2007年11月

ここでは、2007年11月 に関する情報を紹介しています。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
わが国では、平均寿命の伸びや出生率の低下などにより、他国に類を見ない速さで人口の高齢化が進んでいます。そのため21世紀の初頭には、65歳以上の老年者が総人口の20%前後を占めると予想されています。
 こうしたなかで、各種の成人病や老人性疾患も近年急速に増加しています。高齢者の場合は、運動器(骨・関節など)の異常を訴えることが多いのですが、特に、膝や肘の関節に特有の変形や障害が現れる変形性関節症という老人性疾患は日本人に多く、今後さらに増加するものとみられます。
 変形性関節症は一種の老化現象ともいえますが、この病気のことをよく知って、若い時期から適切な配慮を行えば本格的な発症を防いだり、軽症化させることができます。


関節を動かし始める時に痛む

 変形性関節症は、膝や肘などの関節軟骨が磨耗し、軟骨の下の骨に棘状の突出ができたりするもので、ある程度進行すると関節が痛んだり、水が溜まったりします。放置しておくと、関節部の外形も変形し、運動障害が重くなります。
 比較的初期のうちは、関節を動かし始める時に痛みを感じるのが特徴で、動作を継続していると痛まなくなるか、痛みが軽くなるのが普通です。たいていは、冬季に痛みが出て、気候が暖かくなると症状が緩和または消失します。
 この病気の患者をレントゲンで調べると、関節部に骨棘(棘様の骨)の増殖と骨の硬化が認められます。こうした特徴が、変形性関節症という病名の由来になりました。
 ただし、骨棘の増殖や骨硬化などの変形は、いきなり発生するわけではありません。まず、関節部の軟骨の磨耗・変性が起こって骨と骨がぶつかり合うようになり、その影響で骨の変形が生じるのです。従って、関節部の軟骨の磨耗と変性が、この病気の本質といえます。


膝の靱帯や筋肉が弱いと発生しやすい

 関節部の軟骨は、年齢とともに磨耗しやすくなります。また軟骨に含まれる成分(コンドロイチン硫酸など)も、老化が進むと変質してきます。このため、老化が変形性関節症の最大の原因となりますが、それだけでなく、若いときに行ったスポーツの影響なども、重要な発症因子となります。
 変形が発生する部位は膝関節が主体で、1部肘関節にも見られます。膝の関節は、もともと骨の形が不安定で、靱帯と筋肉がそれをカバーしていますが、老化が進むと靱帯や筋肉が弱まり、軟骨の磨耗が進みやすくなります。特に、女性は靱帯と筋肉が弱いため、発生率が男性の3~4倍になります。
 肘の場合は、子供の時からスポーツや労働などで過度の負担をかけたりすると、中高年以降に発生しやすくなります。
 股関節や足関節(足首)などでも変形性関節症が起こることがありますが、これらの関節は膝関節よりも骨の構造の安定性がよいので、患者数は多くありません。また、変形性関節症と同様の現象が脊椎に起こることもあります。この場合は、変形性脊椎症と呼ばれます。


辛抱強く訓練すれば痛みが治まる

 変形性膝関節症の多くは、膝の内側の軟骨がはげて痛みが出ます。1度変形した軟骨は修復されませんが、薬を用いながら辛抱強く訓練していくと、軟骨の下の骨が次第に硬くなってきて、痛みが治まっていくのが普通です。
 病気が進行する原因のひとつに肥満があります。そのため、肥満者の場合は、治療のひとつとして食事療法による減量対策も重要です。
 また、内視鏡の1種である関節鏡(金属製の硬い内視鏡)を使った特殊な小手術を行って、はがれかかった軟骨を除去することもあります。膝の内側が磨耗して著しいO脚となっているような場合は、膝の内側の軟骨に一層負担がかかって変形が重症化しやすくなるため、膝の骨の1部を切除してO脚を治す手術を行うこともあります。さらに重症な人には、人工関節を埋め込むこともあります。
 ただし、こうしたケースは多くありません。変形性関節症の患者が比較的多い当院でも、O脚を治す手術は年間5~6例程度で、人工関節は年間1~2例程度です。
 従って変形性関節症では、薬物療法と訓練療法などを効果的に行って、時間をかけて上手に痛みを治めていくことが治療のポイントになります。


膝の大腿四頭筋を訓練することが大切

 変形性関節症の薬物療法は、消炎鎮痛剤が主体になります。補助的に湿布のような外用薬を併用するのもよいでしょう(冷湿布は痛みを誘発することもある)。また支柱のついた専用サポーターも痛みを軽減し、歩行を楽にする効果があります。
 訓練療法は、大腿四頭筋という膝の筋肉の血行を改善し、筋力を強化する特殊な体操が主体となります。大腿四頭筋は膝関節のすぐ上にある筋肉で、膝を伸ばす働きをします。この筋肉は膝の病気に関係することが多いのですが、しばらく使わないとすぐ萎縮して、歩行障害に陥ったりします。
 変形性関節症の場合は、膝関節を動かさずに大腿四頭筋を収縮させる「等尺性収縮体操」という体操を行います。この体操では、まず下肢を伸ばした状態で床上に寝るか座るなどして、大腿四頭筋の収縮と弛緩を繰り返します。このリズミカルな運動がポンプのような作用をして、膝の血行を改善し、腫れを軽減させたり、進行を防ぐ効果をもたらします。また筋肉の萎縮を防ぎ、筋力を強化する効果もあります。

少年期のスポーツは適度に行う

 日常生活では、正座やウサギ飛び、階段の昇降など、膝に負担をかける動作は極力避けるようにします。食生活では特別な注意はありませんが、栄養バランスに十分注意し、規則正しく食事をとることが大切です。肥満がある場合は、無理なくダイエットをして減量してください。入浴は、血行をよくする効果もあり、負担がかからない程度なら全く問題ありません。
 変形性関節症は、中年期までに膝の筋肉などを強化しておけば、ある程度予防することができます。膝の筋肉を強化するためには、足に1~2キロの重りをつけて椅子に座り、足を動かす方法もありますが、面倒ならば、前述の「等尺性収縮体操」を根気よく続けるだけでもよいでしょう。
 また、少年期のスポーツは無理をさせないことが大切です。特に、野球・テニス・柔道など、肘に負担がかかりやすい競技は、肘を酷使させないような配慮が必要です。


http://www.net-dream.jp
スポンサーサイト
人生において避けて通れない問題のひとつに「老化」がある。そこで本号では老化の生理と高齢者の意識と行動について特集し、老化について考えてみることにしました。

I 老化の生理学-老化の生理的メカニズム-

 加齡にともない生理的機能が低下することを老化と呼んでいる。老化は避けることのできない生命現象である。老化は生理的老化と病的老化に分類され、病的な老化には遺伝的因子と環境的因子の影響が大きい。老化がなぜ起こるのかについては古くから研究されており、いくつかの学説が提唱されている。その中でも近年注目されているのは、フリーラジカル説と呼ばれるものである。生体内に発生したフリーラジカルが生体構成成分に酸化的損傷を与え、老化を引き起こすという説である。
 しかし、老化はひとつの説では説明できない点も多く、いくつかの説が関連していると言われている。運動や栄養が老化を遅らせることが可能かどうかは、非常に興味深い課題である。しかし、老化と寿命は混同できない問題である。生理的機能は運動によって高く維持される。また、疫学的な調査では運動選手の各年代における生存率が高いことが報告されている。実験動物では摂食量が生存率に影響していることもわかっている。

1 老化とは

 一般的に、老化とは成熟期以後にからだの恒常性や生理的機能が時間の経過とともに低下することである。老化には、1)有害性:老廃物の蓄積、2)進行性:非可逆的な進行、3)内存性:遺伝子による制御、4)普遍性:すべてのヒトにみられる現象、の四つの特徴がある。さらに、死亡率の増加、生体構成成分の低下、生体機能の低下、環境変化への適応能力の低下、疾病の増加なども老化の特徴である。

(1)老化に関する10の法則
1)死の確率は年齢とともに対数的に増加し、生体の機能に関する測定値は、時とともに直続的に低下する。
2)寿命は遺伝的素因と関係する。
3)雄は雌より寿命が短い。
4)寿命は食餌に影響される。
5)冷血動物の寿命は気温が上がると短縮し、下がると延長する。
6)致死量以下の放射線に暴露すると、寿命は短縮する。
7)年齢にともなう変化の度合いは、臓器系統によって異なる。
8)加齢とともに外からのストレスに対応する予備力の減少がみられる。
9)年齢的な変化は細胞内の化学的過程にみられる変化よりも、生体全体あるいは臓器単位のほうが顕著に認められる。
10)測定する生理機能が複雑であるほど、年齢による差異は著しい。

