないのが老化研究の難しいところです。例えば、脳の神経細胞や心臓の筋肉などは、生まれた時にすでに増殖を止めており、以降増殖しません。細胞そのものの機能も、年をとるにつれてさまざまな形で衰えていきます。つまり、細胞の老化の問題には、細胞の数の問題と質の問題の2つの側面があるのです。ところで、人間のからだの中にも例外的にバクテリアのようにいつまでも分裂できる不死の細胞があります。それは生殖細胞とがん細胞です。

老化のメカニズム

 どうして生体に老化が起きるのかという問題は、今でも生物学の最大のなぞの1つです。大昔からさまざまな説が提案されては消えています。現在、有力とされているいくつかの説を紹介しましょう。
 老化の時間を刻むタイマーとして最近注目されているのがテロメアです。ヒトの細胞の中には48種類の染色体がありますが、その染色体それぞれの末端にテロメアという構造があります。例えば、縄やひもは、端からほどけないように別のひもで縛ったり、金属や接着剤などで固定したりします。テロメアも同様に、細くて長い染色体が端から壊れないようにと、端を固定して遺伝子の安定化を図っています。このテロメアは、細胞が分裂するごとに一定量短くなり、ある程度短くなると細胞そのものが分裂できなくなり、そして寿命を迎えるのです。テロメアはいわば分裂のための回数券といえます。実は、生体にはこのテロメアを修復する酵素、テロメラーゼがあるのです。
 不死の細胞である生殖細胞とがん細胞では、このテロメラーゼが働いて、テロメアは常に一定量確保されるのです。このため永久に細胞分裂が可能なのです。一方、普通の体細胞ではテロメラーゼは働いていません。もし、体細胞でもこのように、回数券を節約したり修復したりする方法が見つかれば、老化を防止することも夢ではなくなります。
 実際、1998年には米国のジェロン社とテキサス大学の研究グループが、テロメラーゼの遺伝子を人間の体細胞に組み込んでその細胞の分裂回数を増やすことに成功、世界中の注目を集めました。先ほど、老化は細胞数の減少だけでなく、個々の細胞の機能低下でも説明できると紹介しました。細胞数の低下を説明する代表がテロメア説なら、機能低下を説明する代表が活性酸素説です。強い酸化作用があるフリーラジカルや活性酸素がたんぱく質や遺伝子に傷害を与え、その傷害が積み重なって老化が進むという考えです。確かに、皮膚の老化は紫外線によって加速されます。これを「光老化」といいます。また、動脈硬化も活性酸素が脂質を過酸化脂質に変えることで進行します。また、ネズミより犬、犬より馬、馬より象といった具合に、体重あたりの酸素消費量が少ない生物ほど寿命が長いことからも、この活性酸素説の妥当性が理解できます。しかしその一方で、ヒトの体内には、フリーラジカルや活性酸素を無毒化する酵素がきちんとあります。また、食品中のビタミンCやEなどにも抗酸化作用があります。このため、老化防止というと、この抗酸化作用をいかにうまく利用できるかが一つのポイントとなっています。このため、日焼け止めクリームなどで紫外線をできるだけ直接浴びないようにすることや、ビタミンCやEを多く含む緑黄色野菜を多くとることなどが推奨されるのです。1998年に、ハエにSOD(スーパーオキサイドディムスターゼ)など抗酸化酵素の遺伝子を組み込んだところ寿命が2、3割延びたという研究成果が「サイエンス」という科学誌に発表されました。線虫でも似たような研究成果が報告されており、活性酸素が老化に関係していることはほぼ間違いないようです。
 ここで少し気になることがあります。適度な運動が健康や老化防止によいことは今や常識ですが、活発に運動をして酸素を大量に消費することは活性酸素による老化を促進することにならないか、という疑問です。これについては、次のようなメカニズムが働いていると考えられます。激しい運動をしている選手と一般学生を調べたところ、活性酸素の1つであるスーパーオキサイドを消してしまう酵素、スーパーオキサイドディムスターゼ(SOD)が選手の方でより活性化されていたという報告があります。つまり、運動をすると活性酸素が増えるが、一方で、それに見合って活性酸素に対する防御システムも強化される、ということのようです。
 生命の基本的骨格はすべてDNAに記載されています。老化の道筋もきっとこの中にあるに違いありません。そこで、人の寿命を決定している遺伝子を探す研究が世界的に行われています。早老症ウエルナー症候群という遺伝性の病気があります。20歳代で白髪のしわの多い顔となり、動脈硬化や骨粗しょう症の老化現象が顕著となり、だいたい40歳代で亡くなる病気です。この病気が、DNAの組み替えに関与するDNAヘリカーゼという酵素の異常で起きていることが最近分かりました。
 このほかにも、早老症にはコケーン症候群などいろいろあり、さまざまな遺伝子が老化にかかわっていることが推測されます。早老症という病気があるならば長寿症という病気(?)があってもいいような気もしますが、どうもそれはないようです。自然界はいわば巨大な実験場です。そこで長寿症が出てこないというのだから、遺伝子を操作して人間をより長寿にするということはかなり難しいことなのでしょう。でも、線虫などの下等生物レベルなら、遺伝子を操作して長寿を実現したという研究報告がいくつかあります。
 以上のことから、老化現象は、テロメア、活性酸素、遺伝子などが複雑にからみあって起こっていると考えた方がよさそうです。


目の老化

 腕を伸ばして新聞を読んでいるお年寄りの姿を見ることがよくあります。年を取ると、近くの物が見づらくなります。いわゆる老眼です。目の中のレンズ(水晶体)は周りの筋肉から引っ張られると薄くなり、焦点が遠景に合うようになります。また、逆に引っ張る力を弱めると水晶体自身の弾力で元に戻って分厚くなり、近景に焦点が合います。老化が進むと、水晶体が硬くなり弾力性が失われるので、筋肉の力を弱めても水晶体の収縮が不十分となり、近景に焦点が合わなくなります。これが老眼が起こる理由です。また、厚さを調整する筋肉も衰えてくるので、焦点の調整も難しくなります。水晶体が硬くなる理由は、水晶体を構成しているたんぱく質が、毎日そこを通過する光のせいで、長い時間に少しずつ化学変化を起こして変性するためです。
 水晶体がにごってしまう白内障も、同じ理由で起きる目の老化現象です。これは、透明なプラスチック製品を戸外に出しっぱなしにしておくと、太陽光で劣化して、いつのまにか白くにごり、硬くてもろくなる現象にそっくりです。白内障かどうかは、左右、片目で外の景色を見て、見え方に違いがないかをチェックすることで分かることがあります。白内障については昨今、よい眼内レンズが開発され、外科手術で比較的簡単に治療できるようになりました。
 このような水晶体のたんぱく質の変性を起こす最大の原因は紫外線です。ですから、遠視や白内障を予防するには、日差しの強い日の外出は避けたり、サングラスを着用するなどの紫外線対策が有効です。年をとると老眼や白内障だけでなく、視力の低下、色覚の低下、眼球運動の衰えなどさまざまな面で衰えてきます。これらの老化は神経系がかかわってくるので、その老化防止策は遠視や白内障のように単純ではありません。
 視神経繊維は若いころは150万から170万本あるとされますが、これが毎年5,000本程度のペースで脱落します。視神経繊維は脱落したら再生しないのですが、これくらいのペースだったら死ぬまで日常生活で大きな支障を来すことはないそうです。でも、老人に多い原発緑内障は、高い眼圧が長期間続くことで視神経が壊れる病気ですが、失明することがあるので要注意です。病気が進行していても本人がなかなか気付かないことが多く、早期発見、早期治療が大切です。

耳の老化

 年を取ると耳が遠くなります。一般的には、高い音から聞きづらくなります。この難聴の問題には、単に「音が聞こえづらい」という側面と、「会話がよく聞き取れない」という2つの側面があります。後者の問題には、脳の中枢神経の老化が隠されています。つまり音としては聞こえているが、それが聴覚の伝達経路を伝わる過程で正しく伝わらず、言葉として理解できなくなっているのです。
 こうなると、耳だけの問題というよりは脳の問題になります。難聴になったら、早めに補聴器を使用するとよいとされています。状態がひどくなる前から補聴器を使うことで、早くから操作に慣れるとともに、衰えかけている聴覚の伝達経路を刺激して難聴が進むことを少しでも遅くできるのではないかと考えられるからです。また、最近の補聴器は、単に音を大きくするだけでなく、聴覚の伝達経路の障害で歪んで聞こえる話し言葉を、本人にとってより聞き取りやすいように補正することもできます。
 お年寄りの中には、自分の耳が遠くなっていることをなかなか認めたくなくて、補聴器をつけたがらない人がいます。しかしそうすると、周囲の人は何回も同じことを言わなくてはならないし、大きな声で話さなくてはなりません。このため周囲の人が話しかけることを苦痛と感じるようになり、だんだん会話が減ってしまいます。これでは周囲に迷惑なだけでなく、本人にとってもたいへんに不幸です。
 筋肉や骨は、普段負荷をかけて使っていないとすぐに衰えてきます。プロサッカー選手ですら、けがで長期間入院すると、太股がすぐに細くなったりします。これを廃用性委縮といいます。感覚器だって同じことです。多くの人と活発に会話をして聴覚にいつも刺激を与えていることが、聴覚の老化防止につながるのです。


鼻の老化

 「臭覚が衰えた」といって病院に行くお年寄りはあまりいないでしょうが、臭覚も年とともに衰えます。食事のおいしそうな匂いが分からなくては食欲も減退するし、火事が起きても焦げ臭いのになかなか気付かないなど、日常での不都合は多いものです。臭いの情報は、鼻の臭上皮から臭神経を通って脳に情報が伝わります。つまり、聴覚と同様に臭覚も脳が密接にからんでいます。花や料理や香水など、日常いつも香しい匂いに関心を持つことが、廃用性委縮を防ぐことになります。鼻炎など鼻の病気をできるだけ早期に治療することも大切でしょう。

味覚の老化

 入院患者のなかには、「食事だけが楽しみ」というお年寄りがいます。それが、味が分からなくなっては生きている喜びすらなくなってしまいます。しかし、この味覚も年を取るとともに衰えていきます。原因としては、服用している薬の副作用で味覚異常が起こるケースや、口腔内の病気でだ液の分泌量が低下したため味覚異常が起きるケース、亜鉛の欠乏症などで起きるケースなどがあります。
 同じ亜鉛欠乏症のラットでも、若いラットは味覚異常になりにくいが、老いたラットは味覚異常になりやすいという実験結果もあります。甘い、塩辛い、酸っぱい、苦いという味を感じる、舌にある味蕾の数も加齢とともに減少するという報告もあり、老化は味覚異常を加速させる要員です。でも考えてみると、テレビに出ている料理評論家には高齢者が多い。それは、料理の味を云々するためには、それなりの経験が必要だということなのでしょう。別の見方をすれば、いつも味に関心を持っていれば年をとっても味覚の衰えはかなり抑えられるということをも示しています。
 「友人とのグルメ食べ歩き」などは、よく歩き、よくしゃべり、そしておいしい物を食べるということで、老化防止には絶好の企画でしょう。

皮膚の老化

 皮膚も、熱い、冷たい、痛いなどさまざまな情報をキャッチする重要な感覚器です。皮膚の老化は、だれでも一目で分かる典型的な老化現象で、女性ならだれしも気にするところです。皮膚は老化すると、かさかさに乾燥したり、シミが出たり、しわが寄ったりします。皮脂腺が衰えてあぶらの分泌が減り、汗腺も老化して汗があまり出なくなります。皮膚に深いしわができるのは、真皮の中のコラーゲンが減って、皮膚に弾力性がなくなるためです。このような皮膚の老化に深くかかわっているのが紫外線です。紫外線が強い海で働く漁師さんの顔には、深いしわがきざまれていることが多いものです。そんな人でも、めったに太陽にさらさないお尻はすべすべとした肌を保っています。ですから、日差しの強い日の外出はさけ、外出する時は長袖の服を着たり、帽子をかぶったり、紫外線を遮断するクリームを塗るなどの対策が必要です。まして、海岸での甲羅干しなどは決してしないことです。
人類が初めて経験する人口高齢化現象。わが国ではそのピッチが急速に進み、30年もしないうちに空前のピークを迎える。現在、寝たきりや痴ほうを含め、老化現象や老人病を防ぐ方法についてはさまざまな角度から研究が進められているが、どこまで探究されてきているのか。そもそも人間の老化や痴ほうはどのようなメカニズムで、なぜ起こるのか。肝心の予防や治療法のメドは、どこまで立っているのか。実をいうと老化についてはまだほとんど分かっていないのが実情だが、今回は老化促進の要因として注目を集めている活性酸素と、アルツハイマー病に絞り、基礎老化学や臨床の現場で得た情報を報告しよう。

要因は活性酸素とストレスとする説

 東京大学理学部動物学教室放射線生物学講座の加藤邦彦助手は、比較生物学的視点から老化メカニズムの解明に挑戦している。まず、基礎研究では、老化についてどこまで分かってきているのだろうか。
 「結論を先にいえば、現在世界の学者の間で受け入れられている老化メカニズムの統一的な理論体系は、まだありません。しかし、老化を促進する要因は、活性酸素とストレスが有力です」ヒトはなぜ老いるのか-これは、われわれにとって最大の関心事である。だが実際は、まだほとんど分かっていない。
 「老化メカニズムの解明には、生物の進化(遺伝子変化)の過程で、老化はあまり問題にされなかったことを理解しないと難しい」と、加藤助手は次のように説明する。野性動物は、子孫を残せば一応、種としての役割は終わる。老化して歯や手足が不自由になればエサが取れなくなったり、弱肉強食の世界では他の動物に食べられたりして生き残るのは困難であった。しかも長生きすれば、エサをめぐって子どもとの闘いも起こるだろう。種にとっては「生殖」までが重要であり、その後の一生はたいした問題ではなかったのである。このため、生殖後の老化過程は進化のふるいにかけられなかった。

強烈な酸素の毒性

 老化促進の要因として関心を集めている活性酸素とは、どんなものなのか。その前に、酸素そのものについての説明がいる。酸素は人間だけでなく、ほ乳動物の生命維持には不可欠なものである。
 「ところが、酸素はもともと非常に毒性が強いんです。現在、大気中には20.9%の酸素が含まれているが、その濃度を上げるとどうなるか。ネズミの実験では、酸素濃度を50%に上げて飼育すると、通常三年半の寿命がその半分にまで短縮してしまう。さらに100%純粋な酸素の下に置くと、一週間以内に絶命してしまった。酸素の毒は、それほど強烈です。人間だって100%酸素下では、恐らく約半日で肺などに障害が出てくる。さらに吸い続ければ、確実に死ぬでしょう」酸素濃度を高めると、健康にもプラスになるのではないか。そう考えるのが普通である。ところが、加藤助手は「かつて高濃度の酸素が入った保育器で起きた赤ちゃんの未熟児網膜症、あれが典型的な例。大きな社会問題になったので覚えているでしょう」と、こちらの理解を促す。
 「その毒性の本体こそが、非常に反応性に富んだ危険分子の一種である活性酸素です。大体、呼吸で消費する酸素の約2%が体内で活性酸素になり、細胞膜や遺伝子、酵素を傷つけ、いためつけるので″酸素毒″とも呼ばれている」と、加藤助手。活性酸素をもっと難しくいうと、スーパーオキサイドラジカル、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素などの総称。細胞の不飽和脂肪酸を酸化、有害な過酸化脂質を作り出す。この″脂肪のサビ″ともいえる過酸化脂質が害を与え、その蓄積が結果的に老化を促進するという見方である。
 この活性酸素に着目、それが老化を促進し、寿命にも深く関与していることを明らかにしたのは、基礎老化学の研究の成果である。加藤助手が1977年から2年間留学、指導を受けた米国ボルティモア市にある国立老年学研究センターのカトラー博士も、活性酸素と老化の関係に早くから注目していた一人である。
 「ごく最近では、活性酸素ががん、脳卒中、糖尿病、心筋こうそく、アトピー性皮膚炎、リウマチなどの数多くの病気にも関連していることが分かってきた。今や医学、薬学の最前線では『風邪は万病のもと』ならぬ『活性酸素は万病のもと』というのが共通認識になっている。特に、がん研究の専門家が高い関心を示していますね」

効用著しいベータカロチン

 となると、この活性酸素の発生を抑えたり、コントロールすることができれば、老化やがんを予防することになるが、どうか。
 「人間を含め、呼吸しなければ生きていけない動物は、活性酸素の毒に対する七重、八重の制御システムを備えている。それでも防ぎ切れなくなって障害が出てくるわけだから、日ごろから防衛力の増強、維持に努めることと、不必要に活性酸素の発生量を増やさないことが肝心です」と、加藤助手は次のような防衛力増強のための方策を勧める。
 酸素毒を水などに分解してしまうSODという酵素や、抗酸化剤と呼ばれるビタミンC、ビタミンE、さらにニンジンやカボチャ、トマトなど緑黄色野菜に含まれるベータ(β)カロチンなどを摂取することだ。
 「このうちでも特に、βカロチンが活性酸素をやっつける力は強烈で、最近ではβカロチンの血中濃度が高い人は発がん率も低いという調査結果も出た。βカロチンは健康食品、がん予防食品としても世界中で脚光を浴び始めている。基礎老化研究には、栄養学的アプローチが非常に重要になってくるでしょう」このように活性酸素が老化との兼ね合いで出てくる場合は、その毒性が老化を促進する″極悪人″として扱われる。しかし「活性酸素で厄介なのは、確かに毒ではあるが、同時に薬としても作用するということです。体内にがん細胞や病原菌などの異物が侵入してきた場合、その強力な毒で排除し、体を守っている。敵に回すと怖いけど、味方に付けたらこれほど頼もしいものはない。それが活性酸素の素顔なんです」とも。
 老化促進のもう一つの因子、ストレスについてはどうか。加藤助手は「ストレスは、われわれが考えていた以上に怖い。現代では成人病の元凶といえるんじゃないか。高血圧、動脈硬化、糖尿病を高進し、がんや感染症に対する抵抗力も弱くする。老年痴ほうとストレスの関連をいう人もいる」と、ストレスが人間の健康に与える悪影響の大きさを強調している。

長寿が生んだアルツハイマー病

 現代医学、科学の進歩は、われわれに長寿をもたらした。しかし、命を永らえたことがすべて幸福につながっているかといえば、もちろんそうではない。さまざまな老人病や老化現象が、長い老後生活の中から新たな難題として生まれてきた。その代表の一つが、老年期痴ほうであろう。
 老年期の痴ほうには、大ざっばにいって脳こうそく、脳出血などを主な原因とする脳血管性痴ほうと、アルツハイマー病がある。65歳以上の日本人の約6%に痴ほうがあり、そのうち30%前後がアルツハイマー病と推定されている。ここで問題にしたいのは、今や老人ぼけの代名詞になった感のあるアルツハイマー病である。
 このアルツハイマー病については、従来アルツハイマー型痴ほうとかアルツハイマー型老年痴ほうなどとも呼ばれてきた。事実、この二つは発症年齢などに違いがあり、厳密には別の病気である。だが、専門家の間では一応アルツハイマー病に統一されている。
 肝心のアルツハイマー病は、原因不明のまま脳の委縮と変形が徐々に進行し、完治しないという難病だ。「厄介なのは、高齢になるほどかかる頻度が高くなり、特に80歳を過ぎると急激に増えることだ」と、この6月まで東京都老人総合研究所副所長だった柄沢昭秀・日本社会事業大学教授(老年精神医学)。気になるのは、わが国の高齢化は今後さらに急ピッチで進むことである。先ごろ日本大学人口研究所が発表した推計によると、現在約百万人の痴ほう老人は、高齢化のピークに達する2020年ごろには322万人にまで膨れ上がる。
 「アルツハイマー病についての最近の研究成果には、目を見張るものがある。患者の脳内に蓄積するベータ(β)タンパク質の研究が進み、遺伝学的に単一疾患ではなく、症候群であることが分かってきた。原因になる遺伝子の一つも、五年以内に突き止められるでしょう」
 このように、アルツハイマー病の原因解明について明るい展望を語るのは、東京大学医学部脳研究施設の井原康夫教授(脳病理学)。東京都老人総合研究所の臨床第2生理室長から教授になり、アルツハイマー病の患者の脳内の蓄積物質の生化学的解析を武器に、この難病の原因を追究している。
 井原教授によると、ヒトの脳には、生まれながらに数億個といわれる神経細胞がある。細胞は増殖することなく、加齢とともに死滅する。特に四十歳ごろからは、一日に数万個単位で減っていく。アルツハイマー病の患者の場合は、その減り方が著しいのが特徴だ。脳細胞の急激な減少により、この病気の特色である脳の委縮が全体的に現れ、スカスカになってしまう。
 「その縮んだ脳の中に、解明の手掛かりになる貴重な遺留品が残されている」
 それが神経原線維変化(PHF)、老人斑と呼ばれる二種類の病変である。老人斑は、いわば脳内の染みで、その中心に細い線維の塊のアミロイドが大量に蓄積する。そしてPHFとアミロイドの主成分が、それぞれβ、タウという特殊タンパク質であること、最初にβが蓄積し、タウはかなり遅れてたまることが突き止められた。

遺伝因子説に朗報続く

 ところで、アルツハイマー病の原因解明も明るい光が見えてきたとはいえ、まだ決定打はない。これまでに、さまざまなアプローチによる原因説が打ち出されてきた。例えば、神経伝達物質の一種であるアセチルコリン減少説、感染説、アルミニウム毒害説、それに遺伝因子説などなど。そして現在、基礎医学の最新の成果は、遺伝性アルツハイマー病を研究するグループからもたらされたものである。
 六十五歳以下の初老期に発症するアルツハイマー病は従来、遺伝的背景がつよいとされてきた。それが昨年11月、米国のシェレンベルクらが初老期発症の遺伝性アルツハイマー病の大部分は、21番目という予想に反して14番目の染色体に乗っていることを決定的に明らかにした。
 また、初老期に発症する一部のものは、老人斑の核になっているβアミロイドの前駆体タンパク質(APP)を作る遺伝子の変異によること、65歳以上の老年期に発症するものは19番目の染色体とかなり関連があることなどが確認されている。遺伝子の異常については、21番目の染色体が1個多いために発症するダウン症候群との関連で論じられてきた。精神薄弱の一種であるダウン症では、40歳以上になると、β、タウタンパク質が蓄積するなど、アルツハイマー病と同じ状態になることが知られている。
 さて、最も気になる今後の展望については、どうか。前述の研究成果の外にも、APP遺伝子の変異で起こる家族性アルツハイマー病の一部では、βタンパク質の生産が高いことが判明している。それらのことから、βタンパク質をどの細胞が、どのように多く生産するかなどの研究が各国で進んでいるという。

健康のブログ
良心的スポーツ店
 わが国では、平均寿命の伸びや出生率の低下などにより、他国に類を見ない速さで人口の高齢化が進んでいます。そのため21世紀の初頭には、65歳以上の老年者が総人口の20%前後を占めると予想されています。
 こうしたなかで、各種の成人病や老人性疾患も近年急速に増加しています。高齢者の場合は、運動器(骨・関節など)の異常を訴えることが多いのですが、特に、膝や肘の関節に特有の変形や障害が現れる変形性関節症という老人性疾患は日本人に多く、今後さらに増加するものとみられます。
 変形性関節症は一種の老化現象ともいえますが、この病気のことをよく知って、若い時期から適切な配慮を行えば本格的な発症を防いだり、軽症化させることができます。

関節を動かし始める時に痛む

 変形性関節症は、膝や肘などの関節軟骨が磨耗し、軟骨の下の骨に棘状の突出ができたりするもので、ある程度進行すると関節が痛んだり、水が溜まったりします。放置しておくと、関節部の外形も変形し、運動障害が重くなります。
 比較的初期のうちは、関節を動かし始める時に痛みを感じるのが特徴で、動作を継続していると痛まなくなるか、痛みが軽くなるのが普通です。たいていは、冬季に痛みが出て、気候が暖かくなると症状が緩和または消失します。
 この病気の患者をレントゲンで調べると、関節部に骨棘(棘様の骨)の増殖と骨の硬化が認められます。こうした特徴が、変形性関節症という病名の由来になりました。
 ただし、骨棘の増殖や骨硬化などの変形は、いきなり発生するわけではありません。まず、関節部の軟骨の磨耗・変性が起こって骨と骨がぶつかり合うようになり、その影響で骨の変形が生じるのです。従って、関節部の軟骨の磨耗と変性が、この病気の本質といえます。

膝の靱帯や筋肉が弱いと発生しやすい

 関節部の軟骨は、年齢とともに磨耗しやすくなります。また軟骨に含まれる成分(コンドロイチン硫酸など)も、老化が進むと変質してきます。このため、老化が変形性関節症の最大の原因となりますが、それだけでなく、若いときに行ったスポーツの影響なども、重要な発症因子となります。
 変形が発生する部位は膝関節が主体で、1部肘関節にも見られます。膝の関節は、もともと骨の形が不安定で、靱帯と筋肉がそれをカバーしていますが、老化が進むと靱帯や筋肉が弱まり、軟骨の磨耗が進みやすくなります。特に、女性は靱帯と筋肉が弱いため、発生率が男性の3~4倍になります。
 肘の場合は、子供の時からスポーツや労働などで過度の負担をかけたりすると、中高年以降に発生しやすくなります。
 股関節や足関節(足首)などでも変形性関節症が起こることがありますが、これらの関節は膝関節よりも骨の構造の安定性がよいので、患者数は多くありません。また、変形性関節症と同様の現象が脊椎に起こることもあります。この場合は、変形性脊椎症と呼ばれます。

辛抱強く訓練すれば痛みが治まる

 変形性膝関節症の多くは、膝の内側の軟骨がはげて痛みが出ます。1度変形した軟骨は修復されませんが、薬を用いながら辛抱強く訓練していくと、軟骨の下の骨が次第に硬くなってきて、痛みが治まっていくのが普通です。
 病気が進行する原因のひとつに肥満があります。そのため、肥満者の場合は、治療のひとつとして食事療法による減量対策も重要です。
 また、内視鏡の1種である関節鏡(金属製の硬い内視鏡)を使った特殊な小手術を行って、はがれかかった軟骨を除去することもあります。膝の内側が磨耗して著しいO脚となっているような場合は、膝の内側の軟骨に一層負担がかかって変形が重症化しやすくなるため、膝の骨の1部を切除してO脚を治す手術を行うこともあります。さらに重症な人には、人工関節を埋め込むこともあります。
 ただし、こうしたケースは多くありません。変形性関節症の患者が比較的多い当院でも、O脚を治す手術は年間5~6例程度で、人工関節は年間1~2例程度です。
 従って変形性関節症では、薬物療法と訓練療法などを効果的に行って、時間をかけて上手に痛みを治めていくことが治療のポイントになります。

膝の大腿四頭筋を訓練することが大切

 変形性関節症の薬物療法は、消炎鎮痛剤が主体になります。補助的に湿布のような外用薬を併用するのもよいでしょう(冷湿布は痛みを誘発することもある)。また支柱のついた専用サポーターも痛みを軽減し、歩行を楽にする効果があります。
 訓練療法は、大腿四頭筋という膝の筋肉の血行を改善し、筋力を強化する特殊な体操が主体となります。大腿四頭筋は膝関節のすぐ上にある筋肉で、膝を伸ばす働きをします。この筋肉は膝の病気に関係することが多いのですが、しばらく使わないとすぐ萎縮して、歩行障害に陥ったりします。
 変形性関節症の場合は、膝関節を動かさずに大腿四頭筋を収縮させる「等尺性収縮体操」という体操を行います。この体操では、まず下肢を伸ばした状態で床上に寝るか座るなどして、大腿四頭筋の収縮と弛緩を繰り返します。このリズミカルな運動がポンプのような作用をして、膝の血行を改善し、腫れを軽減させたり、進行を防ぐ効果をもたらします。また筋肉の萎縮を防ぎ、筋力を強化する効果もあります。

少年期のスポーツは適度に行う

 日常生活では、正座やウサギ飛び、階段の昇降など、膝に負担をかける動作は極力避けるようにします。食生活では特別な注意はありませんが、栄養バランスに十分注意し、規則正しく食事をとることが大切です。肥満がある場合は、無理なくダイエットをして減量してください。入浴は、血行をよくする効果もあり、負担がかからない程度なら全く問題ありません。
 変形性関節症は、中年期までに膝の筋肉などを強化しておけば、ある程度予防することができます。膝の筋肉を強化するためには、足に1~2キロの重りをつけて椅子に座り、足を動かす方法もありますが、面倒ならば、前述の「等尺性収縮体操」を根気よく続けるだけでもよいでしょう。
 また、少年期のスポーツは無理をさせないことが大切です。特に、野球・テニス・柔道など、肘に負担がかかりやすい競技は、肘を酷使させないような配慮が必要です。

健康のブログ
良心的スポーツ店
加齡にともない生理的機能が低下することを老化と呼んでいる。老化は避けることのできない生命現象である。老化は生理的老化と病的老化に分類され、病的な老化には遺伝的因子と環境的因子の影響が大きい。老化がなぜ起こるのかについては古くから研究されており、いくつかの学説が提唱されている。その中でも近年注目されているのは、フリーラジカル説と呼ばれるものである。生体内に発生したフリーラジカルが生体構成成分に酸化的損傷を与え、老化を引き起こすという説である。
 しかし、老化はひとつの説では説明できない点も多く、いくつかの説が関連していると言われている。運動や栄養が老化を遅らせることが可能かどうかは、非常に興味深い課題である。しかし、老化と寿命は混同できない問題である。生理的機能は運動によって高く維持される。また、疫学的な調査では運動選手の各年代における生存率が高いことが報告されている。実験動物では摂食量が生存率に影響していることもわかっている。

1 老化とは

 一般的に、老化とは成熟期以後にからだの恒常性や生理的機能が時間の経過とともに低下することである。老化には、1)有害性:老廃物の蓄積、2)進行性:非可逆的な進行、3)内存性:遺伝子による制御、4)普遍性:すべてのヒトにみられる現象、の四つの特徴がある。さらに、死亡率の増加、生体構成成分の低下、生体機能の低下、環境変化への適応能力の低下、疾病の増加なども老化の特徴である。

(1)老化に関する10の法則
1)死の確率は年齢とともに対数的に増加し、生体の機能に関する測定値は、時とともに直続的に低下する。
2)寿命は遺伝的素因と関係する。
3)雄は雌より寿命が短い。
4)寿命は食餌に影響される。
5)冷血動物の寿命は気温が上がると短縮し、下がると延長する。
6)致死量以下の放射線に暴露すると、寿命は短縮する。
7)年齢にともなう変化の度合いは、臓器系統によって異なる。
8)加齢とともに外からのストレスに対応する予備力の減少がみられる。
9)年齢的な変化は細胞内の化学的過程にみられる変化よりも、生体全体あるいは臓器単位のほうが顕著に認められる。
10)測定する生理機能が複雑であるほど、年齢による差異は著しい。

(2)老化の分類
 老化は生理的老化と病的老化に分類され、それぞれ分けて考える必要がある。生理的老化は疾病をともなわない老化であり、病的な老化は環境的因子(栄養、運動、ストレス、大気汚染など)や遺伝的因子(遺伝子的素因、遺伝子の損傷など)の影響による病的な状態をともなう老化である。
<生理的老化> 生理機能の進行的な低下、器官と組織の萎縮などの老化
<病的老化>  高血圧、動脈硬化、糖尿病、がん、白内障、骨粗鬆症、痴呆症など

2 加齡による生理的機能の変化

 加齡によって器官の重量が減少する。これは器官が構成する細胞が細胞死を起こして細胞数が減少するためと、細胞数は変化しないが細胞が萎縮するためである。脳の細胞は加齡とともに減少することが知られている。また、筋肉では筋細胞の萎縮がみられる。
 25~30歳をピークとして生理的機能は加齡にともなって低下していく。生命の維持に重要なはたらきをする神経系や細胞の内部環境は、機能低下の程度は小さいが、腎臓や呼吸循環器系の低下は大きい。老化による生理的機能の低下速度は器官によって異なる。また、全身持久力の指標である最大酸素摂取量も25歳をピークとした場合、加齡にともなって減少する。