(2)老化の分類
 老化は生理的老化と病的老化に分類され、それぞれ分けて考える必要がある。生理的老化は疾病をともなわない老化であり、病的な老化は環境的因子(栄養、運動、ストレス、大気汚染など)や遺伝的因子(遺伝子的素因、遺伝子の損傷など)の影響による病的な状態をともなう老化である。
<生理的老化> 生理機能の進行的な低下、器官と組織の萎縮などの老化
<病的老化>  高血圧、動脈硬化、糖尿病、がん、白内障、骨粗鬆症、痴呆症など

2 加齡による生理的機能の変化

 加齡によって器官の重量が減少する(図1)。これは器官が構成する細胞が細胞死を起こして細胞数が減少するためと、細胞数は変化しないが細胞が萎縮するためである。脳の細胞は加齡とともに減少することが知られている。また、筋肉では筋細胞の萎縮がみられる。
 25~30歳をピークとして生理的機能は加齡にともなって低下していく(図2)。生命の維持に重要なはたらきをする神経系や細胞の内部環境は、機能低下の程度は小さいが、腎臓や呼吸循環器系の低下は大きい。老化による生理的機能の低下速度は器官によって異なる。また、全身持久力の指標である最大酸素摂取量も25歳をピークとした場合、加齡にともなって減少する。


3 老化学説

 老化がなぜ起こるかについては、いくつかの学説が唱えられている。

(1) プログラム説
 哺乳動物の脳には、あらかじめプログラムされた生物時計があり、神経伝達とホルモンの作用によって、細胞の活性化のスイッチと死に至る過程がすでに決定されている。

(2) エラー・カタストロフィー説
 細胞内でたんぱく質が合成される場合、複雑な過程でエラーが生じて異常なたんぱく質が合成される。このような異常なたんぱく質が多く合成されると、やがて正常な細胞機能が阻害することになる。

(3) 体細胞突然変異説
 DNAの損傷が完全に修復されないか、もしくは間違って修復されたために正しい遺伝情報が伝わらず、細胞が突然変異を起こし老化につながるという説である。

(4) クロスリンク説
 たんぱく質はペプチドと呼ばれる低分子から構成されているが、この分子間が架橋結合*(クロスリンク)することによって、本来のたんぱく質の構造と機能が変化する。たんぱく質である酵素やコラーゲン、DNAなどがクロスリンクすることによって老化するという説である。

(5) すり切れ説
 細胞が内部環境や外部環境の悪化に伴い消耗が加速され、やがて細胞機能が低下して細胞死に至る。

(6) フリーラジカル説
 不対電子を有する反応性の高い物質をフリーラジカルという。フリーラジカルには活性酸素を含み、特にヒドロキシルラジカル*(・OH)は強い反応性を示す。これらのフリーラジカルがDNA、RNA、酸素、たんぱく質、細胞膜の不飽和脂肪酸などに酸化的損傷を与えることによって、細胞死や細胞機能の低下が起こり老化につながるという説である。
 このほかにもいくつかの老化学説があるが、ひとつの学説ですべての複雑な老化過程を説明するのは困難である。老化は遺伝子の影響を受けて遺伝的に決定されていると考えられるが、生体内外の環境的因子に大きく影響される。

*ヒドロキシルラジカル
反応性が最も強いラジカルである。H2O2とFe2+またはH2O2とO2-・(スーパーオキサイド)が反応すると生成される。

*架橋結合
たんぱく質の分子内または分子間で、ジスルフィド結合(S-S結合)などが形成されること。ジスルフィド結合では、たんぱく質の反応性に富むSH基(チオール基)が酸化されることによって生じる。

4 老化と運動

(1) 生理的機能の低下と運動
 ほとんどの生理的機能は加齡にともない低下する。しかし、生理的機能の中には、継続的な運動によって加齡による低下が抑制されることも認められている。呼吸循環器機能の一つとしての最大酸素摂取量は、加齡にともない直線的に減少するが、トレーニングを行っているランナーやジョガーは初期のレベルが高く、高齢になっても非トレーニング者よりも高いレベルを維持している。また、からだの維持や活動に最も大切な骨は、定期的な運動によって骨密度の減少が抑制され、同年代の一般人と比べても高い骨密度を示している。骨格筋では機能と構造が加齡によって低下する。


(2)寿命と運動
 運動選手は短命であると言われるが、必ずしも寿命が短いとは限らない。むしろ運動の実践が生存率を上げる報告もある。フィンランドのトップアスリートの縦断的な調査では、一般人に比べてスポーツ選手の生存率が高いことが示されている。特に、持久的なスポーツ選手において生存率が高いようである。しかし、寿命はほとんど変わっていない。
 運動ではからだの総酸素消費量が増加するために、酸素代謝が高まり、老化を促進し寿命を短くするという説がある。哺乳動物の種によって単位体重当りの発熱量(比代謝率:キロカロリー/kg体重/日)が異なり、比代謝率が大きいほど短命であることが示されている。この結果は、異なる種における比代謝率と寿命の関係を示したもので、必ずしも運動による酸素代謝の促進が寿命を短くするとは限らない。すべての動物種の最大寿命は種によって特有であり一定している。実際、酸素代謝が高まれば、からだの中で発生する活性酸素やフリーラジカルが増加して、細胞に酸化的ストレスが加わり老化を促進するかもしれない(老化のフリーラジカル説)。しかし、寿命に影響するかどうかは明らかではない。
 運動が生存率を高め寿命を延長するという動物実験の結果がある。狭いケージで飼育されたラットと回転輪が付いたケージで自由に運動ができるように飼育されたラットでは、自由運動ができるラットの方が生存率が高く、寿命も延長している。このように運動によって酸素代謝が促進する条件においても、寿命の延長が確認されている。

5 老化と栄養

(1) 生存率と栄養
 病的な状態にならない条件で食餌摂取量を制限すると、寿命が延長することが古くから知られている。食餌摂取量を自由摂取ラットの47~65%に制限した制限食ラットでは、12~24月齡の体重が自由食ラットの約55%に抑制されて、生存率は自由食ラットよりも顕著に高かった(図9)。また、平均寿命は24.8%も延長した。さらに、実験動物で自由摂取群の60%で飼育した場合、寿命が30~50%延長した報告もある。なぜ食餌制限によって老化が遅延して、寿命が延長するのかについては明らかではないが、発がん率の低下や免疫機能低下の抑制、DNA損傷の低下などが報告されている。
 さらに、食餌制限の時期と生存率の関係が報告されている。マウスの飼育1年目と2年目で食餌量を変えた場合、最も生存率が高く寿命も延びたのは1年目に食餌制限を行い、2年目には自由摂食としたグループであった。逆に生存率も寿命も低かったのは2年間とも自由摂食のグループであった。このことにより老化の抑制や寿命の延長には、食餌量と摂食パターンが関係することが推察される。さらに運動と体重との関係では、運動ラットと体重が同じになるように食餌量を制限したラットが、自由摂食ラットより約20%寿命が延びた。食餌量は最も少なかった。自発運動ラットが次に生存率が高く、自由摂食ラットおよび運動ラットと食餌量を同じにしたラット(運動ラットの体重より約25%増加)は最も低かった(図11、12)。これらの結果がヒトにあてはまるかどうかは疑問であるが、過食による肥満が成人病の誘因となることから、摂取量が老化や寿命に与える影響は大きいと考えられる。


(2) 抗酸化栄養素と老化
 老化や疾病にフリーラジカルが関与していることが知られているなかで、たんぱく質、脂質、DNAの酸化的損傷を防御する抗酸化物質のはたらきが注目されている。栄養素として摂取するビタミンE、C、A、β-カロチン*などは代表的な抗酸化栄養素である。これらの抗酸化栄養素が活性酸素やフリーラジカルを消去することによって、老化を抑制できるかどうかは明らかではない。動物実験ではビタミンEを投与しても生存率と寿命には影響を及ぼさないようである。特定の抗酸化栄養素を過剰に摂取した場合、細胞内のほかの抗酸化栄養素とのバランスが崩れて、細胞全体としての抗酸化能力が発揮できないのかもしれない。しかし、抗酸化栄養素が活性酸素やフリーラジカルによる細胞機能の低下やDNAの損傷を抑制することにより、バランスのとれた抗酸化栄養素の摂取は、老化による疾病を予防できるか、もしくは疾病の発症を遅延させることができると考えられる。