3 老化学説

 老化がなぜ起こるかについては、いくつかの学説が唱えられている。


(1) プログラム説
 哺乳動物の脳には、あらかじめプログラムされた生物時計があり、神経伝達とホルモンの作用によって、細胞の活性化のスイッチと死に至る過程がすでに決定されている。

(2) エラー・カタストロフィー説
 細胞内でたんぱく質が合成される場合、複雑な過程でエラーが生じて異常なたんぱく質が合成される。このような異常なたんぱく質が多く合成されると、やがて正常な細胞機能が阻害することになる。

(3) 体細胞突然変異説
 DNAの損傷が完全に修復されないか、もしくは間違って修復されたために正しい遺伝情報が伝わらず、細胞が突然変異を起こし老化につながるという説である。

(4) クロスリンク説
 たんぱく質はペプチドと呼ばれる低分子から構成されているが、この分子間が架橋結合*(クロスリンク)することによって、本来のたんぱく質の構造と機能が変化する。たんぱく質である酵素やコラーゲン、DNAなどがクロスリンクすることによって老化するという説である。

(5) すり切れ説
 細胞が内部環境や外部環境の悪化に伴い消耗が加速され、やがて細胞機能が低下して細胞死に至る。

(6) フリーラジカル説
 不対電子を有する反応性の高い物質をフリーラジカルという。フリーラジカルには活性酸素を含み、特にヒドロキシルラジカル*(・OH)は強い反応性を示す。これらのフリーラジカルがDNA、RNA、酸素、たんぱく質、細胞膜の不飽和脂肪酸などに酸化的損傷を与えることによって、細胞死や細胞機能の低下が起こり老化につながるという説である。
 このほかにもいくつかの老化学説があるが、ひとつの学説ですべての複雑な老化過程を説明するのは困難である。老化は遺伝子の影響を受けて遺伝的に決定されていると考えられるが、生体内外の環境的因子に大きく影響される。

*ヒドロキシルラジカル
反応性が最も強いラジカルである。H2O2とFe2+またはH2O2とO2-・(スーパーオキサイド)が反応すると生成される。

*架橋結合
たんぱく質の分子内または分子間で、ジスルフィド結合(S-S結合)などが形成されること。ジスルフィド結合では、たんぱく質の反応性に富むSH基(チオール基)が酸化されることによって生じる。

4 老化と運動

(1) 生理的機能の低下と運動
 ほとんどの生理的機能は加齡にともない低下する。しかし、生理的機能の中には、継続的な運動によって加齡による低下が抑制されることも認められている。呼吸循環器機能の一つとしての最大酸素摂取量は、加齡にともない直線的に減少するが、トレーニングを行っているランナーやジョガーは初期のレベルが高く、高齢になっても非トレーニング者よりも高いレベルを維持している。また、からだの維持や活動に最も大切な骨は、定期的な運動によって骨密度の減少が抑制され、同年代の一般人と比べても高い骨密度を示している。骨格筋では機能と構造が加齡によって低下する。

(2)寿命と運動
 運動選手は短命であると言われるが、必ずしも寿命が短いとは限らない。むしろ運動の実践が生存率を上げる報告もある。フィンランドのトップアスリートの縦断的な調査では、一般人に比べてスポーツ選手の生存率が高いことが示されている。特に、持久的なスポーツ選手において生存率が高いようである。しかし、寿命はほとんど変わっていない。
 運動ではからだの総酸素消費量が増加するために、酸素代謝が高まり、老化を促進し寿命を短くするという説がある。哺乳動物の種によって単位体重当りの発熱量(比代謝率:キロカロリー/kg体重/日)が異なり、比代謝率が大きいほど短命であることが示されている。この結果は、異なる種における比代謝率と寿命の関係を示したもので、必ずしも運動による酸素代謝の促進が寿命を短くするとは限らない。すべての動物種の最大寿命は種によって特有であり一定している。実際、酸素代謝が高まれば、からだの中で発生する活性酸素やフリーラジカルが増加して、細胞に酸化的ストレスが加わり老化を促進するかもしれない(老化のフリーラジカル説)。しかし、寿命に影響するかどうかは明らかではない。
 運動が生存率を高め寿命を延長するという動物実験の結果がある。狭いケージで飼育されたラットと回転輪が付いたケージで自由に運動ができるように飼育されたラットでは、自由運動ができるラットの方が生存率が高く、寿命も延長している。このように運動によって酸素代謝が促進する条件においても、寿命の延長が確認されている。

5 老化と栄養

(1) 生存率と栄養
 病的な状態にならない条件で食餌摂取量を制限すると、寿命が延長することが古くから知られている。食餌摂取量を自由摂取ラットの47~65%に制限した制限食ラットでは、12~24月齡の体重が自由食ラットの約55%に抑制されて、生存率は自由食ラットよりも顕著に高かった。また、平均寿命は24.8%も延長した。さらに、実験動物で自由摂取群の60%で飼育した場合、寿命が30~50%延長した報告もある。なぜ食餌制限によって老化が遅延して、寿命が延長するのかについては明らかではないが、発がん率の低下や免疫機能低下の抑制、DNA損傷の低下などが報告されている。
 さらに、食餌制限の時期と生存率の関係が報告されている。マウスの飼育1年目と2年目で食餌量を変えた場合、最も生存率が高く寿命も延びたのは1年目に食餌制限を行い、2年目には自由摂食としたグループであった。逆に生存率も寿命も低かったのは2年間とも自由摂食のグループであった。このことにより老化の抑制や寿命の延長には、食餌量と摂食パターンが関係することが推察される。さらに運動と体重との関係では、運動ラットと体重が同じになるように食餌量を制限したラットが、自由摂食ラットより約20%寿命が延びた。食餌量は最も少なかった。自発運動ラットが次に生存率が高く、自由摂食ラットおよび運動ラットと食餌量を同じにしたラット(運動ラットの体重より約25%増加)は最も低かった。これらの結果がヒトにあてはまるかどうかは疑問であるが、過食による肥満が成人病の誘因となることから、摂取量が老化や寿命に与える影響は大きいと考えられる。

(2) 抗酸化栄養素と老化
 老化や疾病にフリーラジカルが関与していることが知られているなかで、たんぱく質、脂質、DNAの酸化的損傷を防御する抗酸化物質のはたらきが注目されている。栄養素として摂取するビタミンE、C、A、β-カロチン*などは代表的な抗酸化栄養素である。これらの抗酸化栄養素が活性酸素やフリーラジカルを消去することによって、老化を抑制できるかどうかは明らかではない。動物実験ではビタミンEを投与しても生存率と寿命には影響を及ぼさないようである。特定の抗酸化栄養素を過剰に摂取した場合、細胞内のほかの抗酸化栄養素とのバランスが崩れて、細胞全体としての抗酸化能力が発揮できないのかもしれない。しかし、抗酸化栄養素が活性酸素やフリーラジカルによる細胞機能の低下やDNAの損傷を抑制することにより、バランスのとれた抗酸化栄養素の摂取は、老化による疾病を予防できるか、もしくは疾病の発症を遅延させることができると考えられる。

*β-カロチン
β-カロチンは自然界に存在する黄、橙色などを呈する色素(カロチノイド)の一種である。体内で自然界に存在するビタミンAが不足すると必要量だけ変換される。β-カロチンは抗酸化物質として一重項酸素の消去作用を示し、発がんを抑制する効果も報告されている。

II 老化の社会学-高齢者の意識と行動-


総務庁老人対策室

 高齢者の人たちの意識と行動はどうなっているのであろうか。高齢者が可能な限り住みなれた家庭や地域で安心して充実した生活を送ることが理想であるが、現実はどうなっているのであろうか。総務庁老人対策室の実施した「高齢者の一人暮らし・夫婦世帯に関する調査結果」から伺ってみよう。

1 生活上の心配ごとに関する事項

(1) 高齢期に大切なもの
 「高齢期に大切なものは何だと思うか」についてみると、「健康」が95.0%と最も多く、次いで「家族」57.9%、「友人」29.2%、「所得・財産」27.8%、「趣味」25.4%、「仕事」14.7%の順となっている。
 同居形態別にみると、一人暮らし、夫婦世帯共に「健康」、「家族」の順となっているが、その次に一人暮らしでは「友人」を挙げる者が多く、夫婦二人世帯では「所得・財産」を挙げる者が多くなっている。
 都市規模別にみると、町村で「友人」の割合が高く、「所得・財産」の割合が低くなっている。また、小都市で「趣味」を挙げる者の割合が低くなっている。
 性別にみると、「仕事」(男性19.8%、女性11.7%)、「家族」(男性62.1%、女性55.3%)は男性の方が、「友人」(男性21.3%、女性34.1%)は女性の方が割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、年齢が低くなるほど「所得・財産」の割合が高くなっている。
 一人暮らし歴別にみると、一人暮らしの期間が3年~5年未満の者で「仕事」の割合が低く、「所得・財産」の割合が高くなっている。また、一人暮らしの期間が20年以上の者で「家族」の割合が低くなっている。
 夫婦世帯歴別にみると、夫婦暮らしの期間が3年~5年未満の者で「所得・財産」の割合が高く、20年以上の者で「仕事」の割合が低くなっている。

(2) 高齢期の心構え
 「高齢期の生活の心構えとして、どのようなものがよいと思うか」についてみると、「気持ちを若々しく保つ」が44.2%と最も多く、次いで「年相応に過ごす」25.0%、「自分の考えで主体的に生きる」15.6%、「家族などの周りの人にあわせる」11.5%の順となっている。
 同居形態別にみると、「自分の考えで主体的に生きる」(一人暮らし20.2%、夫婦世帯13.0%)は一人暮らしで割合が高くなっている。
 都市規模別にみると、都市規模が大きくなるほど「自分の考えで主体的に生きる」の割合が高く、逆に都市規模が小さくなるほど「家族など周りの人にあわせる」の割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、60~64歳で「気持ちを若々しく保つ」の割合が高く、「年相応に過ごす」、「自分の考えで主体的に生きる」の割合が低くなっている。
 一人暮らしに歴別にみると、一人暮らしの期間が20年以上の者で「家族などの周りの人にあわせる」の割合が低くなっている。
 夫婦世帯歴別にみると、夫婦暮らしの期間が3年~5年未満の者で「気持ちを若々しく保つ」の割合が高く、「自分の考えで主体的に生きる」の割合が低くなっている。また、夫婦暮らしの期間が10年以上の者で「年相応に過ごす」の割合が高くなっている。

(3) 高齢社会のイメージ
 「今後の高齢者の多い社会についてどのように考えるか」についてみると、「明るい社会」が26.5%と最も多く、次いで「どちらかといえば明るい社会」23.4%、「どちらともいえない」22.7%、「どちらかといえば暗い社会」16.8%、「わからない」6.5%、「暗い社会」4.1%の順となっている。
 同居形態別にみると、一人暮らしでは「明るい社会」(28.1%)を挙げる者が最も多く、次いで「どちらともいえない」(26.7%)、「どちらかといえば明るい社会」(18.3%)等の順となっており、夫婦世帯では「どちらかといえば明るい社会」(26.2%)を挙げる者が最も多く、次いで「明るい社会」(25.6%)、「どちらともいえない」(20.5%)等の順となっている。
 都市規模別にみると、小都市で「明るい社会」、「どちらかといえば明るい社会」の割合が低く、「どちらかといえば暗い社会」、「暗い社会」の割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、60~64歳で「どちらかといえば暗い社会」の割合が高く、65~69歳で「どちらかといえば明るい社会」の割合が高くなっている。
 一人暮らし歴別にみると、一人暮らしの期間が3年未満ので「明るい社会」、「どちらかといえば明るい社会」の割合が高く、5年~10年未満の者で「明るい社会」の割合が低くなっている。
 夫婦世帯歴別にみると、夫婦暮らしの期間が3年~5年未満の者で「どちらかといえば明るい社会」の割合が低く、「どちらかといえば暗い社会」の割合が高くなっている。

(4) 近所づきあい
 「近所の方とどの程度つきあいをしているか」についてみると、「お互いに訪問しあう人がいる」50.0%、「立ち話をする程度の人がいる」26.7%、「あいさつをする程度の人がいる」19.8%、「つきあいはない」3.5%の順となっている。
 同居形態別にみると、「立ち話をする程度の人がいる」(一人暮らし22.7%、夫婦世帯28.9%)は夫婦世帯の方が割合が高くなっている。
 都市規模別にみると、都市規模が小さくなるほど「お互いに訪問しあう人がいる」の割合が高くなり、逆に都市規模が大きくなるほど「立ち話をする程度の人がいる」、「あいさつをする程度の人がいる」の割合が高くなっている。
 性別にみると、「お互いに訪問しあう人がいる」(男性43.1%、女性54.2%)は女性の方が、「あいさつをする程度の人がいる」(男性25.3%、女性16.4%)は男性の方が割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、年齢が低くなるほど「立ち話をする程度の人がいる」の割合が高くなっている。
 一人暮らし歴別にみると、一人暮らしの期間が短くなるほど「お互いに訪問しあう人がいる」の割合が高くなっている。
 夫婦世帯歴別にみると、夫婦暮らしの期間が20年以上の者で「立ち話をする程度の人がいる」の割合が低くなっている。
 住まいの種類別にみると、「お互いに訪問しあう人がいる」は持家、一戸建てで割合が高く、「あいさつをする程度の人がいる」は借家、集合住宅で割合が高くなっている。
 住居年数別にみると、住居年数が長くなるほど「お互いに訪問しあう人がいる」の割合が高くなっている。

(5) 社会とのかかわり
 「教養・文化、スポーツ、社会奉仕などの分野で、同好会、サークルの活動や種々の行事、催し物への参加を通じて、社会とのかかわりを持って生活したいと思うか」についてみると、「そう思う」が47.3%と最も多く、次いで「どちらかといえばそう思う」25.7%、「そうは思わない」13.6%、「どちらかといえばそうは思わない」9.0%の順となっている。
 同居形態別にみると、「そう思う」(一人暮らし42.9%、夫婦世帯49.7%)は夫婦世帯の方が、「そうは思わない」(一人暮らし16.4%、夫婦世帯12.0%)は一人暮らしの方が割合が高くなっている。
 都市規模別にみると、都市規模が小さくなるほど「そう思う」の割合が高くなり、都市規模が大きくなるほど「そうは思わない」の割合が高くなっている。
年齢階級別にみると、年齢が低くなるほど「そう思う」の割合が高くなっている。
高齢社会のイメージ別にみると、明るい社会と答えた者で「そう思う」の割合が高くなっている。
 近所づきあい別にみると、近所づきあいの程度が深くなるほど「そう思う」の割合が高く、「そうは思わない」の割合が低くなっている。

(6) 子供との同居意識
 「高齢者が、子供や子供夫婦と暮らすことについて、どう思うか」についてみると、「できれば一緒に暮らす方がよい」が31.3%と最も多く、次いで「できれば別々に暮らす方がよい」20.0%、「別々に暮らす方がよい」20.0%、「一緒に暮らす方がよい」17.8%、「どちらともいえない」7.8%の順となっている。
 同居形態別にみると、一人暮らし、夫婦世帯共に「できれば一緒に暮らす方がよい」が最も多く、次いで一人暮らしでは「別々に暮らす方がよい」、「できれば別々に暮らす方がよい」の順となっているのに対して、夫婦世帯では「できれば別々に暮らす方がよい」、「別々に暮らす方がよい」の順となっている。都市規模別にみると、都市規模が小さくなるほど「一緒に暮らす方がよい」、「できれば一緒に暮らす方がよい」の割合が高くなっている。
 性別にみると、「一緒に暮らす方がよい」、「できれば一緒に暮らす方がよい」は男性の方が、「できれば別々に暮らす方がよい」、「別々に暮らす方がよい」は女性の割合が高くなっている。
 一人暮らし歴別にみると、一人暮らしの期間が3年未満の者で「一緒に暮らす方がよい」の割合がやや高くなっている。
夫婦世帯歴別にみると、夫婦暮らしの期間が3年~5年の者で「一緒に暮らす方がよい」の割合がやや高くなっている。

(7) 日常生活での心配ごと
 「日常生活の中で心配していることは何か」についてみると、「自分や配偶者が病気がちになること」が33.0%、「自分や配偶者が介護を必要とするようになること」24.7%、「病気などのとき、面倒をみてくれる人がいないこと」17.9%、「配偶者に先立たれた後の生活のこと」14.7%、「火事・災害のこと」14.6%等の順となっており、「心配ごとはない」が36.0%と最も多くなっている。
 同居形態別にみると、一人暮らしでは「病気などのとき、面倒をみてくれる人がいないこと」が最も多く、次いで「火事・災害のこと」、「自分や配偶者が病気がちになること」、「自分や配偶者が介護を必要とするようになること」等の順になっているのに対し、夫婦世帯では「自分や配偶者が病気がちになること」が最も多く、次いで「自分や配偶者が介護を必要とするようになること」、「配偶者に先立たれた後の生活のこと」、「病気などのとき、面倒をみてくれる人がいないこと」等の順になっている。
 性別にみると、「自分や配偶者が病気がちになること」(男性39.5%、女性29.1%)、「配偶者に先立たれた後の生活のこと」(男性21.8%、女性10.4%)は男性の方が割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、60~64歳で「自分や配偶者が病気がちになること」、「自分や配偶者が介護を必要とするようになること」、「配偶者に先立たれた後の生活のこと」の割合が高くなっている。
 一人暮らし歴別にみると、一人暮らしの期間が20年以上の者で「心配ごとはない」の割合が低く、「病気などのとき、面倒をみてくれる人がいないこと」の割合が高くなっている。夫婦世帯にみると、夫婦暮らしの期間が3年未満の者で「心配ごとはない」の割合が低く、「自分や配偶者が病気がちになること」、「自分や配偶者が介護を必要とするようになること」の割合が高くなっている。

(8) 心配ごとの相談相手
 「心配ごとや悩みごとができた場合、誰に話を聞いてもらったり、相談しているか」についてみると、「子供」が61.5%と最も多く、次いで「配偶者」51.1%、「兄弟姉妹」21.3%、「友人・知人」15.5%、「となり近所の人」7.1%、「子供の配偶者」6.4%等の順となっている。
 同居形態別にみると、一人暮らしでは「子供」が58.2%で最も多く、次いで「兄弟姉妹」、「知人・友人」等の順となっており、夫婦世帯では「配偶者」が80.2%と最も多く、次いで「子供」、「兄弟姉妹」等の順となっている。
 都市規模別にみると、都市規模が小さくなるほど「子供」の割合が高くなっている。また、町村で「となり近所の人」を挙げる者が多くなっている。
 性別にみると、「配偶者」(男性69.9%、女性40.3%)は男性の方が、「友人・知人」(男性8.8%、女性19.6%)は女性の方が割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、年齢が低くなるほど「配偶者」、「友人・知人」の割合が高くなっている。
 一人暮らし歴別にみると、一人暮らしの期間が20年以上の者で「相談したりする人はいない」の割合が高くなっている。
 夫婦世帯歴別にみると、夫婦暮らしの期間が3年~5年未満の者で「兄弟姉妹」の割合が高くなっている。

2 生計に関する事項

 (1) 1カ月当たりの生活費
 「家賃などを含めた一カ月当たりの生活費はおおむねどのくらいか」についてみると、「20~25万円未満」が23.7%と最も多く、次いで「10~15万円未満」22.0%、「15~20万円未満」19.6%、「25万円以上」18.6%、「5~10万円未満」10.3%、「5万円未満」1.0%の順となっている。

(2) 主な収入源
 「現在の生活費をまかなっている、主な収入源は何か」についてみると、「公的な年金(国民年金、原生年金など)」が91.5%と最も多く、次いで就業による収入」28.2%、「預貯金の引出し」15.1%、「恩給」8.0%、「子供などからの援助」7.2%、「家賃、地代などの収入」6.1%等の順となっている。
 同居形態別にみると、一人暮らしで「預貯金の引出し」、「子供などからの援助」の割合が高く、夫婦世帯で「就業による収入」の割合が高くなっている。
 都市規模別にみると、小都市、町村で「就業による収入」の割合が高く、大都市、中都市で「家賃、地代などの収入」の割合が高くなっている。また、町村で恩給の割合が高くなっている。
 性別にみると、「就業による収入」(男性32.7%、女性25.4%)、「私的な年金(企業年金、個人年金など)」(男性6.0%、女性3.2%)は男性の方が、「子供などからの援助」(男性5.3%、女性8.3%)は女性の方が割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、年齢が低くなるほど「就業による収入」の割合が高くなり、逆に年齢が高くなるほど「子供からの援助」の割合が高くなっている。
 健康状態別にみると、健康状態が良い者ほど「就業による収入」の割合が高くなっている。

(3) 高齢者の就労意識
 「何歳くらいまで働くのがよいと思うか」についてみると、「元気ならいつまでも働く方がよい」が35.4%と最も多く、次いで「65歳くらいまで」25.3%、「70歳くらいまで」22.7%、「60歳くらいまで」7.9%、「75歳くらいまで」5.6%の順となっている。
 同居形態別にみると、「70歳くらいまで」とする者は夫婦世帯の方が、「元気ならいつまでも働く方がよい」とする者は一人暮らしの方が割合が高くなっている。
 都市規模別にみると、大都市で「70歳くらいまで」とする者の割合が高く、「元気ならいつまでも働く方がよい」とする者の割合が低くなっている。
 性別にみると、「元気ならいつまでも働く方がよい」(男性32.7%、女性37.0%)は女性の方が割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、70~74歳で「70歳くらいまで」の割合が低く、「75歳くらいまで」の割合が高くなっている。

3 健康に関する事項

(1) 身体上の不自由
 「日常生活を送る上で、どのようなときに身体上の不自由を感じるか」についてみると、「歩行」13.5%、「新聞、雑誌を読むとき」6.5%、「食事」3.5%等の順となっており、「不自由は感じない」が76.8%と最も多くなっている。
 同居形態別にみると、一人暮らし、夫婦世帯共に不自由を感じる内容としては「歩行」、「新聞、雑誌を読むとき」の割合が高くなっており、「不自由は感じない」が7割を超している。
 都市規模別にみると、町村で不自由を感じる各項目の割合が高く、「不自由は感じない」の割合が低くなっている。また、町村で「食事」の割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、年齢が高くなるほど不自由を感じる各項目の割合が高く、「不自由は感じない」の割合が低くなっている。
 健康状態別にみると、健康状態が不良になるほど「不自由は感じない」の割合が低くなり、不自由を感じる各項目の割合が高くなっている。

(2) 病院や診療所への通院の頻度
 「現在、病気の治療のために病院や診療所にどの程度通院しているか」についてみると、「月に2~3日程度」28.0%、「月に1日」18.0%、「週に1日」9.7%、「週に2~3日程度」7.5%等の順となっており、「通院していない」が28.5%と最も多くなっている。

(3) 入院の有無
 「この1年間に入院していたことがあるか」についてみると、「1ヵ月未満」6.7%、「1~3ヵ月未満」4.1%、「3~6ヵ月未満」1.6%、「1年以上」1.0%、「6~12ヵ月未満」0.3%の順となっており、「入院したことはない」が86.4%と大半を占めている。

(4) 健康の維持増進
 「自分の健康の維持増進について、気をつけていることは何か」についてみると、「休養や睡眠を十分にとる」が55.1%と最も多く、次いで「栄養のバランスのとれた食事をする」54.8%、「規則正しい生活を送る」49.2%、「散歩やスポーツなどの運動をする」26.5%、「健康診査などを定期的に受ける」24.6%、「気持ちをなるべく明るく持つ」22.4%等の順となっている。
 同居形態別にみると、一人暮らしでは「栄養のバランスのとれた食事をする」(55.5%)が最も多く、夫婦世帯では「休養や睡眠を十分にとる」(55.2%)が最も多くなっている。性別にみると、男性は「休養や睡眠を十分にとる」が最も多く、次いで「規則正しい生活を送る」、「栄養のバランスのとれた食事をする」の順となっており、女性は「栄養のバランスのとれた食事をする」が最も多く、次いで「休養や睡眠を十分にとる」、「規則正しい生活を送る」の順となっている。
 年齢階級別にみると、60~64歳で「栄養のバランスのとれた食事をする」、「気持ちをなるべく明るく持つ」の割合が高くなっている。

(5) 知りたい健康情報
 「高齢者の健康管理について、知りたいことはなにか」についてみると、「老人性痴呆症について」が26.9%と最も多く、次いで「食生活のあり方について」26.7%、「寝たきりの予防方法について」23.6%、「がんや高血圧について」23.1%、「健康増進のための運動方法について」23.0%等の順となっている。
 同居形態別にみると、一人暮らしでは「老人性痴呆症について」が最も多く、次いで「食生活のあり方について」、「寝たきりの予防方法について」の順となっており、夫婦世帯では「食生活のあり方について」が最も多く、次いで「老人性痴呆症について」、「がんや高血圧について」の順となっている。
 都市規模別にみると、町村で「食生活のあり方について」の割合が高くなっている。
 性別にみると、「健康増進のための運動方法について」(男性26.8%、女性20.7%)、「がんや高血圧について」(男性26.4%、女性21.1%)は男性の方が、「骨粗鬆症について」(男性5.8%、女性18.0%)、「寝たきりの予防方法について」(男性20.6%、女性25.4%)は女性の方が割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、年齢が低くなるほど「食生活のあり方について」、「がんや高血圧について」、「骨粗鬆症について」「介護の方法について」等の割合が高くなっている。

4 福祉に関する事項

(1) 緊急時の連絡先
 「けがや病気など、緊急の人の手助けを必要とする場合に誰に連絡するか」についてみると、「子供」が76.4%と最も多く、次いで「配偶者」49.8%、「兄弟姉妹」23.6%、「となり近所の人」17.7%、「子供の配偶者」12.9%、「かかりつけの医師」11.9%等の順となっている。
 同居形態別にみると、夫婦世帯では「子供」と「配偶者」の割合が高く、それ以外の項目を挙げる者の割合が低くなっている。
 都市規模別にみると、大都市で「友人・知人」の割合が高く、町村で「となり近所の人」の割合が高くなっている。
 性別にみると、「配偶者」(男性70.8%、女性37.0%)は男性の方が、「友人・知人」(男性6.0%、女性12.1%)、「となり近所の人」(男性14.2%、女性19.8%)は女性の方が割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、年齢が低くなるほど「配偶者」の割合が高くなっている。また、60~64歳で「子供」の割合が高くなっている。

(2) 介護状態への不安度
 「将来寝たきりや老人性痴呆症になり、介護が必要な状態になるのではないかと不安になったりすることがあるか」についてみると、「ときどきある」が35.3%と最も多く、次いで「あまりない」28.2%、「全くない」19.6%、「よくある」14.6%の順となっている。
 同居形態別にみると、「よくある」、「ときどきある」は一人暮らしの方が「あまりない」「全くない」は夫婦世帯の方が割合が高くなっている。
 都市規模別にみると、町村で「よくある」の割合が高くなっている。
 性別にみると、「よくある」、「ときどきある」は女性の方が、「あまりない」「全くない」は男性の方が割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、75歳以上で「よくある」の割合が高くなっている。
 健康状態別にみると、健康状態が不良になるほど「よくある」の割合が高くなっている。

(3) 介護を受けたい場所
 「身体が虚弱になって、日常生活を送る上で介護を必要とするようになった場合、どこで介護を受けたいか」についてみると、「現在の自宅で介護してほしい」が41.8%と最も多く、次いで「病院などの医療機関に入院したい」27.1%、「老人ホームなどの福祉施設に入所したい」11.7%、「子供の家で介護してほしい」6.7%等の順となっている。
 同居形態別にみると、「現在の自宅で介護してほしい」は夫婦世帯の方が、「老人ホームなどの福祉施設に入所したい」、「病院などの医療機関に入院したい」は一人暮らしの方が割合が高くなっている。
 都市規模別にみると、小都市で「現在の自宅で介護してほしい」の割合が高く、「病院などの医療機関に入院したい」の割合が低くなっている。
 性別にみると、「現在の自宅で介護してほしい」(男性53.9%、女性34.5%)は男性の方が、「子供の家で介護してほしい」(男性4.4%、女性8.1%)、「病院などの医療機関に入院したい」(男性20.2%、女性31.4%)は女性の方が割合が高くなっている。

(4) 介護を頼む人((3)で「現在の自宅」、「子供の家」、「兄弟姉妹など親族の家」で介護してほしいと回答した者に)
 「現在の自宅、子供の家又は兄弟姉妹など親族の家では、誰に介護を頼むつもりか」についてみると、「子供」が72.9%と最も多く、次いで「配偶者」57.4%、「子供の配偶者」29.7%、「ホームヘルパー」16.5%、「兄弟姉妹」8.9%、「訪問看護婦」7.9%等の順となっている。
 同居形態別にみると、一人暮らしでは「子供」が最も多く、次いで「子供の配偶者」「ホームヘルパー」、「兄弟姉妹」の順となっており、夫婦世帯では「配偶者」が最も多く、次いで「子供」、「子供の配偶者」、「ホームヘルパー」の順となっている。
 都市規模別にみると、小都市、町村で「子供」が、大都市、中都市で「ホームヘルパー」の割合がそれぞれ高くなっている。また、大都市で「訪問看護婦」、「民間のシルバーサービス」の割合が高くなっている。
 性別にみると、「配偶者」(男性80.9%、女性38.1%)は男性の方が、「兄弟姉妹」(男性5.8%、女性11.4%)、「ホームヘルパー」(男性14.2%、女性18.5%)、「訪問看護婦」(男性5.2%、女性10.2%)は女性の方が割合が高くなっている。

健康のブログ
良心的スポーツ店
高齢者の多くは、わが家で家族と共に暮らすことを望んでいるといいます。何事もなく過ごせればそれは理想的なのですが、病状の急変や思わぬアクシデントが起こったときが問題です。高齢者と生活を共にする場合は、日ごろからとっさの対応、応急処置などを身につけておかなければいけません。

日ごろから心がけておくこと

 高齢者は、病気の場合はもちろん、元気なようでも急に異常を起こしたり、思いがけないケガをしたりすることがあります。特に問題なく過ごしている場合でも、次のようなことを心得ておきましょう。
1毎日、よく観察しておくこと。
 顔色、動作、食欲、排せつの状態など日常生活で変わった点はないか、日ごろから注意します。突然の発病や病変のように見えても、それ以前になんらかのシグナルを出している場合が少なくないからです。しかし、高齢者の場合はこのシグナルが見えにくく、本人の訴えもないことがあるので気をつけてください。
2定期的に受診しておくこと。
 主治医を決め、定期的な診察を受けるようにします。子供や高齢者がいる家庭では近くにホームドクターがいないと不安です。日ごろの観察ポイントから、いざという時の注意などまで指示を受けておくとよいでしょう。
6緊急連絡用の電話一覧をわかりやすい場所に。
 ホームドクターの電話をはじめ、連絡すべきところの電話番号を見やすく書いて、だれにでも分かる場所に張っておきましょう。家族の少ない家庭では近所にお互い助け合える家庭を作っておくと安心です。また、高齢者も連絡ができるようにこの一覧表について話しておきます。119番への連絡法も住所や目印など、伝えるべきことと順序を個条書きにしておきます。慌てると簡単なことも話せなくなるものですから。

主な症状別の対処法

 救急患者にとっては最初の5分間が生命を救う分かれ道になるといいます。それには症状の正しいチェックが鍵です。チェック・ポイントは、1意識の有無 2呼吸の有無 6脈拍の有無で、これをバイタルサイン(生の兆候)といいます。高齢者の場合は、脳卒中などで倒れることが少なくないので、一刻も早く医師の診察をうけることが必要ですが、基本的な応急処置は心得ておきたいものです。以下を参考にし、さらに専門家の指導を受けておくことをお勧めします。
●突然倒れたら
 安静にさせることが大切ですが、必要に応じていくつかの応急処置を施します。意識がない場合は特に慎重に対処しなければいけません。一人で動かしたり、頭が揺れるような状態には絶対にしないでください。意識がある場合は安全な場所に移してもよいでしょう。本人の不安を静めるよう、優しく声をかけながら医師の手配を素早くします。意識がはっきりしない場合は、 1吐瀉物が詰まって窒息を起こすのを防ぐため横向きにする。 2ケイレンしていたら、舌をかまないようにタオルなどを口の中に入れる。 6吐いたときは、飲み込まないように吸引器で吸い出すか、割り箸にガーゼを巻いた物で取り除く。