*β-カロチン
β-カロチンは自然界に存在する黄、橙色などを呈する色素(カロチノイド)の一種である。体内で自然界に存在するビタミンAが不足すると必要量だけ変換される。β-カロチンは抗酸化物質として一重項酸素の消去作用を示し、発がんを抑制する効果も報告されている。

II 老化の社会学-高齢者の意識と行動-


総務庁老人対策室

 高齢者の人たちの意識と行動はどうなっているのであろうか。高齢者が可能な限り住みなれた家庭や地域で安心して充実した生活を送ることが理想であるが、現実はどうなっているのであろうか。総務庁老人対策室の実施した「高齢者の一人暮らし・夫婦世帯に関する調査結果」から伺ってみよう。

1 生活上の心配ごとに関する事項

(1) 高齢期に大切なもの
 「高齢期に大切なものは何だと思うか」についてみると、「健康」が95.0%と最も多く、次いで「家族」57.9%、「友人」29.2%、「所得・財産」27.8%、「趣味」25.4%、「仕事」14.7%の順となっている。
 同居形態別にみると、一人暮らし、夫婦世帯共に「健康」、「家族」の順となっているが、その次に一人暮らしでは「友人」を挙げる者が多く、夫婦二人世帯では「所得・財産」を挙げる者が多くなっている。
 都市規模別にみると、町村で「友人」の割合が高く、「所得・財産」の割合が低くなっている。また、小都市で「趣味」を挙げる者の割合が低くなっている。
 性別にみると、「仕事」(男性19.8%、女性11.7%)、「家族」(男性62.1%、女性55.3%)は男性の方が、「友人」(男性21.3%、女性34.1%)は女性の方が割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、年齢が低くなるほど「所得・財産」の割合が高くなっている。
 一人暮らし歴別にみると、一人暮らしの期間が3年~5年未満の者で「仕事」の割合が低く、「所得・財産」の割合が高くなっている。また、一人暮らしの期間が20年以上の者で「家族」の割合が低くなっている。
 夫婦世帯歴別にみると、夫婦暮らしの期間が3年~5年未満の者で「所得・財産」の割合が高く、20年以上の者で「仕事」の割合が低くなっている。

(2) 高齢期の心構え
 「高齢期の生活の心構えとして、どのようなものがよいと思うか」についてみると、「気持ちを若々しく保つ」が44.2%と最も多く、次いで「年相応に過ごす」25.0%、「自分の考えで主体的に生きる」15.6%、「家族などの周りの人にあわせる」11.5%の順となっている。
 同居形態別にみると、「自分の考えで主体的に生きる」(一人暮らし20.2%、夫婦世帯13.0%)は一人暮らしで割合が高くなっている。
 都市規模別にみると、都市規模が大きくなるほど「自分の考えで主体的に生きる」の割合が高く、逆に都市規模が小さくなるほど「家族など周りの人にあわせる」の割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、60~64歳で「気持ちを若々しく保つ」の割合が高く、「年相応に過ごす」、「自分の考えで主体的に生きる」の割合が低くなっている。
 一人暮らしに歴別にみると、一人暮らしの期間が20年以上の者で「家族などの周りの人にあわせる」の割合が低くなっている。
 夫婦世帯歴別にみると、夫婦暮らしの期間が3年~5年未満の者で「気持ちを若々しく保つ」の割合が高く、「自分の考えで主体的に生きる」の割合が低くなっている。また、夫婦暮らしの期間が10年以上の者で「年相応に過ごす」の割合が高くなっている。


(3) 高齢社会のイメージ
 「今後の高齢者の多い社会についてどのように考えるか」についてみると、「明るい社会」が26.5%と最も多く、次いで「どちらかといえば明るい社会」23.4%、「どちらともいえない」22.7%、「どちらかといえば暗い社会」16.8%、「わからない」6.5%、「暗い社会」4.1%の順となっている。
 同居形態別にみると、一人暮らしでは「明るい社会」(28.1%)を挙げる者が最も多く、次いで「どちらともいえない」(26.7%)、「どちらかといえば明るい社会」(18.3%)等の順となっており、夫婦世帯では「どちらかといえば明るい社会」(26.2%)を挙げる者が最も多く、次いで「明るい社会」(25.6%)、「どちらともいえない」(20.5%)等の順となっている。
 都市規模別にみると、小都市で「明るい社会」、「どちらかといえば明るい社会」の割合が低く、「どちらかといえば暗い社会」、「暗い社会」の割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、60~64歳で「どちらかといえば暗い社会」の割合が高く、65~69歳で「どちらかといえば明るい社会」の割合が高くなっている。
 一人暮らし歴別にみると、一人暮らしの期間が3年未満ので「明るい社会」、「どちらかといえば明るい社会」の割合が高く、5年~10年未満の者で「明るい社会」の割合が低くなっている。
 夫婦世帯歴別にみると、夫婦暮らしの期間が3年~5年未満の者で「どちらかといえば明るい社会」の割合が低く、「どちらかといえば暗い社会」の割合が高くなっている。


(4) 近所づきあい
 「近所の方とどの程度つきあいをしているか」についてみると、「お互いに訪問しあう人がいる」50.0%、「立ち話をする程度の人がいる」26.7%、「あいさつをする程度の人がいる」19.8%、「つきあいはない」3.5%の順となっている。
 同居形態別にみると、「立ち話をする程度の人がいる」(一人暮らし22.7%、夫婦世帯28.9%)は夫婦世帯の方が割合が高くなっている。
 都市規模別にみると、都市規模が小さくなるほど「お互いに訪問しあう人がいる」の割合が高くなり、逆に都市規模が大きくなるほど「立ち話をする程度の人がいる」、「あいさつをする程度の人がいる」の割合が高くなっている。
 性別にみると、「お互いに訪問しあう人がいる」(男性43.1%、女性54.2%)は女性の方が、「あいさつをする程度の人がいる」(男性25.3%、女性16.4%)は男性の方が割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、年齢が低くなるほど「立ち話をする程度の人がいる」の割合が高くなっている。
 一人暮らし歴別にみると、一人暮らしの期間が短くなるほど「お互いに訪問しあう人がいる」の割合が高くなっている。
 夫婦世帯歴別にみると、夫婦暮らしの期間が20年以上の者で「立ち話をする程度の人がいる」の割合が低くなっている。
 住まいの種類別にみると、「お互いに訪問しあう人がいる」は持家、一戸建てで割合が高く、「あいさつをする程度の人がいる」は借家、集合住宅で割合が高くなっている。
 住居年数別にみると、住居年数が長くなるほど「お互いに訪問しあう人がいる」の割合が高くなっている。

(5) 社会とのかかわり
 「教養・文化、スポーツ、社会奉仕などの分野で、同好会、サークルの活動や種々の行事、催し物への参加を通じて、社会とのかかわりを持って生活したいと思うか」についてみると、「そう思う」が47.3%と最も多く、次いで「どちらかといえばそう思う」25.7%、「そうは思わない」13.6%、「どちらかといえばそうは思わない」9.0%の順となっている。
 同居形態別にみると、「そう思う」(一人暮らし42.9%、夫婦世帯49.7%)は夫婦世帯の方が、「そうは思わない」(一人暮らし16.4%、夫婦世帯12.0%)は一人暮らしの方が割合が高くなっている。
 都市規模別にみると、都市規模が小さくなるほど「そう思う」の割合が高くなり、都市規模が大きくなるほど「そうは思わない」の割合が高くなっている。
年齢階級別にみると、年齢が低くなるほど「そう思う」の割合が高くなっている。
高齢社会のイメージ別にみると、明るい社会と答えた者で「そう思う」の割合が高くなっている。
 近所づきあい別にみると、近所づきあいの程度が深くなるほど「そう思う」の割合が高く、「そうは思わない」の割合が低くなっている。