●呼吸が止まっていたら
 まず、気道の確保といって空気が肺まで通るように気道を開かせます。気道の確保で自然呼吸が始まらないときは人工呼吸をします。
 1気道の確保は、片手を首の下に当てて軽く持ち上げ、もう一方の手を額に当てて押し、あごを上げる。 2人工呼吸は額に当てた手をずらして鼻をつまみ、大きく息を吸い込み、高齢者の口を完全にふさぐようにして息を吹き込む。 6胸の動きを見ながら4回立て続けに行い、心臓の鼓動と呼吸をチェックする。あとは1分間に12回くらいのペースで行う。

●心臓が止まったら
 心臓が止まってしまったら、のどぼとけの脇で拍動を確認してから直ちに心臓マッサージを行います。心臓が動いているうちに行うと逆に危険を招くことがあります。人工呼吸と心臓マッサージを交互に行うか、2人で同時に行うのも有効です。
 1心臓が止まって1分以内なら、胸骨(胸中央の縦に長い骨)の中央部を握りこぶしで1回だけ強くたたく(前胸部強打法)。何回もたたいてはいけない。 2前胸部強打法で心拍が戻らない場合は、胸骨の下端3~4センチ上方に片方の手のひらの根元を置き、その上にもう一方の手を重ねる。 6ひじを伸ばして垂直方向に押してはゆるめる。肋骨が3~4センチ沈むくらいに押し、1秒間1回のペースで行う。

けがや事故が起こったら

 高齢者に起こりがちなトラブルへの対応を心得ておきましょう。ただし、トラブルはこの他にもいつ、どんな形で起こるかわかりません。専門家の指導を受けておくととっさの場合慌てずにすみます。
●食べ物や異物がのどに詰まったら
 1前かがみにさせ、肩甲骨の間を強くたたく。 2横を向かせ、舌を押さえながら指を入れて吐かせる。 6 1、2でだめな場合や意識がないときは高齢者の後ろに回り、足を開いて中腰になり、みぞおちよりやや下の腹部に両手を回す。 4腰を入れて、両手に力を入れて腹部を強く押し上げるようにし、同時にからだを引っ張り上げる。

●たんが詰まったら
 うつぶせにして背中を下から上に向かってたたく。うつぶせにできないときは横向きにして背中を下から上にたたく。
●やけどをしたら
 狭い範囲のやけどの場合は患部の少し上から流水で冷やす。患部に水を直接当てると皮膚がむけてしまうことがあるので注意する。広い範囲の場合は、とりあえず衣服の上からシャワーなどで冷やすが、一刻も早く病院に運ぶ。衣服は無理にぬがさないこと。
●骨折をしたら
 骨折をしたら、なるべく動かさないようにして添え木で骨折部位と関節を固定します。背骨の骨折は非常に危険なので慎重に処置をしますが、適切な処置ができない場合は動かさず、大至急、救急車や専門家を呼びます。いずれの場合も応急処置後、医師の診察は必要です。

健康のブログ
良心的スポーツ店
人はだれも、年をとると「下の世話をかけるようになるのでは……」ということを心配するのではないでしょうか。排せつが自力でできないということは、高齢者のからだにも心にも大きなダメージを与えるものです。それだけに排せつの介助には、テクニックだけでなく、細やかな心遣いが非常に大切になります。
 また、排せつがスムーズかどうかは健康のバロメーターでもあります。高齢者には便秘、頻尿など、さまざまな排便、排尿障害もでてきがちです。本人が気づかないことも多いので、周囲の人がよく注意してあげましょう。

▼危険防止や使いやすさの工夫

 排せつの失敗が多くなると、すぐオムツを考えがちですが、オムツは最後の手段です。尿意や便意がわかるうちは、トイレでの排せつを続けられるようにしたいものです。ただし、高齢者はたいてい排せつに時間がかかったり、もらしてしまったり、間に合わなかったりと、失敗も多くなります。これは腎臓の機能が低下し、肛門括約筋の働きが衰え、膀胱の容量が少なくなり、脳から膀胱への指令も遅くなるなどの、多くは老化による障害が現れるためですから、失敗があっても、嫌な顔をしたり、非難めいた言葉をはいてはいけません。なかなか大変なことではありますが、いつもやさしく接することが大切です。

 高齢者は尿意が頻繁に起こるのが普通です。介助する人に遠慮して言い出しかね、失敗するということも少なくありません。高齢者の排せつのリズムを周囲の人がつかんで、「トイレはどうですか」などと声をかけてあげるようにしたいものです。

 歩ける場合は、トイレを使うのがベストです。しかし、その場合は廊下やトイレに手すりをつける、また急激な温度差がないように室外、トイレなどの保温に気をくばる、トイレ内に連絡用のベルをつけるなど、危険防止対策を十分にしてください。

 足腰が弱っている高齢者には、やはり腰かけられる洋式が向いています。和式の便座にのせるだけで腰かけ式になる便座がありますので簡単に変えることができます。

 トイレまで行くのが無理な場合は、ポータブルトイレの利用を考えましょう。トイレに行ける人も「必ずトイレで」と厳しく考えず、寒いときや夜間、体調の悪いときなど、状況に応じて、室内で用をたすようにします。

 ポータブルトイレに腰かけるのを手伝ってあげますが、用をたしている間は外しているほうがよいでしょう。恥ずかしい思いやあせりを感じさせない配慮です。ポータブルトイレの使用で注意するのは、室内に臭気がこもらないようにすることです。換気とトイレの後始末に気をつけましょう。臭いがもれない水洗タイプのポータブルトイレも出ていますし、背もたれつきや暖房つきなどいろいろなタイプがありますので、よく調べて選んでください。

▼寝たままでの排せつで注意すること

 尿意、便意はわかっても、起きあがれないという場合は、尿器、便器を使うことになります。尿器も便器もいろいろ便利なものが出回っていますので、専門家に相談するなどして、からだにやさしく、扱いやすくて洗いやすいものを選びましょう。

 尿器、便器を使うときは、高齢者と息を合わせ、できるだけお互いの負担が少なくてすむようにします。自分で尿器を持てるとか、腰をあげたり、からだの向きを変えられるという人の場合は、その人の自力を上手に利用してあげるようにします。           


 また、高齢者は尿意はわかっても、失禁してしまうということがよくあります。とがめたり、嫌な顔をして高齢者の心を傷つけることのないようにし、やさしく気遣ってあげましょう。脱ぎ着がらくな下着にしてあげたり、排せつの用がないかを聞いてあげたりします。失禁パンツや失禁パッドを使用するのもよいでしょう。これらはオムツとは見た目も使用感も違うので、高齢者も着けるのに抵抗が少ないと思います。

 尿意、便意がわからず、寝たきりという場合は、オムツの使用ということになりますが、オムツはもう他に方法のない場合の手段です。ある程度ボケている人でも、オムツにされるとショックを感じ、ボケや寝たきり状態が進む場合が少なくないといいます。状態が多少でも好転したら、オムツを外す方向に持っていく努力が必要です。

 オムツの交換は、慣れないうちはちょっと大変なので、コツを覚えるようにします。病院や在宅介護支援センター、保健所などで指導を受けることもできます。心身ともに負担が少なくてすむよう手早く交換してあげたいものです。また、面倒がらずまめに交換し、いつも清潔にしておいてあげましょう。

▼健康チェックも忘れずに  

 高齢者に何らかの排せつ障害が出てくることは、老化現象の現れで避け難いことだというのは以上述べてきた通りですが、訓練や治療で改善されるケースもあるので、「仕方がない」とあきらめず、専門家に相談することも必要です。また何らかの病気が原因となっている場合もあるので、排せつの状態には注意を怠らず、気になる兆候があったらすぐ医師に伝えます。  

 頻尿、尿が出にくい、失禁するなどの排尿障害には、ストレスによるものから前立腺肥大症、膀胱炎などさまざまな病気が隠れていることも考えられます。さらにがんの場合もあります。

 また、高齢者は一般に便秘しがちです。便の状態が良く、多少間隔が長くても一定の間隔であれば、そう神経質になる必要はありませんが、便秘が長引くようだと、便が硬くなり、放っておくとまったく出なくなることもあるので、早めに医師に相談します。どんな便が出ているかということは、がんなどの重大な病気の判断の助けにもなるので、よく注意するようにします。


健康のブログ
良心的スポーツ店
▼楽しく食事をするために

 自分で食べられる場合と食べられない場合とでは、多少違いがありますが、まず心得ておくべきことは、次のような点です。

①原則的には決まった時間に、家族と一緒に食卓を囲むように。
高齢者は時間がかかったり、食べこぼしたりしがちなため、食事を一緒にするというのは案外大変なものです。しかし、家族と同じ食卓につくことで、孤独感が癒され、食事も一段とおいしくなるものです。できるだけ一緒の食事を心がけましょう。ところが、家族のだれかが不用意に「汚い」とか、「私のを食べちゃった」などといってしまうことはありませんか。高齢者は、こうしたことで深く傷つきます。逆効果にならないよう家族全員の協力が大切です。
②食事の前には、排せつをすませ(おむつをかえ)、手を洗い、うがいをするなど、さっぱりして食卓につけるようにしてあげます。
 ベッドで食事をしなければならない人の場合は、ポータブルトイレなどは片づけ、寝室をすっきりさせます。
 食後は、忘れずに口のまわりや口中を清潔にしてあげます。
③使いやすい食事用品の上手な利用を。
手が不自由だったり、起き上がれない人用の食器や食べこぼしが気にならないエプロンなど、いろいろ出ていますので、これらを上手に利用して楽しく食事ができるようにしてあげましょう。
     
▼食事の介助のポイント

 食事はできるだけ自力でとった方がよいのですが、マヒや視力の衰えがある場合、寝たきりの場合などは介助が必要です。座位をとれる人は、背中にクッションや布団をあてがうなどして上半身を安定させます。寝たままの場合も、できるだけ上体を起こすようにします。

 自分で食べられない場合は、特に次のような注意が必要ですが、高齢者の食事では共通して心得ておきたいことです。

①一口ごとに声をかけ、ゆっくりと口に運んであげます。
高齢者は、歯もよくなく、消化吸収能力や飲み込む力も衰えてきているので、少しずつゆっくりと。決して急がせてはいけません。
②熱いもの、魚の骨などに注意します。
前もって飲みごろ、食べごろにしておく、骨などは取っておくといった心づかいが大切です。
③ご飯とおかずは程よい順番で。
早くすまそうと、ご飯とおかずをごちゃ混ぜにしてあげたりすると、食欲にも影響します。目でも楽しめるよう、食べ物は見せてあげながら、ご飯とおかずを食べやすい順番で運んであげます。

▼食事の注意と工夫

 介護を必要とする高齢者は、何らかの疾患を抱えているわけで、食事は治療の一環として重要な位置を占めます。疾患によって食事内容も違ってきますし、疾患・老化速度の違いによってエネルギー所要量にも差が出てきます。食事療法については、まず主治医、栄養士など専門家の指導を受けることが必要です。過栄養、低栄養にならないよう、食べ過ぎるようだったり、食べたがらなかったりするようなときは専門家に相談しましょう。

 こうした基本的な注意をした上で、日頃は次のような注意を心がけたいものです。

①栄養バランスのよい食事内容に。
量は少なめ、品数は多めを心がけ、栄養の偏りがないようにします。高齢者はとかくたんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが不足しがちなので、献立に工夫をしましょう。品数が多いと食欲も進むものです。
②食べやすくする調理を。
かみにくい、飲み込みにくいということのないよう、かくし包丁を入れるとか、小さく切る、繊維を切る、ふっくらと柔らかく煮るなどのちょっとした一手間で食べやすくなります。食べやすさを優先して、何でも離乳食のように潰したり、すったりしてはおいしくない場合もあるので注意してください。
③塩分は控えめに。
塩分の摂り過ぎは例外なく健康によくありません。ところが高齢者は味覚が鈍くなり、濃い味になる傾向がみられます。薄味に仕上げて、食卓で少量の塩や醤油をかけて満足感が得られるようにするとか、酢を使ったり、しそやしょうが、ゆず、レモン、ハーブ類など、香りで風味を増す工夫もしてみましょう。
④汁けを多めにして、のどごしをよくする工夫を。
のどにつかえたりしないように、煮物なら少し汁けを残して一緒に食べるようにするとか、フライや肉料理などもソースをプラスするとかしてあげるとよいでしょう。また、のどに詰まりやすい場合は途中でおつゆやお茶などをあげるようにしてください。
⑤脱水症状にならないよう、水分の補給を。
食事には気を遣う人もうっかりしがちなのが、水分の補給です。特に寝たきりの場合は、自分で飲むことができませんから気をつけてあげなくてはいけません。ストローはむせがちなので、吸いのみや、少しからだがきく場合には便利なコップ類もあるので利用しましょう。湯茶だけでなく、牛乳や野菜ジュースなどで食事で不足しがちな栄養補給もしてください。
 食事のお世話は三度三度のことで大変ですが、家族の食事にもう一手間かけるくらいのつもりで長続きさせてほしいものです。

健康のブログ
良心的スポーツ店
マヒなどの障害があって、からだの動きが不自由な人は、寝ているときも自由に寝返りをうつことができません。からだへの負担が少ない楽な状態で寝ることができないのです。そのままでは、寝苦しいだけでなく、さまざまなトラブルの引き金ともなります。中でも起きやすいのが床ずれです。床ずれは放っておくと、すぐに悪化し、さらに大きなトラブルの原因となります。寝たきりにせず、体位交換などをまめにして、床ずれを予防しましょう。


◆床ずれはなぜできる

 床ずれは、特定の箇所に長時間、主に圧迫が加わることでできます。圧迫によって、血液の循環が悪くなった状態が続くと、組織の壊死を起こすのです。一般的には床ずれといっていますが、正式には「褥創」(じょくそう)といいます。
 圧迫が最も大きな発生因子ですが、摩擦によっても起きがちですし、からだを不潔にしていたり、湿った状態にしていてもできやすくなります。また、栄養障害、循環障害、知覚や運動障害、皮膚や筋肉の退化など、身体機能の低下も発生因子となります。つまり、高齢者には発生しやすい条件がいっぱいというわけです。

◆褥創予防のポイント


① 圧迫を避けるために、体位交換をまめにする。
② 摩擦を避けるために、寝具や寝巻きは肌にやさしい材質のものを選び、シーツのしわや寝巻きの縫い目、ボタンなどでからだを傷つけないように注意する。

③ 室内の温度、湿度を適度に保ち、換気も心がける。寝具、寝巻きも清潔にして、汚れたり、湿ったりしたら、すぐ取り替える。

④ からだを清潔にし、皮膚を乾燥させておく。汗をかいたときや排せつの後は、お湯でふいてから乾いた布で水気をよくふきとり、皮膚を常に清潔で、乾いた状態にしておく。

⑤ 栄養状態が悪くならないよう、食事に気をくばる。その他の身体機能の低下が進行していないかについてもよく注意する。
⑥ 血液の循環が悪くならないようマッサージをする。  

以上のような注意が必要ですが、褥創予防には、まず体位交換が最も大切です。しかも、体位交換は、②以下の注意に比べていちばん大変かもしれません。各市区町村で介護の相談や指導を行っているので、体位交換の方法も一度実地に学んでおくとよいでしょう。次に体位交換のポイントを紹介しますので、併せて参考にしてください。

◆ 体位交換の方法とコツ

 褥創は寝たきりの場合だけでなく、長時間、イスや車イスに座っていてもできるので油断は禁物です。

 褥創は、骨の突出した部分や不潔になりやすく湿りがちな部位にできます。寝方によって体重のかかる部分が変わるので、できやすい部位も多少変わってきます。

 体位交換は2時間に1回の割合で行うようにします。高齢者の残存能力を十分利用するよう心がけてください。次のような点に注意して行うとよいでしょう。

①必ず声をかけながら動かすようにし、お互いのタイミングを合わせるようにすることが大切。
②手先で動かそうとせず、重心を低くし、腰を使って動かす。
③からだを離さず、お互いの接触面を多くすると動かしやすい。  