(6) 子供との同居意識
 「高齢者が、子供や子供夫婦と暮らすことについて、どう思うか」についてみると、「できれば一緒に暮らす方がよい」が31.3%と最も多く、次いで「できれば別々に暮らす方がよい」20.0%、「別々に暮らす方がよい」20.0%、「一緒に暮らす方がよい」17.8%、「どちらともいえない」7.8%の順となっている(図1-6)。
 同居形態別にみると、一人暮らし、夫婦世帯共に「できれば一緒に暮らす方がよい」が最も多く、次いで一人暮らしでは「別々に暮らす方がよい」、「できれば別々に暮らす方がよい」の順となっているのに対して、夫婦世帯では「できれば別々に暮らす方がよい」、「別々に暮らす方がよい」の順となっている。都市規模別にみると、都市規模が小さくなるほど「一緒に暮らす方がよい」、「できれば一緒に暮らす方がよい」の割合が高くなっている。
 性別にみると、「一緒に暮らす方がよい」、「できれば一緒に暮らす方がよい」は男性の方が、「できれば別々に暮らす方がよい」、「別々に暮らす方がよい」は女性の割合が高くなっている。
 一人暮らし歴別にみると、一人暮らしの期間が3年未満の者で「一緒に暮らす方がよい」の割合がやや高くなっている。
夫婦世帯歴別にみると、夫婦暮らしの期間が3年~5年の者で「一緒に暮らす方がよい」の割合がやや高くなっている。


(7) 日常生活での心配ごと
 「日常生活の中で心配していることは何か」についてみると、「自分や配偶者が病気がちになること」が33.0%、「自分や配偶者が介護を必要とするようになること」24.7%、「病気などのとき、面倒をみてくれる人がいないこと」17.9%、「配偶者に先立たれた後の生活のこと」14.7%、「火事・災害のこと」14.6%等の順となっており、「心配ごとはない」が36.0%と最も多くなっている。
 同居形態別にみると、一人暮らしでは「病気などのとき、面倒をみてくれる人がいないこと」が最も多く、次いで「火事・災害のこと」、「自分や配偶者が病気がちになること」、「自分や配偶者が介護を必要とするようになること」等の順になっているのに対し、夫婦世帯では「自分や配偶者が病気がちになること」が最も多く、次いで「自分や配偶者が介護を必要とするようになること」、「配偶者に先立たれた後の生活のこと」、「病気などのとき、面倒をみてくれる人がいないこと」等の順になっている。
 性別にみると、「自分や配偶者が病気がちになること」(男性39.5%、女性29.1%)、「配偶者に先立たれた後の生活のこと」(男性21.8%、女性10.4%)は男性の方が割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、60~64歳で「自分や配偶者が病気がちになること」、「自分や配偶者が介護を必要とするようになること」、「配偶者に先立たれた後の生活のこと」の割合が高くなっている。
 一人暮らし歴別にみると、一人暮らしの期間が20年以上の者で「心配ごとはない」の割合が低く、「病気などのとき、面倒をみてくれる人がいないこと」の割合が高くなっている。夫婦世帯にみると、夫婦暮らしの期間が3年未満の者で「心配ごとはない」の割合が低く、「自分や配偶者が病気がちになること」、「自分や配偶者が介護を必要とするようになること」の割合が高くなっている。


(8) 心配ごとの相談相手
 「心配ごとや悩みごとができた場合、誰に話を聞いてもらったり、相談しているか」についてみると、「子供」が61.5%と最も多く、次いで「配偶者」51.1%、「兄弟姉妹」21.3%、「友人・知人」15.5%、「となり近所の人」7.1%、「子供の配偶者」6.4%等の順となっている。
 同居形態別にみると、一人暮らしでは「子供」が58.2%で最も多く、次いで「兄弟姉妹」、「知人・友人」等の順となっており、夫婦世帯では「配偶者」が80.2%と最も多く、次いで「子供」、「兄弟姉妹」等の順となっている。
 都市規模別にみると、都市規模が小さくなるほど「子供」の割合が高くなっている。また、町村で「となり近所の人」を挙げる者が多くなっている。
 性別にみると、「配偶者」(男性69.9%、女性40.3%)は男性の方が、「友人・知人」(男性8.8%、女性19.6%)は女性の方が割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、年齢が低くなるほど「配偶者」、「友人・知人」の割合が高くなっている。
 一人暮らし歴別にみると、一人暮らしの期間が20年以上の者で「相談したりする人はいない」の割合が高くなっている。
 夫婦世帯歴別にみると、夫婦暮らしの期間が3年~5年未満の者で「兄弟姉妹」の割合が高くなっている。
2 生計に関する事項

 (1) 1カ月当たりの生活費
 「家賃などを含めた一カ月当たりの生活費はおおむねどのくらいか」についてみると、「20~25万円未満」が23.7%と最も多く、次いで「10~15万円未満」22.0%、「15~20万円未満」19.6%、「25万円以上」18.6%、「5~10万円未満」10.3%、「5万円未満」1.0%の順となっている。

(2) 主な収入源
 「現在の生活費をまかなっている、主な収入源は何か」についてみると、「公的な年金(国民年金、原生年金など)」が91.5%と最も多く、次いで就業による収入」28.2%、「預貯金の引出し」15.1%、「恩給」8.0%、「子供などからの援助」7.2%、「家賃、地代などの収入」6.1%等の順となっている。
 同居形態別にみると、一人暮らしで「預貯金の引出し」、「子供などからの援助」の割合が高く、夫婦世帯で「就業による収入」の割合が高くなっている。
 都市規模別にみると、小都市、町村で「就業による収入」の割合が高く、大都市、中都市で「家賃、地代などの収入」の割合が高くなっている。また、町村で恩給の割合が高くなっている。
 性別にみると、「就業による収入」(男性32.7%、女性25.4%)、「私的な年金(企業年金、個人年金など)」(男性6.0%、女性3.2%)は男性の方が、「子供などからの援助」(男性5.3%、女性8.3%)は女性の方が割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、年齢が低くなるほど「就業による収入」の割合が高くなり、逆に年齢が高くなるほど「子供からの援助」の割合が高くなっている。
 健康状態別にみると、健康状態が良い者ほど「就業による収入」の割合が高くなっている。


(3) 高齢者の就労意識
 「何歳くらいまで働くのがよいと思うか」についてみると、「元気ならいつまでも働く方がよい」が35.4%と最も多く、次いで「65歳くらいまで」25.3%、「70歳くらいまで」22.7%、「60歳くらいまで」7.9%、「75歳くらいまで」5.6%の順となっている。
 同居形態別にみると、「70歳くらいまで」とする者は夫婦世帯の方が、「元気ならいつまでも働く方がよい」とする者は一人暮らしの方が割合が高くなっている。
 都市規模別にみると、大都市で「70歳くらいまで」とする者の割合が高く、「元気ならいつまでも働く方がよい」とする者の割合が低くなっている。
 性別にみると、「元気ならいつまでも働く方がよい」(男性32.7%、女性37.0%)は女性の方が割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、70~74歳で「70歳くらいまで」の割合が低く、「75歳くらいまで」の割合が高くなっている。

3 健康に関する事項

(1) 身体上の不自由
 「日常生活を送る上で、どのようなときに身体上の不自由を感じるか」についてみると、「歩行」13.5%、「新聞、雑誌を読むとき」6.5%、「食事」3.5%等の順となっており、「不自由は感じない」が76.8%と最も多くなっている。
 同居形態別にみると、一人暮らし、夫婦世帯共に不自由を感じる内容としては「歩行」、「新聞、雑誌を読むとき」の割合が高くなっており、「不自由は感じない」が7割を超している。
 都市規模別にみると、町村で不自由を感じる各項目の割合が高く、「不自由は感じない」の割合が低くなっている。また、町村で「食事」の割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、年齢が高くなるほど不自由を感じる各項目の割合が高く、「不自由は感じない」の割合が低くなっている。
 健康状態別にみると、健康状態が不良になるほど「不自由は感じない」の割合が低くなり、不自由を感じる各項目の割合が高くなっている。


(2) 病院や診療所への通院の頻度
 「現在、病気の治療のために病院や診療所にどの程度通院しているか」についてみると、「月に2~3日程度」28.0%、「月に1日」18.0%、「週に1日」9.7%、「週に2~3日程度」7.5%等の順となっており、「通院していない」が28.5%と最も多くなっている。


(3) 入院の有無
 「この1年間に入院していたことがあるか」についてみると、「1ヵ月未満」6.7%、「1~3ヵ月未満」4.1%、「3~6ヵ月未満」1.6%、「1年以上」1.0%、「6~12ヵ月未満」0.3%の順となっており、「入院したことはない」が86.4%と大半を占めている。