体位交換は、寝ている向きを換えるだけでなく、起き上がる、立つ、歩くまでいくように進められれば理想的です。しかし、無理は禁物です。高齢者の中には骨がもろくなっている人もいるので、医師の指示をあらかじめ受け、適切な方法で行ってください。

◆予防のための寝方の工夫

 圧迫や摩擦を防ぐ方法として、「床ずれ予防用品」を上手に使うと効果があります。通気性・弾力性のよい予防マット、各種のエアマット、好発部位に当てる“枕”や円座などが、最近はいろいろと開発されています。保健福祉サービスの専門家が相談・指導に当たってくれますので、正しく選んで予防に役立てたいものです。吸湿性が悪かったり、汚れても洗濯ができないものなどを選んでしまうと、逆効果になってしまいます。手作りできるものもありますので、指導を受けてください。

◆早期発見と手当ての仕方

 毎日の清拭のときや着替えのとき、全身をよく観察しましょう。また、痛みを訴えたらすぐその部分を調べます。ただし、高齢者の中には痛みの感覚が鈍くなっている人もいるので、訴えがないからといって安心してはいけません。

 痛みだけの場合は、栄養状態が十分かどうかチェックして食事に注意し、マッサージを行うことでたいてい進行を食い止めることができます。この段階で気づかないと皮膚が赤く(発赤)なりますが、からだの向きを換えて30分程度で赤みが消えるようなら、褥創ではありません。しかし、赤みが消えないようなら褥創の初期なので、その部分の周辺をマッサージします。

 次いで水泡ができてしまったら、水泡を破らないように注意し、乾燥させて、被覆剤で保護します。さらに進むとびらんや潰瘍ができますが、この段階になったら医師の指示を受けます。褥創は放っておいたり手当てが悪いと、最終的には敗血症を起こし死に至ることもあります。

 体位交換をはじめ適切な予防や手当てで褥創にならないよう介護したいものです。褥創の有無は介護のバロメーターともいわれています。

健康のブログ
良心的スポーツ店

拘縮というのは、関節が屈曲した状態で固まってしまうものです。運動不足や寝たきりのため動かさない状態を続けると起こりますが、高齢者の場合は特に急速に現れやすいので日頃からの予防が大切です。悪化すると治療は困難です。高齢者を助けて予防のための運動を早期に始めましょう。また、外出は心身ともによい効果をもたらすので、積極的に外出するように心掛けたいものです。それには高齢者自身も訓練をし、周囲の人も安全に介助をする方法を身につける必要があります。

拘縮予防は早期が決め手

 「寝たきりにしないために」(十一月号)の項でも触れたように、今では病気になったら絶対安静という考え方はほとんど通用しません。もちろん、医師の指示に従ってという前提にたってのことですが、できるだけ早くからからだを動かすようにしないと関節が固まってしまいます。
 寝たきりの高齢者には、ひざ関節に拘縮が最も出やすく、片マヒの人ではひじ・指関節にも多く現れます。脳卒中を患うと、爪先が下に下がった「垂れ足」の状態で固まりがちなので、足・ひざ・股関節の拘縮予防が大切になります。いずれにせよ、高齢者は拘縮が起きやすいので、寝ている状態でもせめて手足だけは動かすようにしましょう。発病後、三日間関節を動かさないと、固まってしまう場合も少なくないとさえいわれています。関節が拘縮してしまうと、この関節の運動に関係する筋肉も脱力状態となり萎縮してしまいます。
 しかし、手足を動かすといっても痛みを伴うので、なかなか長続きしないものです。高齢者本人に自覚を持ってもらうこと、家族も一緒に方法を学んで適切な手助けをし、心身両面から支えてあげることが大切です。

拘縮予防の運動

 まず、いつからどの程度の運動をすべきか、医師の指示を仰ぎます。次いで専門家の指導を高齢者、家族ともに受け、正しい方法をマスターすることです。訪問看護や専門施設で行ってもらうのもよいのですが、運動は毎日行うことがポイントになるので、本人ができるようになって家庭で行うのが理想的です。次のような点に注意し、拘縮を予防しましょう。
1.高齢者本人にやる気を起こさせることが大切。
 痛みを伴う場合もあるのでなかなか難しいことですが、目的や意欲を持ってもらうよう、サポートしてあげましょう。ほめてあげたり、共に喜ぶという姿勢も必要です。
2.できるだけ本人に行わせ、残存能力を生かすようにすること。
 手助けは必要最小限にとどめます。起きられない場合でも寝たままでできることはあるので、初めから無理だと決め付けないようにしましょう。
3.自分で行うのが無理なうちは、介護の人が正しい方法をマスターして行い、だんだん本人にさせる方向にもっていくこと。
 痛がる場合は無理をせずゆっくり少しずつしないと、運動嫌いにしてしまうので注意しましょう。ただし、痛がるからといってすぐにやめてしまったり、何もしないのはいけません。根気よく優しく、そして厳しくというところでしょうか。この辺が家族がリハビリをしてあげる上で難しいところです。時には専門家のアドバイスや助けを借りるとよいでしょう。
4.少しずつでも毎日続けること。
 一度に長時間行って翌日は休み、というより、短時間でも休まず続ける方がずっと効果が上がります。また長時間だと過労になる危険もあります。高齢者にも介護の人にとっても、心身共に大きな負担にならないようにする配慮が大切です。
5.予防のための運動はドラマチックに効果が現れるというものではないので、高齢者への心配りが特に必要。
 そのリハビリがどんなに大切なものかということを、押しつけにならないようにしながら理解してもらいます。また高齢者にも何か家族のためになる役割を受け持ってもらったり、よくなったらどこかへ出掛けるといった楽しい計画を立てて、希望をもってもらうようにするなど、それぞれに考えてあげてください。


外出で心身をリフレッシュ

 高齢者は病気でなくても動きが鈍くなったり、疲れやすくなっているためでしょうか、だんだん出不精になりがちです。家に引きこもってばかりいると、気持ちが沈んできたり、刺激がないのでボケてきたりします。また、歩くことは拘縮予防はもちろん、各機能の活性化に役立ち、ボケ防止にも有効です。病気のある人も医師の許可が出ている場合は、適度の外出をしましょう。日光に当たるというのは非常に大切なことなのです。気分が変わって心が晴れ、快い疲労感から夜もよく眠れるようになります。
 外出に必要なつえや歩行補助具、車イスなどは、理学療法士など専門家に相談して選んでください。高齢者も介助する人もこうした器具の使い方を、危険のないところでまず十分に訓練してから外出するようにしましょう。
 介助する人は、暑さ寒さに気をつけ、服装の調節も忘れないでください。交通量が多く、空気の汚れたところは避けるようにしましょう。
 最初からあまり無理をせず、少しずつ時間、距離を延ばしていくようにします。行き先や通り道も考えて草木に四季の移り変わりを感じたり、人との触れ合いをもったり、時にはちょとしたショッピングをしたりと、楽しみが見付けられるようにして外出が好きになる工夫も大切です。

拘縮予防の運動 (1)

●介助が必要な場合
 早期に始めることが大切ですが、病状によっては、毎日すべてのメニューを無理にこなす必要はありません。症状に応じてポイントを押さえて行うようにしましょう。1人でできるものは、できるだけ、本人にしてもらいます。

手・指の運動
1.高齢者の手首を片手で持ち、もう一方の手で指を持って、ゆっくり後ろへそらす 次に手首を手のひら側に曲げる
2.手首を持って前後に動かす
3.手首をそらすようにして、指を1本ずつ伸ばす
の手で親指を内側と外側に動かす。次に親指を大きく回す

肩の運動
1.両手で高齢者の腕を持ち、肩と水平になるまで動かす
2.高齢者の腕を垂直になるまで伸ばす。このとき片手で腕を持ち、片手は肩を支えるとよい


ひじの運動
1.片手で高齢者の二の腕を押さえ、もう一方の手でひじをゆっくり屈伸する
2.片手で二の腕、もう一方の手で手首を持ち、ひじを直角に曲げて上下に動かす
3.からだと垂直にひじを立て、手首を回すようにする


足の運動
1.訴えたところでやめる
2.ひざを伸ばしながら元へ戻す
3.足全体を外側と内側に動かす
4.1.と同じ姿勢で足を外側と内側に回す
5.高齢者のかかとを片手で支え、もう一方の手で爪先を持って足首を曲げたり伸ばしたりする
6.片手で足の指を持ち、曲げたり、そらしたりする
7.片手で足首を持ち、もう一方の手で足の先を持って内側と外側に曲げる
8.高齢者の足の裏が介助する人の前腕にぴったりつくようにし、腕で足の裏を押すようにしながら、かかとをつかんで引っ張りあげる


腰の運動
(寝たままの場合)
1.両手で高齢者の足を持ち、ひざを立てる
2.ひざを揃えて左右にゆっくり倒す
(腰掛けられる場合)
 介助の人は前に腰掛け、高齢者の足に自分の足を軽くのせ、下半身が動かないようにする。組んだ腕に手を添え、倒れずに屈伸ができるように手助けをする
1.高齢者は腕を組んで腰掛け、からだを前に曲げたり、2.後ろにそらしたりする

拘縮予防の運動 (2)

 介助をうける場合と同様の運動を、できるだけ1人で行うようにします。初めから全部は無理でも、少しずつできる範囲を広げていきましょう。1人でしやすい運動をいくつか紹介します。
手の運動
1.片手でもう一方の手の手首を握り、上下に動かす。こ れを両手ともするが、マヒがある場合は、動くほうの 手でマヒの手を動かす
2.手首を曲げたり伸ばしたり、回したりする。
3.手首を小指側へ曲げたり、親指側へ曲げたりする
指の運動
1.手首を動かさないようにして、指全体を曲げたり伸 ばしたりする
2.4本の指を片手で握り、しっかり曲げたり伸ばしたりする
3.片手で親指を握り、親指と人さし指の間を開くようにする
足の運動
足首を前後に動かし、足の指を曲げ伸ばしする

健康のブログ
良心的スポーツ店
危険因子はありませんか

 日本人の65歳以上のお年寄りは現在約16%を占め、6人に一人の割合に近い。急速に高齢社会が進んでおり、その傾向は一層強まっている。そこで避けて通れないのが老人性痴ほう、いわゆるぼけの問題だ。加齢によってぼけ症状が出現する割合は高まってくる。高齢社会ではますます老人性痴ほうの問題が深刻になってくる。そのぼけを早期に発見して上手に対応できれば、良い状態を長く延ばせるかもしれない。人間にとって避けられないというぼけ。その早期発見法や対応法はあるのか―。 

85歳以上では4人に一人が痴ほうに

 世界一の長寿国である日本。厚生省などの推計によると、2006年には65歳以上のお年寄りが5人に一人以上を占め、75歳以上の高齢者が9%以上、10人に一人近くの割合になるとみられている。まさに未曽有の高齢社会が出現するのである。
 そこで問題になるのが、寝たきり老人やぼけの問題だ。老化は人間の身体機能や脳の機能を確実に奪っていく。特に加齢に伴って起こるぼけを完全に避けるのは難しいという。老人性痴ほうの患者を診ることの多い東京都立荏原病院の一瀬邦弘精神科医長は「65歳以上では25人に一人の割合で老人性痴ほうが出現する。それが85歳以上になると、4人に一人の割合になる」と厳しい現実を説明する。
 それでは、ぼける人とそうでない人がいるのはなぜなのだろうか。老化現象は生物に避けられない宿命である限り、脳の老化も避けられない。ぼけも人間の避けられない宿命であることを物語っている。
 こうした中で、ぼけなかった人がいるとすると、それは「ぼけないうちに死んでしまった」といえるかもしれない。寿命が延びて、高齢社会の出現とともにぼけが大きな社会問題となってくるのは間違いないことを示している。同病院精神科では、痴ほうが原因で受診する高齢者が、全体の約30%を占めており、その受診者数は、社会の高齢化に伴って次第に増えており、この事実を裏付けている。
 その痴ほうも大きく分けて2つのタイプがある。「アルツハイマー型痴ほう」と「脳血管性痴ほう」で、この二つで痴ほう全体の90%以上を占める。以前はほぼ同じ割合だったが、どちらかというと最近はアルツハイマー型痴ほうが増加傾向にあるという。

アルツハイマー型痴ほうに四つの特徴

 最も多く問題なのがアルツハイマー型痴ほうだ。アルツハイマー型痴ほうは女性に多く見られ、男性の2、3倍に上るとされている。これは、女性の方が寿命が長く、高齢者全体に占める女性の割合が多いことがその理由らしいのだ。
 もう一つ、東京都多摩老人医療センターなどが東京都内に住む70~80代の「アルツハイマー型痴ほうで通院中の高齢者」「痴ほうのない高齢者」「スポーツセンターなどに通う元気な高齢者」の各グループの数十人ずつを調べたところ、興味深い結果が浮かび上がっている。
 その結果アルツハイマー型痴ほう患者の多くは(1)気を失うほど頭を強く打ったことがある(2)休日に寝て過ごすことが多かった(3)長く続けている趣味がない(4)小学校時代から運動が嫌いだった―という4つの特徴を持っていたというのである。
 頭部打撲とアルツハイマー型痴ほうとの直接的な因果関係は不明だが、外国の調査でも同じような結果が出ているという。また、「休日は寝て過ごす」「趣味がない」「運動が嫌い」などの特徴とアルツハイマー型痴ほうとの因果関係も今のところはっきり分かっていない。
 「長い勤めを終えて、退職して年金で生活するようになると、心の張りをなくしてぼけになる人がいます。定年退職した後で、運動をしない、寝てばかりいるなど目的のない生活をしていると痴ほうが進むかもしれません」
 こう説明する一瀬医長によると、アルツハイマー型痴ほうの原因は不明なので、確実な予防法はないのが実情だ。それだからといって何もしないで手をこまねいていると、ぼけが進んでしまうかもしれない。それを避けるには、まず、閉じこもりがちな生活習慣を活動的な日常に改善していくことは欠かせない。特に心掛けてほしいのは運動だ。そうすると、外部と接触する機会も増える。そうすることによって、自然に外部からの刺激が入ることになる。結果的に、ぼけを予防することにつながるかもしれないのだ。散歩など運動もよいという。
 治療法はどうか。原因が不明なので、残念ながら治療法はまだない。ただ、アルツハイマー型痴ほうは、アセチルコリンという神経伝達物質が不足していることが分かっている。アセチルコリンは脳の神経細胞から放出されて、別の神経細胞に信号を伝える働きをしている物質である。このアセチルコリンを分解してしまうコリンエステラーゼの生成を抑えるコリンエステラーゼ阻害薬の開発が進んでいる。アセチルコリンが分解されるのを防いでアセチルコリンの活性化を図ろうというわけで、アルツハイマー型痴ほうの治療薬として注目を集めて、米国では爆発的に売れているという。
 「アルツハイマー型痴ほうの治療薬として厚生省に現在申請中で、治療に使えるようになれば、痴ほうが悪化するのをある程度遅らせるようになるかもしれません。アルツハイマー型痴ほうになると、ADESテストで年間6点の割合で進行しますが、この薬を使うと2点よくなる。まだばらつきがありますが、3、4カ月前の状態に戻すことができるのです」。一瀬医長はこの薬に大きな期待を掛けている。 


脳血管性痴ほうは危険因子をなくせ

 もう一つの痴ほうの原因の脳血管性痴ほうではどうだろうか。こうした痴ほうは脳梗塞や脳出血など脳血管障害が原因で起こることが多い。脳血管障害によって、脳に血液が行かなくなって脳細胞にダメージを受けるために、結果として痴ほう状態になってしまうのだ。脳血管障害の多くは動脈硬化が原因になるので、それを防ぐためには、動脈硬化を予防することに尽きる。
 それでは、動脈硬化の予防法に話を移そう。動脈硬化は加齢によってだれにも起こり、避けられない宿命のようなものだが、動脈硬化を促進する危険因子は取り除くことは可能だ。それは(1)高血圧(2)糖尿病(3)高脂血症(4)高尿酸血症―などである。高血圧だと、血管の老化が早まり、動脈硬化を一層起こしやすくなる。糖尿病では血管内で血液が固まって血管が詰まりやすくしてしまう。また、高脂血症は血管壁にコレステロールがたまりやすくなってしまうし、尿酸値が高いような人は動脈硬化を起こしているケースが多く見られることが分かっている。
 このほか危険因子として(1)喫煙(2)ストレス(3)運動不足(4)肥満―などの生活習慣も見逃せない。たばこのニコチンは、血管を収縮させ、血圧を上昇させたり、血液中のコレステロールを増加させて動脈硬化を促進させてしまう。ストレスや運動不足、肥満も動脈硬化を促進させてしまうことは理解できるだろう。
 「動脈硬化の危険因子の高血圧や糖尿病、高脂血症、高尿酸血症などの病気を早期に見つけて、早期に治療することが大切。また喫煙や運動不足、ストレス、肥満といった危険因子は、運動や食事に気をつかうなどして積極的に改善することが欠かせない。そうすると、高血圧や糖尿病、高脂血症などの予防にもつながる」と一瀬医長は力説する。

ぼけのチェックポイントは

 ところで、こうした痴ほうを早期に見つけるのはどうすればよいのだろうか。家族など周囲の人の日ごろからの注意が大切である。痴ほうになっているかどうかを見分ける主なチェックポイントを見てみよう。
 その一つ、物事の大枠を忘れてしまうことだ。物忘れでは、食事後に、何を食べたかを忘れたとしても、食事したこと自体は覚えている。これに対して痴ほうの場合は、食事をしたことさえ忘れしまい、しかも物忘れをしているという自覚が全くなくなってしまうのだ。
 2番目は、忘れたことをほかの人のせいにしてしまうことも多い。痴ほうになると、財布など大切なものをしまった場所を忘れてしまうことが少なくない。それを「家族にとられた」などと言って、周囲の人のせいにすることが多いのである。
 3番目は、最近起こったことや新しいことが覚えられなくなる点。その一方で、たまたま自分の覚えていることに対しては、強くこだわり、同じことを何度も繰り返したりする。
 4番目は、相手の表情に敏感に反応するようになることだ。痴ほうになっても自意識は高くて、他人の表情や雰囲気に対して非常に敏感なところがある。不機嫌な顔をして対応すると、それがすぐに伝わってしまうので注意が必要だ。
 「最も大切なのは、痴ほうが脳の病気であることを周囲の人が理解して、痴ほうの人が何か問題を起こしても、しかったり、とがめたりしないで、病人として優しく接すること」。一瀬医長は家族や周囲の人の対応の仕方をこう説明する。

お年寄りに多いうつ病

 一方、ぼけと間違いやすい症状にお年寄りのうつ病がある。60歳を過ぎた高齢者の心の病のなかで、最も多く見られるのがうつ病だ。うつ病は、特に高齢者の病気というわけではなく、思春期以降の人が年齢にかかわりなくかかる病気だ。多くの場合は、生活環境の変化をきっかけとして発病し、脳の働きが低下してさまざまな症状が起こってくる。
 うつ病は女性に多く、一生の間にかかる割合は、男性の5倍にも上るとされている。その理由は、女性は妊娠や出産後にうつ病にかかりやすいことが関係していると考えられている。更年期障害による女性のうつ病も少なくなく、60歳以上でもうつ病が女性に多い傾向に変わりはない。特に60歳を過ぎると、定年退職や子供の結婚などと、生活環境が変わることも多く、さまざまな心の病が出現しやすくなる。
 それでは、うつ病にはどのようなタイプの人がなりやすいのだろうか。なりやすいのは(1)きまじめ(2)協調タイプ(3)マイナス思考(4)完全主義―の4つのタイプだという。きまじめなタイプは、何ごとにもきちょうめんに取り組む半面、物事にのめり込み過ぎて、柔軟性に欠け、融通がきかないことが多い。協調タイプは、人との折り合いを気にし過ぎて、自分を抑えてしまう。
 マイナス思考の人は、失敗を気にして悲観的で物事を前向きに考えることが苦手で、落ち込んでしまうタイプだ。完全主義者は、何ごとも完全に仕上げないと気が済まないため、オーバーワークになりがち。そして結局うつ病になってしまうというわけだ。
 うつ病はこうしたタイプの人たちに理由もなく突然起こるのではない。何かのきっかけで起こるのが普通だ。60歳を過ぎてからのうつ病発症の引き金は配偶者や友人の死、退職、子どもの社会的な独立や結婚、病気・体力の衰えなどが原因になりやすい。こうした出来事は心身に負担を掛けることになり、うつ病の大きな原因になるという。
 いったんうつ病が発症すると、抑うつ状態になって脳の働きがブレーキを掛けられたような状態になり、何かをしようとしても決断ができなくなってしまう。また、体重が減少したり、朝方は気分が重くて、活動できないなどの症状が現れる。
 さらに責任を過剰に感じたり、夜寝つかれない、夜中に目が覚めてしまう不眠や毎日長時間寝てしまう過眠などの睡眠障害を起こすこともある。そのほか「小声でぼそぼそ話す」「ため息をつくようになる」などの症状がうつ病のサインになっていることも知っておくと何かのときに参考になるだろう。

合併症が多く再発しやすいお年寄り

 60歳以上のうつ病の特徴は、うつ病以外の身体的な合併症が多いことが挙げられる。高血圧や心臓病、脳血管障害の後遺症などの合併症を持っていることが多い。がんや肝臓障害を合併していることもある。このように高齢者のうつ病では、ほかの病気を併発しているために、若い人のうつ病よりもこじらせやすく、再発も多く、治療も複雑になってしまう。
 「だから、うつ病の高齢者には、家族や周囲の人のサポートが非常に重要になる」と一瀬医長は強調している。

アルツハイマー型痴ほうの薬物治療

アルツハイマー型痴ほうになると、「アセチルコリン(脳の神経細胞から放出され、ほかの神経細胞に信号を伝える神経伝達物質)」が不足する。薬物療法では、「コリンエステラーゼ(アセチルコリンを分解する酵素)」の生成を抑え、アセチルコリンの活性化を図る。


健康のブログ
良心的スポーツ店
◆清潔を保つ五つの目的

 人はからだをきれいにしておかないと、気分が落ち込んだり、いらいらしたりしたりするものです。特に高齢者の場合は、病気や老化を進める原因ともなりかねません。まず、清潔の大切さをきちんと把握しておきましょう。


①爽快感がえられ、気分も明るくなる
身ぎれいにすると、だれでも気持ちが前向きになるものです。また、清潔にしていると周囲の人からも好感を持たれ、いっそう楽しく過ごせるようになるでしょう。


②感染の予防
皮膚を不潔にしておくと、感染の危険性が高くなります。高齢者は皮膚も老化し、抵抗力も弱くなっているので特に注意が必要です。


③生理機能を高める
血液の循環、筋・関節の拘縮を予防します。


④全身状態の観察ができる
清拭や入浴の際、見落としがちなからだの変化を発見することができます。自分では気がつかなかったり、訴えられない高齢者も多いので、よく観察しましょう。


⑤スキンシップを通して、コミュニケーションがはかれる
負担の大きい介護ではありますが、「はだかの付き合い」で、親密な関係がつくれます。またそうした場にしたいものです。

◆入浴の介助と洗髪

 入浴は高齢者の気分、体調がよいときで、暖かい日中がよいでしょう。食事の直後や空腹時はさけ、排せつをすませてからにします。

 入浴は新陳代謝を促し、気分もよくするものですが、体力も消耗するので、医師にかかっている人は指示を仰いでからにします。

 寝たきりやからだにマヒがあって無理な場合は、市区町村の窓口(老人福祉課など)に相談します。訪問入浴サービス、施設へ連れていって入浴させてくれるサービスなどがあります。



●入浴の準備
 浴室は手すり、すべりどめマットなど危険防止策をあらかじめ施しておきます(6月号「快適な環境づくり」参照)。


 湯温は40℃か、それ以下がからだにいちばんいい温度です。寒い季節は浴室、脱衣所を 24~25 ℃に温めておきます。



●入浴の手順
湯温を確かめてから全身にかけ、陰部を洗う


浴槽に入る(イラスト参照)
心臓や血圧に問題のある人は、和式の浴槽では肩までつからず、胸を出して入るようにします。


自分でできる部分は自分で洗う
危険のないよう見守ってあげ、必要に応じて手助けを。マヒのある部分、脇の下、背中など洗いにくい部分は洗ってあげましょう。


もう一度、1~2分浴槽に入る
上がり湯かシャワーをかけ、手早く拭いて脱衣所へ。


椅子に腰掛けてからだを拭く
湯冷めしないように肩にバスタオルをかけます。皮膚が乾燥しているときはローションや薬を。
浴槽に入れない時はシャワー浴もよいでしょう。


●洗髪の仕方

 入浴できる場合は浴室で。シャンプーハットを使うと、無理な姿勢をさせないですみます。

 起き上がれない人の場合は、必要なものをあらかじめ用意し、寝たままで洗ってあげます。用意するものは、バスタオル、浴用タオル各2~3枚、大きめのビニール、洗髪パッド、洗面器、かけ湯用のやかん、または片手なべ、大きめのバケツ2個、ガーゼ(目や耳拭き用)、シャンプー、リンス、ブラシ、ドライヤーなど。

 ベッドの場合は、頭がベッドの端にくるようにし、布団の場合は、頭が高くなるようにし、洗髪パッドをあてて洗います。洗髪パッドは市販していますが、手作りもできます(イラスト参照)。


●ドライシャンプーの仕方
①お湯でしぼったタオルで髪を包み、1~2分おく
②ドライシャンプー剤をかけ、やさしくすり込むようにマッサージ
③お湯で絞ったタオルでシャンプー剤を拭き取り、乾いたタオルでさらに拭く

◆入浴できない場合

●部分浴
 手足、陰部など汚れやすい部分は、清拭だけでなく、部分浴をしてあげましょう。ベッドや布団をぬらさないようにビニールなどを敷き、入浴よりやや熱めの湯で行います。
 
 起き上がれる場合、陰部の清拭は、ポータブルトイレにかけ、必要なものを取りやすい場所に置いて自分で洗ってもらうとよいでしょう。

●清拭
 入浴が無理な場合は、熱めのタオルでからだをふいてあげます。清潔になるだけでなく、マッサージにもなって血行をよくし、便秘や床ずれを予防する効果もあります。
 
 清拭は、空腹時、満腹時をさけ、排せつをすませてから行います。部屋を暖かくし、はだかにする部分は最小限度にして、清拭する部分だけを出して拭くようにします。あまり長引かないようにし、せいぜい5~10分ですませましょう。無理な場合は、一回で全身できなくてもよしとします。
 

健康のブログ
良心的スポーツ店
「年寄りなんだから」「病人だから」といって、そこそこ清潔にさえしていればいい、というものではありません。身だしなみを整え、おしゃれにも気をくばることが大切です。朝晩の洗顔はもちろん、着替え、身づくろいなどをできるだけ定まった日課として行いましょう。心身の自立に非常に役立つものです。また、寝具やシーツなど身のまわりも清潔に快適にを心がけてください。  障害があって自分では思うようにいかない高齢者はつい無精になりがちです。適切な手助けで素敵に過ごさせてあげましょう。

◆洗顔、歯みがきなど

 病床にある場合でも、生活のリズムをくずさないよう朝晩の洗顔、歯みがきなどは定まった時間にすませたいものです。からだを動かせる人はできるだけ自分でします。ぬれないようにビニールのエプロンや腕カバーをしてあげるとよいでしょう。歯みがきが自分でできない場合は歯ブラシでみがいてあげるか、綿棒やガーゼを利用します。ぬらしたガーゼで歯、歯ぐき、舌、頬の内側などをふいてあげるとさっぱりします。水歯みがきや市販の口腔洗浄器も便利です。入れ歯は毎食後はずして洗い、寝る前には水か入れ歯洗浄剤を入れた水につけておきます。

 高齢者の場合は目やにや鼻かすなどが出やすいので気をつけます。目やにはぬらした清潔なガーゼでとり、鼻にかすがつまっているときは綿棒にベビーオイルをつけて取るとよいでしょう。

 爪切りも週一度程度行います。高齢者の爪はかたくてもろいので、入浴後やお湯で手を温めてからにすると切りやすいものです。深爪にならないよう控えめに切り、あとはヤスリで整えます。

◆こざっぱりとおしゃれに

 高齢になると男の人ならひげそり、女の人ならお化粧などもいい加減になりがちです。男の人はひげが伸びると年寄りくさく、病人ぽくみえ、気分まで落ち込んでしまうものです。できるだけ毎朝そるようにします。自分でできない場合はそってあげますが、なれない人は電気カミソリが安全です。あとは肌荒れしないようにローションなどを。

 また、男の人も女の人も髪の手入れも忘れず、さっぱりと整えておきましょう。

 女の人もある程度の年になるとお化粧を面倒がったり、「いまさら……」と恥かしがったりして全然しなくなる人が多いようです。しかし、軽くその人らしいお化粧をするだけで気持ちが前向きになり、若返るものです。周囲の人もからだの負担にならないよう気をつけてあげながら、すすめたり手伝ったりするようにし、間違っても「年寄りのくせに」などといわないこと。ただし、医師の診察を受けるときは、顔色も診断基準になるので素顔を見てもらうようにします。

◆服装と着替えの介助

 服装にも無頓着にならないようにしたいものです。一日中ベッドにいることが多いからといって、着替えもせず寝間着のままというのは感心しません。起きられる人の場合は、朝、普段着に着替え、夜、寝間着に着替えて、一日のリズムを作るようにします。

 高齢者は若い人に比べて体温調節がスムーズでなくなるので、保温性、吸湿性、通気性がよく、肌にやさしい素材の衣類を選びます。また、着脱が簡単で動きが楽なデザインのものを選ぶポイントにします。しかし、実用一点張りでは楽しくないので、その人の好みや似合うかどうかなども考えて選びましょう。

 からだに不自由のない人の場合はどんなデザインも選べますが、マヒなど何らかの障害がある人の場合は障害の程度に応じて選ぶ必要があります。腕にマヒがある場合はかぶるタイプのものより前開きのものを。手が不自由なら、ボタンやファスナーをマジックテープやゴムに変えるなどの工夫をしましょう。袖ぐりはゆったりしていて、袖丈、裾丈もやや短めの方が動きが楽です。高齢者に意外に向いているのがスポーツウェア。素材の面でも動きという点でもスポーツウェアに要求されるものは高齢者の条件とぴったりだからです。選ぶときの参考にしてください。

 着替えはからだを動かすよい訓練にもなるので自分でする方がよいのですが、無理な場合は手助けをします。


●マヒがあるが起き上がれる場合
 着替えはあせらずゆっくりと、手助けは最小限にして自分でできる範囲が徐々に広がっていくように見守ります。椅子に腰掛け、介助者は後ろにまわるとよいでしょう。


●マヒがあって起き上がれない場合
 寝たままで行うことになりますが、その場合でもあきらめてさっさと片付けようとせず、残存能力を十分活かすように心がけましょう。実際にはできなくても「横を向いて」とか「腰をあげて」などと声をかけることも大切です。着替えのときは室内の保温には気をつけてください。

◆寝具はいつも清潔に

 寝具選びの基本は、敷布団はかため、掛布団はやわらかめ(軽め)です。保温性、吸湿性、通気性のよい素材で、肌ざわりのよいものを選びます。シーツや布団カバーのように肌に直接当たるものは、荒い織りのものは避けます。また、洗濯の際にノリをきかせ過ぎるるのも禁物です。

肌を傷めたり、床ずれの原因になります。寝返りなどでできるシワも床ずれの原因になるので、シーツはずれないように大きめのものを使い、きちんと整えておくように注意します。

 寝具類はいつも清潔にし、快適に過せるようにしてあげたいものですが、起き上がれない人の場合はなかなか大変です。家族だけでは無理な場合は老人福祉担当の窓口で相談し、介護サービスなどの助けを利用してください。ただ、毎日のようにとり替えたいシーツは一人でもできるのでコツをマスターしておいてください。