(4) 健康の維持増進
 「自分の健康の維持増進について、気をつけていることは何か」についてみると、「休養や睡眠を十分にとる」が55.1%と最も多く、次いで「栄養のバランスのとれた食事をする」54.8%、「規則正しい生活を送る」49.2%、「散歩やスポーツなどの運動をする」26.5%、「健康診査などを定期的に受ける」24.6%、「気持ちをなるべく明るく持つ」22.4%等の順となっている。
 同居形態別にみると、一人暮らしでは「栄養のバランスのとれた食事をする」(55.5%)が最も多く、夫婦世帯では「休養や睡眠を十分にとる」(55.2%)が最も多くなっている。性別にみると、男性は「休養や睡眠を十分にとる」が最も多く、次いで「規則正しい生活を送る」、「栄養のバランスのとれた食事をする」の順となっており、女性は「栄養のバランスのとれた食事をする」が最も多く、次いで「休養や睡眠を十分にとる」、「規則正しい生活を送る」の順となっている。
 年齢階級別にみると、60~64歳で「栄養のバランスのとれた食事をする」、「気持ちをなるべく明るく持つ」の割合が高くなっている。

(5) 知りたい健康情報
 「高齢者の健康管理について、知りたいことはなにか」についてみると、「老人性痴呆症について」が26.9%と最も多く、次いで「食生活のあり方について」26.7%、「寝たきりの予防方法について」23.6%、「がんや高血圧について」23.1%、「健康増進のための運動方法について」23.0%等の順となっている。
 同居形態別にみると、一人暮らしでは「老人性痴呆症について」が最も多く、次いで「食生活のあり方について」、「寝たきりの予防方法について」の順となっており、夫婦世帯では「食生活のあり方について」が最も多く、次いで「老人性痴呆症について」、「がんや高血圧について」の順となっている。
 都市規模別にみると、町村で「食生活のあり方について」の割合が高くなっている。
 性別にみると、「健康増進のための運動方法について」(男性26.8%、女性20.7%)、「がんや高血圧について」(男性26.4%、女性21.1%)は男性の方が、「骨粗鬆症について」(男性5.8%、女性18.0%)、「寝たきりの予防方法について」(男性20.6%、女性25.4%)は女性の方が割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、年齢が低くなるほど「食生活のあり方について」、「がんや高血圧について」、「骨粗鬆症について」「介護の方法について」等の割合が高くなっている。


4 福祉に関する事項

(1) 緊急時の連絡先
 「けがや病気など、緊急の人の手助けを必要とする場合に誰に連絡するか」についてみると、「子供」が76.4%と最も多く、次いで「配偶者」49.8%、「兄弟姉妹」23.6%、「となり近所の人」17.7%、「子供の配偶者」12.9%、「かかりつけの医師」11.9%等の順となっている。
 同居形態別にみると、夫婦世帯では「子供」と「配偶者」の割合が高く、それ以外の項目を挙げる者の割合が低くなっている。
 都市規模別にみると、大都市で「友人・知人」の割合が高く、町村で「となり近所の人」の割合が高くなっている。
 性別にみると、「配偶者」(男性70.8%、女性37.0%)は男性の方が、「友人・知人」(男性6.0%、女性12.1%)、「となり近所の人」(男性14.2%、女性19.8%)は女性の方が割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、年齢が低くなるほど「配偶者」の割合が高くなっている。また、60~64歳で「子供」の割合が高くなっている。

(2) 介護状態への不安度
 「将来寝たきりや老人性痴呆症になり、介護が必要な状態になるのではないかと不安になったりすることがあるか」についてみると、「ときどきある」が35.3%と最も多く、次いで「あまりない」28.2%、「全くない」19.6%、「よくある」14.6%の順となっている。
 同居形態別にみると、「よくある」、「ときどきある」は一人暮らしの方が「あまりない」「全くない」は夫婦世帯の方が割合が高くなっている。
 都市規模別にみると、町村で「よくある」の割合が高くなっている。
 性別にみると、「よくある」、「ときどきある」は女性の方が、「あまりない」「全くない」は男性の方が割合が高くなっている。
 年齢階級別にみると、75歳以上で「よくある」の割合が高くなっている。
 健康状態別にみると、健康状態が不良になるほど「よくある」の割合が高くなっている。

(3) 介護を受けたい場所
 「身体が虚弱になって、日常生活を送る上で介護を必要とするようになった場合、どこで介護を受けたいか」についてみると、「現在の自宅で介護してほしい」が41.8%と最も多く、次いで「病院などの医療機関に入院したい」27.1%、「老人ホームなどの福祉施設に入所したい」11.7%、「子供の家で介護してほしい」6.7%等の順となっている(図4-3)。
 同居形態別にみると、「現在の自宅で介護してほしい」は夫婦世帯の方が、「老人ホームなどの福祉施設に入所したい」、「病院などの医療機関に入院したい」は一人暮らしの方が割合が高くなっている。
 都市規模別にみると、小都市で「現在の自宅で介護してほしい」の割合が高く、「病院などの医療機関に入院したい」の割合が低くなっている。
 性別にみると、「現在の自宅で介護してほしい」(男性53.9%、女性34.5%)は男性の方が、「子供の家で介護してほしい」(男性4.4%、女性8.1%)、「病院などの医療機関に入院したい」(男性20.2%、女性31.4%)は女性の方が割合が高くなっている。




(4) 介護を頼む人((3)で「現在の自宅」、「子供の家」、「兄弟姉妹など親族の家」で介護してほしいと回答した者に)
 「現在の自宅、子供の家又は兄弟姉妹など親族の家では、誰に介護を頼むつもりか」についてみると、「子供」が72.9%と最も多く、次いで「配偶者」57.4%、「子供の配偶者」29.7%、「ホームヘルパー」16.5%、「兄弟姉妹」8.9%、「訪問看護婦」7.9%等の順となっている(図4-4)。
 同居形態別にみると、一人暮らしでは「子供」が最も多く、次いで「子供の配偶者」「ホームヘルパー」、「兄弟姉妹」の順となっており、夫婦世帯では「配偶者」が最も多く、次いで「子供」、「子供の配偶者」、「ホームヘルパー」の順となっている。
 都市規模別にみると、小都市、町村で「子供」が、大都市、中都市で「ホームヘルパー」の割合がそれぞれ高くなっている。また、大都市で「訪問看護婦」、「民間のシルバーサービス」の割合が高くなっている。
 性別にみると、「配偶者」(男性80.9%、女性38.1%)は男性の方が、「兄弟姉妹」(男性5.8%、女性11.4%)、「ホームヘルパー」(男性14.2%、女性18.5%)、「訪問看護婦」(男性5.2%、女性10.2%)は女性の方が割合が高くなっている。


1.百寿者のQOLについて

 QOL(Quality of Life;生活・生命の質)という言葉はわが国でも広く使われるようになったが、その意味する内容はさまざまに異なっている。とくにQOLをどのように客観的なデータとして測定あるいは評価するかは難しい問題である。例えば、がんや神経難病の患者さんたちのように死期が一定の範囲で予測されている人たちと、そうでない人たちでは考え方が違ってこよう。筆者らは今回の分析にあたって共同研究者の柴田(日本公衛誌1996:43:941~945)や太田(日本公衛誌2001;48:258~267)らの高齢者のQOL概念を参考にしつつ、独自に、百寿者のQOLについて検討することにした。

QOLが高い百寿者とは
 実際に百寿者の人たちに会って調査した経験から、QOLを判断するには次の3つの要素が重要であることを実感した。すなわち、
    (1) ADLの自立
    (2) 認知機能の保持
    (3) 心の健康度
 である。これらについて今回の調査で用いた評価方法を述べる。
(1) ADLの自立
 ADL(Activities of Living;日常生活活動)については、食事、大便、小便、起立、行動範囲、入浴、着衣の7項目について5段階で評価した。すなわち、全面介助(1点)、要介助(2点)、辛うじて自分でする(3点)、自分でするが遅い(4点)、独力で普通にする(5点)である。これらの評価がすべて3点以上で、かつ、7項目のうち4項目以上が4点ないし5点の条件を満たす場合を「自立した日常生活を送っている」とした。
(2) 認知機能の保持
 認知機能については、意思表示、話の了解、日時の理解の3項目について、全くできない(1点)、まれに理解・了解(2点)、辛うじてできる(3点)、大体はできるが不完全(4点)、普通にできる(5点)の5段階評価をした。その結果、全てが3以上で、なおかつ、3項目のうち2項目以上が4点ないし5点の条件を満たす場合を「認知機能が保持されている」とした。
(3) 心の健康度について
 心の健康度については、気分、周囲との関係、友人関係、家族・親戚関係、将来への不安の有無、寂しさの有無、無力感の有無、生きがいの有無の8項目について、はい、いいえの返事を求め、肯定的な回答が6項目以上の条件を満たす場合に「心が健康である」とした。

 これらの結果、ADL自立群は357人(18.7%)、認知機能良好群は806人(42.3%)、心が健康である群は582人(30.5%)であった。さらに3つの群の相互の関係をみると図1に示すように、ADL自立群の大部分(347人、97.2%)は認知良好群と心の健康群と重なった。3つの群全部が重なるのは199人で、全調査者の1,907人中の10.4%であった。3群ともに低下していたのは896人(47.0%)であった。

  ADL自立、認知機能、心の健康度に共通して関連していた要因は、食事のかたさ(家族と同じものを食べている)、運動習慣あり、視力が大きい活字がやっとみれる~正常、趣味がある、経済的にゆとりがある、たんぱく質をほとんど毎日摂取している、であった。
 性別が男性であること、食欲が自分から進んで食べること、起床状況が自分から定時に起床することが、ADLの自立と認知機能の保持に有意に関連していた。
 入院や寝たきりになった転倒経験が無いことはADLの自立に有意に関連していた。
 また、聴力が耳元で大声で聞こえる~正常などと、同居家族があることは認知機能の保持に有意に関連していた。
 なお、喫煙は3群とも有意な関連はみられなかった。

 以上、百寿者のQOLについて筆者らの考え方による分析を試みた。高齢者、とくに超高齢者とも呼ばれることのある90歳以上の人たちの生活の実態からみたQOLの検討はほとんど空白に近いと言えよう。着実に増加しているこの年代の人たちへの対策が急がれている。この調査研究は100歳という大きな節目を越えた特別な人たちのデータではあるが、このように分析することによって一般化し、示唆に富む結果とみることもできるのではなかろうか。太田らの80歳までの多数のデータと比較すると、詳細な分析はこれからだが、60代~70代の人たちと変わらない「元気さ」がある印象である。例えばADLが必ずしも良くないに健康度が高いのは何故だろうか。100歳を超えた達成観のようなものが影響しているのか、あるいは、そのような気持ちの人たちだから百寿者になれるのか、原因なのか、結果なのか興味深い議論になってこよう。

2.百寿者のプロダクティビティについて

 老年学におけるプロダクティビティ(社会貢献)は、有償労働と無償労働に分けられる。無償労働はボランティアのようなものも含められるが、百寿者の場合はもっと広く考えた方がよいようである。
 今回の調査で社会活動について質問したところ、現在自分以外の人の用事や世話をしている人は、男女とも1割強しかいなかった。仕事や地域活動、ボランティア活動をしている人は、男性で3%強、女性では1%弱と少なく、男性の方が女性よりも社会活動に参加している割合が高かった。

 実際に調査にあたった経験からみると、百寿者の人たちの「社会貢献」は、そこにいること、言葉が不適切かもしれないが存在そのものが周囲の人たち、とくに家族にとって誇りでもあり、目標ともなっている場合が多いと感銘を受けた。このようなことも1つの社会貢献と言ってよいのではなかろうか。
 百寿者の生きがいについても質問した。
 生きがいを持っていると回答した人は男性43.6%、女性25.8%であった。

 生きがいとして具体的にあげられた内容で最も多かったのは「家族」であり、次いで、「健康で楽しく過ごすこと」であった。その他上位にあげられた項目はいずれも前向きな気持ちに関するものが多かった。
1.日本の百寿者の推移

 わが国の100歳以上の高齢者(以下、百寿者という)は平成13年で15,000人を超えた。9月11日に発表された厚生労働省老健局の作成した「全国高齢者名簿」によると、9月30日で百歳に達する人の数を9月1日付けで集計すると15,475人であり、この1年間で2,439人増加したという。最高齢は本郷かまとさん114歳で、男性は中願寺雄吉さん、112歳である。
 百寿者数の推移を図1に示す。昭和38年に老人福祉法ができてから、毎年国による全国集計が公表されるようになり、当時153人だったのが増加を続け、平成10年には1万人を突破し、さらに高齢社会の進展にともない今年早くも15,000人を超えた。人口1万人あたり一人以上の割合となり、多くの市町村に百寿者がいることになり、必ずしも珍しくはなくなったといえよう。

 百寿者の全国的な統計が信頼できるかどうかの前提の1つに戸籍の問題がある。わが国は明治維新になって戸籍制度を取り入れ、特に明治16(1883)年の徴兵令にともない、厳しく正確な戸籍を整理したため、それ以降は誤りが非常に少なくなっているといわれる。すなわち、昭和58(1983)年以降の百寿者統計は信頼度が高くなっている。


2.わが国の百寿者調査

 これまでにわが国で実施された全国規模の百寿者調査は4回である。最初は1973年の東京都老人医学研究所のもの、次が1975年の老人福祉開発センターのもの、その後が1980年と1992年に健康・体力づくり事業財団が実施したものである。それぞれ報告書や学術論文が出されているので、その内容の紹介は省略するが、ひとことで言うと、いずれも長く生きることの要因、言い換えると生物学的側面を中心とした調査分析がなされている。
 百寿者調査には厳密にいうといくつかの限界があることに留意する必要がある。例えば比較すべき対照群(コントロール)を置くことはできない。また、過去の記憶にたよる調査では回答があいまいになり、正確性に疑問が生じる場合があるなどである。それでも百寿者からの情報には示唆に富むものが多いので統計的にできるだけ誤りを少なくする工夫をしたうえ、分析がなされている。


3.今回調査の特徴

 平成13年8月に発表された「2000年簡易生命表」によると、わが国の平均寿命は女性84.62歳、男性77.64歳でいずれも世界最高を更新した。おおまかに言うと女性の半分は85歳、4分の1は90歳、男性では半分近くが80歳、4分の1が85歳くらいまでは生きる高齢社会になっている。しかもその8割以上は“元気”な高齢者といわれている。
 しかしながら急速に増加している90歳以上から百寿者の人達が、どんな気持ちで、どんな生活をしているのか。言い換えるとその世代の生活の質(QOL)に関する大規模な調査はわが国では、(筆者らが調べ得た範囲では世界的にも)なされていない。そこで、今回の調査ではこれまでの項目との比較も考慮しつつ心理・社会的側面を重視した新しい視点からの調査を行うことにした。すなわち、QOLに関する質問と最近の老年学で注目されているプロダクティビティ(社会貢献と仮に訳されている)に関する質問項目の多い調査を実施した。
 なお、調査方法はコラムに示すように、事前にインフォームド・コンセントが得られた方々に訪問面接調査により実施した。
 実際に調査ができたのは、男性566名、女性1,341名で合計1,907人である。


4.調査結果

(1)百寿者の食生活
1)食事回数について
 食事を3食きちんと食べる人ほど多くの食品をとっていた。ただし果物では有意差は無かった。「回数不定」では全体的に食品の摂取は低い傾向にあるが、とくにビタミン・ミネラル系食品の摂取頻度が有意に低かった。なお、回数不定では日常生活動作(ADL)も低かった。つまり、ADLが低いと食事回数もさまざまとなることがうかがわれた。

2)食欲について
 食事を「自分から進んで食べる」者ほど食品摂取頻度が全体的に高かった。ビタミン・ミネラル系食品は「食事に関心ない」者で有意に低かった。また、好きな食べ物についても進んで食べる者で多く回答していた。なお、ADLは「自分から進んで食べる」人ほど高く、居住環境別では、自分から進んで食べる者は家族と同居している者に多く、逆に関心ない者は施設または入院中の者に多かった。自分から進んで食べる者に認められた特徴としては、定時に起きる、よく眠れる、運動習慣がある、よく外出する、生きがいを持っている者がいずれも多いことがあげられた。

3)食事形態について
 食事形態が流動食では、全体的に食品の摂取頻度が低かった。家族と同じものを食べている者と軟らかくした食事の者とでは、家族と同じものを食べている者の方がビタミン・ミネラル系食品を多くとっており、一方で糖質系およびたんぱく質系食品は軟らかくした食事の者で多くとっていた。全体でみると軟らかくした食事の者で各種の食品の摂取頻度が高い傾向が認められた。なお、ADLは、家族と同じ食事、軟らかくした食事、流動食の順に低くなっていった。