健康のブログ
良心的スポーツ店
高齢者が毎日を安全、快適に過ごせるようにするためには、環境づくりへの配慮が必要です。いろいろな機能が衰えてきた高齢者にとって、まず、危険がないかどうか、また、高齢者は家にいる時間が多くなりがちですから、居心地はどうかなどがポイントになります。それには、どんな点に注意したらよいのかを考えてみましょう。

▼大がかりな模様替えは逆効果にも

 環境が急に変化したために症状が悪化するというのは、高齢者の場合、決して少ないことではありません。病院を変わった、息子や娘の家に引き取られたなどという場合は、特に要注意といわれます。これほど大きな変化でなくても、人はそれぞれ住まいや家具など、自分を取り巻く環境に、思い入れや愛着があるものですから、ちょっとした改善にも慎重でなければいけません。特に高齢者は、若い人から見れば、時代遅れだと思えるようなものにも、歴史を感じたり、思い出をもっていたりするものです。よかれと思ってしたことが逆効果にならないよう、本人の意向を尊重して事を運ぶという点を、まず心得ておいてください。

▼危険防止のチェックポイント

 年とともに足腰が弱ったり、機敏さがなくなり、平衡感覚が衰えてきたりするのは避け難いことです。その上、骨ももろくなってきますので、けがには十分注意しなければいけません。けがから寝たきり、ぼけというコースをたどる例はよくあります。


①手すりをつける

階段、廊下、トイレ、浴室などに手すりをつけます。福祉用具として階段昇降機もあります。
②段差をなくす
敷居やカーペットの縁など、ちょっとした段差にもつまづくことがあるので、室内段差用のミニスロープなどで段差をなくす工夫を。
③滑べらないようにする
カーペットやマットがずれて転んだりしないよう、滑り止めテープや滑り止めカーペットを使います。床材がつるつるしている場合は、滑りにくいマットなどを敷くとよいのですが、段差ができないようにし、しっかり固定します。靴下などに滑り止めをつけるのも一つの方法ですが、スリッパなど室内履きははかないほうが無難。
④歩く範囲にじゃまものがないよう、よく整理しておく
新聞紙やビニール袋などを踏んで転ぶということもよくあります。散らかっている所には危険がいっぱいなので、片づけをまめに。  
電気コード類は専門業者に依頼して壁に固定し、動きやすい小物家具類は通り道には置かないほうがよいでしょう。
⑤階段や廊下などの照明に注意する
夜間の歩行に支障がないよう常夜燈をつけます。
⑥非常ベルを要所につける
居室だけでなく、トイレ、浴室などにも連絡用のベルをつけます。また、鍵のかかる部屋も、原則として鍵をかけないようにしないと、トイレで倒れ、鍵がかかっていたために手遅れになったという例もありました。  
最近は便利な福祉用具もいろいろ出回っているので、専門家に相談して選ぶとよいでしょう。
           
▼居心地のよさに必要なことは

 住宅事情によって、なかなかすべての条件を満たすというわけにはいかないでしょうが、より快適に過ごしてもらえるよう、次のような点に留意して、環境を整えてください。

①日当たり、風通しのよい部屋に
 暗く湿っぽい部屋は、健康にはもちろん、精神面でも悪い影響がでます。明るく、からっとした部屋で、心も晴れるようにしてあげたいものです。ただし、日光や風が直接当たらないよう、ベッドの位置を考え、窓にはカーテンやブラインド、すだれなどをつけて操作します。庭や外の風景が楽しめれば、さらに理想的ですが、騒音がひどい部屋は避けるようにしましょう。
②室内の温度、湿度に注意する
 高齢者は体温調節能力も減退してくるので、室内の温度、湿度は適度に調節します。温度は日中は20度前後、夜間は16~18度が目安ですが、夏と冬では戸外との温度差を五度以内に調節します。湿度は50~70%程度に。寒暖計、湿度計は寝ている人の高さに置くこと。
③冷・暖房の安全対策
 冷・暖房はきかせ過ぎないように注意します。冷房の夜間つけっ放しは好ましくありません。クーラーも扇風機も風が直接当たらないようにします。  
 暖房器は火傷や中毒などの危険がなく、空気を汚さない機器を選びます。望ましいのは、部屋全体を温めるタイプのもの(温風暖房やパネルヒーターなど)です。湯たんぽなどの局所暖房は低温火傷をさせないよう、まめに注意すること。電気毛布は乾燥、発汗を促しやすいので、高齢者にはあまり向きません。  
 廊下やトイレなどの室外も温かくしておければ理想的ですが、できなければ、必ず着る物で調節するようにします。
 冷暖房をすると、つい換気を怠りがちになりますが、風邪をひかせない注意をした上で、時々窓を開けて空気をきれいにし、臭気がこもったりしないようにします。
④照明はやや明るめに
 高齢者は視力が低下し、若い人より明るさを必要とするのが普通なので、照明は明るくします。ただし、まぶしくないような位置にしたり、スイッチの調節が自分でもできるところにつけるなどの配慮が必要です。  
 この他、部屋を清潔に保つことはもちろん、好みの絵や花を飾るなど、インテリアにもやさしく気を配ってあげたいものです。

健康のブログ
良心的スポーツ店
▼家族の一人に押しつけない

 最近の調査(平成7年国民生活基礎調査)によれば、寝たきりの高齢者を介護している人の85%は女性で、続柄で見ると「子の配偶者」が最も多く34%、次いで「配偶者」が27%となっています。つまり介護の中心は妻やお嫁さんという状況は、今でも大きくは変わっていないのです。一家の働き手が男性の場合、介護の担い手が女性となるのはある意味では致し方ない結果なのかもしれませんが、これでは介護、特に高齢者の介護は長続きしません。高齢者の介護は長期にわたるケースが多い上、明らかな回復の兆しが見えにくいからです。  

介護をだれか一人に押しつけてしまってはいけません。その人は肉体的にはもちろん、精神的にも責任感や出口のなさなどからまいってしまいます。ストレスや睡眠不足のほか、外出できない、自分の時間がもてないなど、介護者からは実にさまざまな悩みが訴えられています。

 まず、同居する家族は男性であれ、子供であれ、全員が介護に当たる心がけが必要です。役割分担をしたり、あるいは曜日や時間で交替したり、もっと柔軟に手のあいている人が交替したりと、やり方は家庭の状況によって違ってくるでしょうが、家族で助け合っていくことが在宅介護の大切な基本です。

 例えば、小さな子供でも高齢者の側についていてあげることはできます。話しかけたり、何かしてほしいことや具合いが悪そうなとき、それを大人に伝えてくれるだけでも大変助かるものです。またおじいちゃん、おばあちゃんが孫に接するのはボケ防止に意外な効果をもたらす場合もありますし、子供たちにも家族の絆を認識させるきっかけになる場合があります。  

▼同居家族だけで抱え込まない

 「同居の嫁にだけ押しつけて、別居している子供は知らん顔している」という苦情もよく耳にします。兄弟姉妹、親族も同居家族の負担が軽くなるよう協力すべきです。現実にはなかなかうまくいかない場合も少なくないようですが、「明日はわが身」でもあるのですから。

 また、夫の両親を長年介護したある妻が「しゅうと・しゅうとめの世話で、自分の親は看とれなかったけれど、そのぶん兄嫁がよく面倒をみてくれました」と述懐していたことがありました。家庭の事情により、それぞれ問題はあるでしょうが、積極的に介護を分担できなくても、この妻のような感謝の気持ちだけでも介護する人の支えになるものです。昔のように兄弟姉妹が多くないので、これからはこうしたケースはますます増えていくと思われます。

 最近は地域社会での人と人とのつながりも強いとはいえなくなっていますが、「遠くの親戚より近くの他人」という言葉もあるくらいです。隣近所を当てにするということではなく、わが家の事情を隠さず、オープンにすることも必要です。こうした接し方をすることで孤立せず、思いがけない助言や協力を得られることがあるものです。同じような問題を抱える家族同士の会なども次第に増えていて、新しい「近所づきあい」の形も生まれてきました。こうした人たちとのコミュニケーションをはかり、ネットワークを広げておくことも、いざというとき役に立つものです。  

▼利用できるものを上手に利用する

 いずれにせよ、長期の在宅介護は心身共に疲れるものです。介護する人の健康管理にも気をつけなければいけません。病院や医師が身近な存在なのに、病人にばかり気が向いて、自分のからだの異常を見過ごしていたというケースもよくあります。介護する人が健康でなければ大変です。少しでもおかしいと感じたら、自分もすぐ受診しましょう。

 またストレスがたまらないよう、適当に息抜きをすることも必要です。朝から晩まで張りつめていては身が持ちません。ほかの人に代わってもらったときは、思いきって心身を解放してみましょう。友人と会ったり、ショッピングや観劇をしたり、ときには旅行などで積極的にストレス解消をはかってみませんか。息抜きをすることは、その後の介護をよりよくするはずです。

 しかし、小人数家族ではなかなか難しい場合も多く、個人的な努力ややりくりだけでは解決できないことも多いでしょう。そこで専門家や保健福祉サービスなどの助けを仰ぐことが、今後ますます介護の大きなポイントになっていきます。

 未だに病いを抱えた老夫婦や老いた親と子が、何の助けも借りず、共倒れになったという痛ましいケースが時々報じられます。「他人に世話になるのは恥」とする考えが根強く残っているのでしょうか。できることを何でもかでも他者にばかり頼ろうとするのは困りものですが、よい介護をするために必要なものは上手に利用すべきです。

 公共の保健福祉サービスなどについては回を改めて詳しくふれますが、主なサービスには次のようなものがあります。

 保健婦が家庭訪問して助言などをする訪問指導、かかりつけ医師の判断によって看護婦などが訪問し、看護サービスをする訪問看護、家事や介護を手伝う訪問介護(ホームヘルプサービス)、デイサービスセンターにバスで送迎し、入浴や食事、生活指導、健康チェックなどを行う通所介護(デイサービス)、老人保健施設で短期間預かり介護をする短期入所(ショートステイ)などのほか、介護用品の提供や貸し出し、高齢者の機能訓練、介護法の指導講習会なども行っています。

 地域によって多少違いがありますので、都道府県や市区町村の広報誌などに目を通して情報を収集し、最寄りの保健所や在宅介護支援センター、市区町村の担当窓口に相談するとよいでしょう。

 過労にならないようにし、ストレスをためないようにすることが介護を受ける側と介護する側との関係を円満なものにし、介護をスムーズに進める上での最も大切なポイントとなることを改めて心してください。
健康のブログ
良心的スポーツ店

介護を行う上で大切な心構え
           
わが国では、西暦2020年には65歳以上の人口が、3,200万人に達し、国民の4人に一人が65歳以上という超高齢社会がやってくると予測されています。しかも現在、介護を必要とする人は200万人を超え、今後さらに、毎年10万人ずつ増えていくと見込まれているのです。高齢者介護の問題は、決して他人事ではなく、だれもが直面する問題といっても過言ではありません。よりよい介護について、今すべての人々が考えるべき時なのです。

▼高齢社会はみんなの問題

 高齢社会の抱える問題、特に介護には複雑で難しい問題があります。高齢者の多くは、病院より家庭での家族による介護を望む傾向にありますが、大家族主義が消滅した現代で、これは簡単なことではありません。少子化傾向にある今では一人っ子同士の結婚で双方の両親4人を抱えるケースも少なくありませんし、高齢化が進む中では90歳の親を70歳の子が看取る、あるいは老夫婦が、夫を、妻を介護しなければならない。「老老介護」も増えています。さらに、住宅問題や地域社会での人間関係の希薄化なども、在宅介護をいっそう難しくしているといえましょう。

 しかし、老人医療も福祉対策や制度も大きく変化しつつあります。大家族で何もかも個人的に抱え込んでいた時代とは違う、よりよい介護の方法を探し出していくべきです。この問題は社会全体の問題として取り組んでいくことが、ますます重要となるのはもちろんですが、同時に私達一人ひとりが介護についての心構え、知識、情報などを、さらにしっかり身につけていくことも、必要になってきます。  

▼介護にのぞむ三原則

 よりよい介護を行うためには、さまざまなテクニックをマスターすること、もちろん必要ですが、やはり最も大切なのは心構えです。介護で起こってくる問題は千差万別で、それぞれのケースですべて違うといってよいかもしれません。それだけにだれもが悩んだり、苦労したりするわけですが、介護の本質は何か、どんな心構えで取り組むべきかを、まず考えておくことが大きな助けになります。苦しんだ時、この原点に戻ってみてください。心のない介護は、介護を受ける側だけでなく、行う側にも労のみ多い結果しか生みません。まず介護の三原則ということを心得ておきましょう。

①自己決定権の尊重
②継続性の尊重
③残存能力の活用

 ちょっと堅苦しい言葉が並びましたが、この三項に共通する考えは、介護する相手を弱者や庇護すべき対象とだけ考えず、人間として尊重するということです。何でもかんでもやってあげることがよい介護ではないのです。この三項は、いずれもその人の持っている意思、能力を尊重し、それが十二分に発揮されるよう手助けしようということに他なりません。

 それは具体的にはどういうことを指すのかという前に、高齢者の心とからだについて考えてみましょう。    

▼高齢者の心とからだを理解する

 現代では、お年寄りという概念もだいぶ変ってきました。70歳、80歳代になっても元気な方もいます。しかし、老いは個人差はあれ、年齢を重ねれば、だれの心にもからだにも現れてくるもので、避けることはできません。本人も周囲の人たちも、老いからいたずらに目をそらさず、自然に受け止めていくことが大切です。

 一見元気なお年寄りでも、老いに対する不安や寂しさを抱えているものですから、やさしい心遣いが必要です。

 からだが若い時のように動かないために、高齢者は落ち込んだり、頑固になったり、扱いにくい部分も出てくるでしょう。若い人たちが思う以上に、高齢者はデリケートで敏感になっていると理解しなければいけません。

 また、心は若々しく前向きに保っていても、病気やケガがきっかけで、からだが急激に衰えていくこともあります。廃用症候群といって、からだを使わないでいると、いろいろな器官の機能が失われていく状態に陥ります。高齢者は変化への適応力が低下しているので、病気やケガで、しばらく安静にしているうちに、関節が動かなくなったり、知的刺激が不足して、精神活動が低下してボケてしまったりします。

 こうした高齢者の心とからだの特徴をよく理解して、介護はどうあるべきかを考えなければいけません。    

▼高齢者を尊重することから

 ここでもう一つ介護の三原則について考えてみましょう。

 「①自己決定権の尊重」は、高齢者を子供扱いしないということです。もし本人がボケていたり、からだが不自由だったりすれば、いちいち本人の意思を確かめたり、尊重するより、どんどん事を進めてしまうほうが楽かもしれません。しかし、高齢者を人生の先輩として敬う気持ちを忘れず、どこでどんな介護を受けたいかなど、高齢者自身に決定権を委ねることです。無駄な回り道のようにみえて、介護の実績をあげているケースは決して少なくないのです。

 「②継続性の尊重」は、もし、入院とか介護が必要になるなど、高齢者の環境に変化が起こっても、それまでとできるだけ同じような生活が続けられるような配慮が大切であるということです。先にも触れましたが、高齢者は変化への適応力が低下しているので、環境の変化を最小限に抑える、今まで続けていた生活習慣などはできるだけ続けられるように手助けすることです。

 「③残存能力の活用」は、文字通り、その人にまだ残っている能力はフルに発揮させるということです。「大変そうだから」「かわいそうだから」とか「じれったいから」などと、何もさせないと、高齢者は、若い人とは比べものにならない速さで、廃用症候群陥ります。からだが利かなくなるだけでなく、「自分では何もできない」とか、「何から何まで面倒をかけている」と自覚することも、老化や病状の悪化に拍車をかけることになります。

 介護についての心構えは、頭ではわかっていても、現実にいろいろなケースに遭遇すると、なかなか思うようにはいかないものです。しかし、そんなとき原点に返って発想の転換をはかってみましょう。きっと何らかの助けをもたらしてくれるはずです。

介護システム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。