4)食品群別摂取頻度
 各食品群の週あたり摂取頻度を4段階で質問した。ご飯、パン、めんなどの主食は男女とも約9割近くが「毎食」食べていた。男女間での有意差は認められなかった。
 いも類を「ほとんどとらない」者は、一割弱であり、最低でも週に1回以上は食べていることが示された。主菜としての肉類と魚介類の摂取頻度をみると、「ほとんど毎日食べる」あるいは、「2日に1回」の者の割合は、肉類より魚介類の方が多かったことから、魚介類を主とした料理を好む傾向がうかがわれる。牛乳・乳製品を「ほとんど毎日」摂取する者は65%以上、卵では約半数を占めていた。豆腐類、海草類ではほぼ同様の分布を示し、最低でも週に1回以上は食べていることが示された。野菜類を「ほとんど毎日食べる」者は男女とも約9割を占め、主食とともに最も積極的に摂取している食品であることが示された。果実は男女とも約6割が「ほとんど毎日」摂取しており、「ほとんどとらない」者は3%と非常に少ないことから、好んで摂取されている食品であることが明らかにされた。

5)コメント
 百寿者の食生活については、これまでの調査でも詳細な検討がなされている。今回の調査はそれらとほぼ同様の結果であった。百寿者はこれまでみてきたように大部分の方々がバランスのよい食事を規則正しくとっている。
 ときに、「若いころ粗食に耐えていた人が長生きできるのではないか」という意見を聞くことがある。しかし、これは誤解である。回想法(昔の食事を思い出してもらう質問法)での答えなどの分析では正確性に限界はあるにしてもバランスのよい食事をしていた人が多い。とくにたんぱく質では牛乳・乳製品の摂取が多く魚介類や肉類等も食べられている。
 バランスのよい片寄らない食生活が健康保持に重要であり、元気な長寿につながると結論できる。

(2)百寿者の運動習慣
 運動習慣がある者の割合は男性54.4%、女性40.2%であり、その内訳は表1に示すとおりである。男女とも散歩が最も多く、その頻度は、週に回実施が男性56.5%、女性48.5%であった。次いで多かったのは体操であり、週に5~7回実施している男性は62.5%、女性は61.8%であった。散歩や体操を習慣としている者のうち、半数以上がそれらを高頻度で実施していることが示された。日常活動としての庭仕事や家事労働を運動として回答している者もみられた。また、運動習慣を有する者では、食事、排せつ、行動、入浴、着衣などのすべてのADL項目と意志表示、話の了解などの認知機能が運動習慣のない者に比べて有意に高かった。そこで、ほぼ自立した生活を送っている『ADL自立群』100名に限り、運動習慣の有無を調べてみると、男性では88.9%、女性では91.3%が習慣を有していた。さらに、運動習慣の有無別にライフスタイルの状況を比較したところ、男女ともに運動習慣を有する者では習慣のない者に比べて、食事を自分から進んで食べる者、よく眠れる者、定時に起床する者、健康と感じている者、毎日気分よく過ごせる者、生きがいをもつ者、および社会活動をしている者の割合がいずれも有意に高かった。百寿者にとって日常の身体活動は、生活機能の維持ばかりでなく健康感や食欲にまでプラスの効果をもたらすことが示された。


(3)百寿者の睡眠
 百寿者の睡眠について今回ほどまとまった数の調査は世界で初めてだろうと専門家は指摘している。睡眠状況としては「夜よく眠れる」者は男女とも85%を超えている。
 睡眠時間の平均は、男性8.9±2.2時間、女性9.1±2.1時間であり、男女間での有意差は認められなかった。一般的に高齢になると睡眠時間が短くなるといわれるが、百寿者はよく眠れて睡眠時間が比較的長いことが明らかとなった。
 起床の様子については、「いつも定時に起床する」者は、男性の方が74.8%と、女性の61.2%より多かったのに比べ、「自分からは起床しない」者は、男性7.2%に対し、女性では16.3%と男性の2倍以上であった。
 長寿のためには、規則正しい睡眠~覚醒のリズムを維持し、十分な休養をとることがすすめられる。


(4)百寿者の喫煙と飲酒

1) 喫煙について
 喫煙習慣については、「吸わない」が男性60.6%、女性86.2%と多かった。一方、「吸う」のは男性5.3%、女性0.7%とわずかであり、一日の喫煙本数の平均は、男性16.7±12.9本、女性12.0±12.3本(平均±標準偏差)であった。「以前吸っていた」は、男性29.2%、女性5.6%であった。現在喫煙習慣のある者の割合を昭和56年度調査および平成5年度調査と比較すると、喫煙者の割合は男女とも着実に減少していることが示された。
 百寿者の喫煙者の割合が他の年代より著しく低くなっていることや、一日20本以上のスモーカーが少ないことは、喫煙の健康と長寿への害を示す1つの証拠ともなると理解できよう。


2) 飲酒について
 飲酒習慣については、「飲む」男性21.2%、女性5.4%、「以前飲んでいた」男性30.0%、女性13.8%であった。現在飲酒習慣のある者の割合を前の調査と比較すると、男性では昭和56六年度26.5%、平成5年度23.7%とほとんど変わらないのに対し、女性では昭和56年度18.4%、平成5年度8.7%と、時代とともに飲酒習慣をもつ者の割合は減少していることが示された。今回の調査では、飲酒習慣をもつ者の特徴として、家族と同居している者が多く、ADLは高く、睡眠の状態もよい者が多いことが示された。さらに、飲酒習慣のある者では健康と感じている者、毎日気分よく過ごしている者、夢や希望をもつ者、周りとのつきあいに満足している者が多く、健康面、精神面ともに良好な状態にあることも明らかにされた。
 アルコールの種類は、日本酒52.3%、ビール27.5%で以下焼酎、ワイン、ウィスキーの順であった。しかしながら飲む量は「日本酒にして1合未満」が92.6%と大部分を占め、ごく少量の酒はからだによいという説と一致した。なお、一般に「少量の酒は百薬の長」といわれ、国際的にも、わが国でもほぼ一致して、日本酒に換算して2日で1合程度までのアルコールならまったく飲まない人よりも半分くらい死亡率が低いという研究結果が報告されている。このことは酒量と死亡率との関係ではJカーブを描くともいわれるものである。

○平均寿命のレベルは世界一

 人体を構成する細胞の核に存在する遺伝子には、自らの寿命を決定するコードがあるといわれます。不老長寿を願ってもこのコードの指令を超えて生きることはできず、寿命は100~120年くらいのものとされています。それに対し、日本人の平均寿命は現在世界一のレベルにあるとはいっても、男子76.09歳、女子82.22歳(平成4年簡易生命表)で、遺伝子の持つ寿命と比べるとまだ30年ほどの開きがあるといえましょう。
 昭和10年生まれの人は、そろそろ還暦を迎える年代になっていますが、その人たちが生まれたころの日本人の平均寿命は、男子46.92歳、女子49.63歳でした。ちなみに、今から100年前に生まれた日本人の平均寿命は、およそ男子43歳、女子44歳だったそうです。つい数十年前まで日本人の平均寿命はこのように50歳にも満たないものでした。もちろん、遺伝子の持つ寿命がその当時は短かったというわけではありません。「乳幼児死亡率が高かった」ことと「結核菌等による青少年の死亡率が高かった」ことが主な原因でした。
 ところが、戦中戦後の食糧暗黒時代を乗り切ったころから、日本人の平均寿命はグングンと延び始めました。その主な原因の1つは乳幼児をはじめとする日本人全体の栄養状態の向上であり、もう1つはスルファミン剤、抗生物質等の進歩による対微生物作戦の勝利でした。そのおかげで肺結核とか肺炎とか、赤痢とか疫痢などによって死亡する人が少なくなり、免疫力も向上してきたのです。
 その半面、食物のとり方に起因する病気で死亡する人が増加してきました。心筋梗塞とか、大腸がんなどのある種のがんがそれです。心筋梗塞が、若いころからの食を中心とする摂生によってかなり予防できることは明らかですが、がんについても同様です。平成4年調査の男性の平均寿命は前年度までに比べて短くなりましたが、食生活を中心とした摂生など、そのあたりのところに、日本人の平均寿命がまだまだ延びるカギが隠されているように思います。





○がんを予防するファクター

 まず、消化器のがんについてみると、胃がんは減少してきたのに対し、大腸がんが増加してきているのは、食物の内容の変化によります。胃がんが多かったのは食塩の過剰摂取の影響(胃粘膜が食塩に侵されることが多かった)でした。その後、動物性食品の摂取量増加に反比例して食塩摂取量は減少しましたが、同時に脂肪摂取量が増加し、副菜食品(食物繊維源となる食品)の摂取量が増加しなかったことが、大腸がんを増加させる原因になっていると推定されます。男女ともに膵臓(すいぞう)がんが増加してきていることにも、このような食物の内容の変化が関係しています。
 第2は、がんを予防するためにたばこの害について認識すると同時に、緑黄色野菜の摂取量を増やすことが望まれます。男子の肺がんが急速に増加しているのは明らかに喫煙の影響で、間接喫煙の害についても問題になっています。それに対して、日常食で緑黄色野菜を十分に摂取すれば、ベータカロテンの作用によって発がんを防ぐことができることも統計的に示されています。
 第3は、活性酸素の発がん作用を阻止するために、ベータカロテン以外に、ビタミンE、Cを十分に摂取することの有効性が期待されています。呼吸によって1日に数百グラム以上の酸素を摂取しますが、そのうちの数パーセントは体内で活性酸素となります。その強い酸化力は、一方では生命活動の推進にも役立っていますが、他方では神経細胞や心筋細胞の老化を促進したり、粘膜細胞をがん化したりもしています。それに対し、ベータカロテン、ビタミンEおよびCの3種類のビタミンは、体内のいろいろな場所で随時盾となって働き、害を未然に防止します。
 各細胞内(および細胞膜)にあって、第一線の活動をしているのはビタミンE(α-トコフェロール)で、活性酸素作用に対し自らが身代わりになって酸化されます。そして、豊かに存在するビタミンC(アスコルビン酸)がすぐに、身代わりとなって酸化されたビタミンEを元に戻し、盾としての機能を維持させます。E(必要量1日10ミリグラム程度)もC(所要量50ミリグラム)も、バランスのとれた日常食で不足するといった心配はあまりありません。
 α-トコフェロールあるいはアスコルビン酸を、あまり経済的な負担をかけないで医薬品によって補給することもできます。
 第4として、女性の場合肥満を避けることが子宮がんや乳がんの予防に役立つとされます。副腎皮質でつくられるアンドロゲン(男性ホルモン)が脂肪組織でエストロゲン(女性ホルモン)に転化するために、肥満者の血中には絶えずエストロゲンが多く、それが子宮粘膜や乳腺細胞を刺激し続けてがん細胞にしてしまう、ということがあるからです。
 遺伝子の内包するコードの中には「がん化」をスタートさせる部分もあるといいますから、だれでも発がんを完全に予防することはできないのかもしれません。しかし現代の科学が明らかにしたがんの予防に役立つかもしれないいくつかのポイントをすべての人が実行すれば、日本人の平均寿命はまだまだ延び続けるのではないでしょうか。



野生動物には老化がない  

著者は20年ほど前、海外医療専門家チームの団長として家族と共に東アフリカのケニヤ国に居住し、多くの野生動物を身近に見て来た。 

自然界の動物の寿命は遺伝的背景を持っており、その種族、系統によって運命づけられている。概して言えば、からだの大きい動物ほど長命で、からだの大きさと寿命には正の相関が認められる。そして動物には老化がなく、草食動物にしろ肉食動物にしろ、老化は死を意味している。この相関から大きく外れて老化があって長命なのが人間である。人間には生活環境を整えることができ、その良否が要因として強く作用する。

「人生50年」は昔の話?  

日本は戦後50年足らずの間に世界の最長寿国となった。現在、男性78歳、女性83歳の平均寿命となっているが、あの有名な『人生50年……』と舞った織田信長の時代を含めて、戦前まで日本人の寿命は50歳に達していなかった。しかも、明治に至るまで人口は3,000万人を超えることはなかった。これは飢饉や疫病など、衣食住の生活環境の劣悪に基づくものであった。また、日本人の体格ついても戦後の若者の身長の伸びは著しく、かくも短年数でこれほど身長を伸ばした国民はなく、しかもそれは脚が長くなったことによるもので、他の民族の歴史上にも例を見ないものである。寿命の延びや体格の増大に見られる事実は、戦前までの日本人の生活が如何に貧しく、生活環境が劣悪であったかを物語るものである。そして戦後の経済発展が素晴しく、これに基づいて食料の供給、質の改善、衛生状態などあらゆる生活環境の整備が豊かな生活を作り、日本人の寿命に反映されたかを如実に示すものである。 

既に過去の歴史の中に埋没されようとしているが、戦前の海外移民は国策による棄民とも言えるものであることから、戦前の日本は現在の豊かさからは想像もできないほどの貧しい国であった。日本民族の歴史の中で現在ほど飽食の時代はない。もともと日本人は飢餓民族であった。飢餓には強いが、飽食には耐えられない素質をもった民族である。今日本人の成人10人に1人は糖尿病に罹っていると言われる。そして同じ飽食の米国において、日系人は欧米系のアメリカ人に較べて、10倍ほど糖尿病罹患率が高いことが知られている。これは飽食に対し弱い日本人の体質に基づくものである。

今後寿命は低下する?  

『動物の寿命を延ばすことができるのか』という研究がある。それによれば、自由摂取でネズミを飼育した場合とカロリー制限をした場合とでは、後者の方が確実に寿命が延びている。そして、更に寿命の後半でバランスのとれた質の高い食餌摂取をすれば、その効果は大きいことが証明されている。今の高齢の方々は戦前・戦後の経過の中で、この研究テーマに準じた偉大な人体実験(?)の成果を証明したことになる。しかし一方で、熟年者の成人病としての高脂血症の増加が社会的問題となっているが、コレステロールは老化を早める因子である。 

日本の現状は、外食を含めて飽食によって児童の血中コレステロールが欧米の児童に較べて高値となっており、成人病が増えているという重大な危険を示す現象が見られている。彼らが高年齢になった時、現在の長寿命を更新するであろうか? 筆者は今後低下していくのではないかと思っている。 

我が国の経済発展が、そして生活環境の改善が如何に素晴しいものであったかを示す事実と共に、今後別の課題を秘めていることになる。

若者こそ老化問題を考えよう  

このように、日本人の寿命が戦後50年の短期間に人類史上例をみないほどの驚異的な延びを達成したが、今や一方でこの高齢化の進展が家庭的にも社会的にも重大な関心事になりつつある。そこで改めて老化の問題に触れてみたい。 

先に述べた如く、老化は人間だけに見られる現象で、野生の動物では老化は即、死と同義語になる。最近は家庭で飼われているペットに成人病や老化の現象が見られるようになってきたが、これはペットが野生の動物ではなくなり、人間と同じ生活環境にあることを示している。 

なぜ老化が起こるかの機序は解っていないが、それが生理的なものか、または病的なものかで意味合いが大きく違ってくる。後者で問題になるのが老人性痴呆、いわゆる「ぼけ」と言われるものである。この「ぼけ」には二種類あって、その一つは米国の前大統領レーガン氏が自己告白し、国民に別れを告げた〔アルツハイマー病〕である。この病気は脳細胞が死滅していくもので、病因は解らず欧米人に多く、最も恐れられている病気である。今のところ、日本人には少ないとされている。これに対してもう一つのものは、日本人に多いとされる〔脳血管性痴呆〕で、脳動脈の動脈硬化に基づく脳実質の梗塞による機能消失である。いずれにしても「ぼけ」られた当人には病識がなく恍惚の人となるが、周囲の人達には大変な負担が掛かり、肉親の愛情だけでは対応ができない事態にまで追い込まれることが往々にしてある。このような老人を介護するのに、最近2人の健常者が必要と言われているが、そうなれば少子高齢社会においては、大袈裟な言い方をすれば、老人を世話するだけで生産性のある仕事に従事する人間がいなくなる恐れがないとは言いきれない。 

老人性痴呆について学術的に詳述する誌面はないが、「人間は血管と共に老いる」という有名な言葉がある。要は若い時分からの高脂血症、動脈硬化、高血圧などの循環器病の予防にある。 

老化は老人における問題ではなく、その素因は若い時分に作られるもので、むしろ若い人が関心を持つべきものである。今後とも自分の人生の中で自分の生活態度によって、言い換えれば、自分の責任下で人生の後半での病気が如何に作られていくかを知っててもらいたいと願っている。「成人病」は「生活習慣病」と名を変えた。




上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。